StripeとPayPal、1万円決済で差が出る「固定40円」の重み

国内1万円の決済では、Stripeの標準オンラインカード手数料は360円、PayPalの標準商用取引は固定40円を含む400円になる。国内の少額決済やPayPay対応、課金ロジックとの連携を重視するならStripeを軸にし、PayPalを希望する海外顧客が多い越境ECではPayPalを併設するのが基本的な選び方だ。
ただし、この400円はPayPalの「標準商用取引」を使う場合の数字である。PayPalには承認制のオンラインカード決済サービスもあり、国内取引は3.20%と固定40円という別料率になるため、サービス区分をそろえずに両社を比較してはいけない。
1000円では固定40円が実効率を倍以上にする

Stripeの日本向け料金表 では、標準オンラインカード決済は成功取引ごとに3.6%で、初期費用と月額料金はない。通貨換算が必要な場合は2%が追加され、PayPayは決済ごとに3.98%、コンビニ決済は3.6%かつ最低手数料120円、不審請求の申し立て受領手数料は1件1500円となっている。
PayPalの日本向け手数料表 では、標準商用取引の国内受取が3.60%と受取通貨別の固定手数料で、日本円の固定額は40円である。海外取引には0.50%が追加される。一方、申請と承認が必要なオンラインカード決済サービスの国内取引は3.20%と固定手数料であり、以下の試算には含めない。
個別契約、追加製品、通貨換算がない国内取引として単純計算すると、標準料率の差は次のようになる。
- 1000円:Stripeは36円で実効率3.6%、受取額964円。PayPalは76円で実効率7.6%、受取額924円。
- 1万円:Stripeは360円で実効率3.6%、受取額9640円。PayPalは400円で実効率4.0%、受取額9600円。
- 10万円:Stripeは3600円で実効率3.6%、受取額9万6400円。PayPalは3640円で実効率3.64%、受取額9万6360円。
固定40円が実効率へ加える幅は「40円÷取引額」で決まる。1000円では4ポイント、1万円では0.4ポイント、10万円では0.04ポイントとなるため、低単価の商品、寄付、月額会費では売上高だけでなく決済件数がコストを左右する。
条件例として、月商100万円を1万円の商品100件で作る場合、PayPalの固定額部分は4000円である。同じ月商を1000円の商品1000件で作れば4万円となり、注文が細かく分かれるほどStripeとの差が広がる。
海外取引と通貨換算は分けて計算する

海外の購入者から代金を受け取ることと、外貨を日本円へ換算することは別の処理である。PayPalの海外取引は送金人と受取人が異なる市場にいる場合を指すのに対し、Stripeの追加2%は通貨換算が必要な場合に発生する。購入者が海外にいるという理由だけで、Stripeへ一律2%を足す計算はできない。
PayPalで日本円を受け取り、海外取引の追加分だけが発生する条件なら、標準商用取引は4.10%と40円になる。1000円では81円、1万円では450円、10万円では4140円で、国内PayPalとの差はそれぞれ5円、50円、500円である。
Stripeで通貨換算が必要なら、標準カード料率と追加分を合わせた5.6%が試算の起点となる。手数料は1000円で56円、1万円で560円、10万円で5600円だ。反対に、日本円表示のまま日本円で受け取り、換算が発生しないなら、この追加分を含めるべきではない。
PayPalでも通貨換算が起きる場合は、海外取引手数料とは別に取引為替レートの条件が関係する。比較時には購入者の所在地、表示通貨、受取通貨、換算を行う主体を同じ条件にそろえなければ、450円と560円だけを見ても総コストの優劣は判断できない。
PayPayと実装範囲が国内向けの分岐点になる
国内ECでは、カード以外の決済手段をどこまで一つの運用へまとめるかが分岐点になる。StripeはPayPay、コンビニ決済、銀行振込を扱えるが、料率は決済手段ごとに異なる。カードの3.6%を全注文へ当てはめるのではなく、実際の利用構成で加重平均を出す必要がある。
実装面では、Stripeは構築済みのCheckout、コード不要のPayment Links、組み込み用のElements、API、継続課金向けのBillingを選べる。独立した比較でも、国内決済手段と開発機能の違い として、StripeはPayPayやコンビニ決済と柔軟なAPI、PayPalは決済ボタンと海外顧客向けの導線が主な判断材料に整理されている。
そのため、「PayPalは簡単、Stripeは開発者向け」という二分だけでは不十分だ。既製の決済画面で販売を始めるだけなら両社とも候補になるが、商品情報、顧客権限、利用量、プラン変更と決済状態を連動させるSaaSでは、APIと請求機能の適合性が手数料差より重要になる場合がある。
継続課金では返金と異議申し立ても件数で効く

サブスクリプションでは固定40円が毎月、契約件数分だけ発生する。標準商用取引を前提に、国内1万円の月額決済を1000契約処理する条件例では、PayPalとStripeの差は月4万円、年48万円になる。承認制のPayPalオンラインカード決済サービスや個別契約を使う場合は、この試算をそのまま適用できない。
返金条件も一律ではない。PayPalの商用取引では返金操作そのものに手数料はかからないが、受取時に支払った手数料は戻らない。Stripeは料金表上、コンビニ決済と銀行振込の返金に250円と消費税がかかるため、返金率が高い事業では決済手段別に費用を分けて見積もる必要がある。
異議申し立てでは、Stripeの受領手数料は1件1500円である。PayPalは処理区分により、日本円で1300円のチャージバック手数料または1630円の標準異議解決手数料が関係する。料金差だけでなく、配送記録、利用同意、顧客とのやり取りを保存し、反証へ対応する運用負担も比較対象になる。
- 固定費:Stripeの標準カード決済は取引額の3.6%。PayPalの標準商用取引は3.60%と40円。
- 為替:海外取引の追加料と通貨換算費用を別々に計算する。
- 返金:元の受取手数料が戻るか、決済手段別の返金費用があるかを確認する。
- 異議申し立て:チャージバックとPayPal内の異議解決では手数料区分が異なる。
- PayPay:Stripeで利用できるが、標準カード料率とは異なる。
事業モデル別に選ぶ基準
国内中心の少額ECでは、固定手数料のない標準カード決済とPayPay対応を持つStripeが第一候補になりやすい。特に1000円前後の注文が多い事業では、PayPalの固定40円によって標準商用取引の実効率が7.6%まで上がる。
自社開発のSaaSでは、課金状態をプラン、権限、利用量と連動させるならStripeを検討しやすい。PayPalを選ぶ場合も、標準商用取引だけでなく、利用資格を満たすオンラインカード決済サービスと必要な継続課金機能を含めて比較する必要がある。
越境ECでは、PayPalを希望する顧客が実際にいるかが重要になる。PayPal導線による追加売上が海外取引手数料や通貨換算費用を上回るなら併設が合理的であり、需要が確認できない段階で手数料だけを理由に全面移行する必要はない。
最終的な比較式は「割合手数料×取引額+固定手数料×件数+通貨換算+返金・異議申し立て費用」となる。平均注文額、月間件数、海外取引比率、決済手段別の利用率を当てはめれば、1万円の40円差が小さな端数なのか、年間利益へ効く固定費なのかを判断できる。
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