noteかSubstackか、10%だけでは決まらない有料読者の届け方

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
noteかSubstackか、10%だけでは決まらない有料読者の届け方

日本語の有料記事を個別に公開・販売したいならnote、継続して読む人にメールで届けたいならSubstackが候補になる。noteの販売手数料の案内では、カード決済時に事務手数料5%を引き、その残額に有料記事やメンバーシップの利用料10%をかけるとしている。

Substackは記事を購読者へメールで送れ、購読者リストの書き出しにも対応する。Substackの機能案内によると、有料購読には売上の10%がかかり、決済にはStripeを使う。選択を左右するのは手数料率だけではなく、読者が記事を見つける入口、次の文章を受け取る経路、将来使える連絡先の範囲だ。

記事を売る場所と、次の記事を届ける経路

noteでは、公開した記事をそのまま有料記事として販売できる。単発の解説や作品ごとに購入してもらいたい場合、読者は記事を読んだ場所で購入を判断できる。日本語で記事を公開し、まず個別の文章を販売したい書き手には分かりやすい形だ。月額で読者とつながりたい場合にはメンバーシップも選べる。

Substackの中心にあるのは、記事を公開すると同時に購読者へ届ける運用だ。読者はウェブ上でも記事を読めるが、メールを受け取る約束が次の投稿との接点になる。連載や定期的な論考のように、同じ読者へ続けて届けたい内容との相性がよい。すでに告知できる読者がいるなら、その人たちを購読者として迎える流れも考えやすい。

ただし、メール配信の機能があることと、最初から送り先があることは別だ。既存読者が少ない書き手には、記事の共有や外部での発信など、購読登録までの入口が要る。一方、Substackにも検索や推薦などの発見機能があるため、「日本語ならnote、海外向けならSubstack」と言語だけで決めるのも早い。日本語の読者に何を売るか、すでにどこで読者とつながっているかを合わせて考える必要がある。

月額500円・1000円・3000円の手取りを分けて見る

以下は読者がウェブ上で円建ての月額料金をカードで支払い、書き手が日本のStripe標準料金を利用すると仮定した、読者1人・決済1回あたりの試算だ。noteはメンバーシップ、Substackは有料購読を想定する。Stripeの日本向け標準料金には、成功したカード決済の3.6%と、Billing取引額の0.7%が示されている。Substackで実際に適用されるStripeの契約条件を確定した数字ではない。

noteは「価格×カード決済の事務手数料」を引き、その残額にプラットフォーム利用料をかける。Substack側は、価格からプラットフォーム利用料、仮定したカード決済費、継続請求費を別々に引く。noteの振込手数料、税、通貨換算、追加の決済費用、iOSアプリ内課金は含めない。月額500円の行も費用の仕組みを比べるための仮定であり、その価格をSubstackで設定できると示すものではない。

  • 月額500円:noteは事務手数料25円、プラットフォーム利用料47円で、振込前の残額428円。Substackは利用料50円、仮定したカード決済費18円、継続請求費3.5円で、計算上の残額は428.5円。
  • 月額1000円:noteは事務手数料50円、プラットフォーム利用料95円で、振込前の残額855円。Substackは利用料100円、カード決済費36円、継続請求費7円で、計算上の残額は857円。
  • 月額3000円:noteは事務手数料150円、プラットフォーム利用料285円で、振込前の残額2565円。Substackは利用料300円、カード決済費108円、継続請求費21円で、計算上の残額は2571円。

noteの利用料はカード決済費を引いた後の金額にかかり、計算時の小数点以下は切り捨てる。このため、売上に二つの料率を単純に足してかけた額とは一致しない。振込手数料は購入ごとではなく売上金を受け取る際に発生する費用なので、読者1人分の各行から毎回差し引いていない。

試算では手取りが近いが、差額をそのまま選択理由にはできない。noteでは読者がカード以外の決済方法を選ぶと事務手数料が変わる。Substack側もStripeの適用料金や通貨換算の有無で残額が動く。実際の入金額を見積もる際は、販売するプランと読者の購入経路をそろえる必要がある。

ウェブ決済とアプリ内課金は同じ条件ではない

上の計算は、両サービスをできるだけ同じ条件に置くため、ウェブ上でのカード決済に限ったものだ。SubstackのiOSアプリ内課金は別の購入経路なので、Stripeのカード決済費を当てはめた試算と混ぜられない。読者がアプリで購読する可能性が高い場合、ウェブでの手取りだけを見て価格を決めると、実際の販売構成とのずれが生じる。

海外の読者を主な対象にする場合も、日本のStripe標準料金による円建て試算はそのまま使えない。支払い通貨、決済に使うカード、書き手のStripeアカウントに適用される料金が関わるためだ。海外向けにSubstackを選ぶ理由は、メール購読を軸に継続配信したいかどうかに置き、費用は想定する販売条件で別に見積もりたい。

メールアドレスを持つことと、有料購読を移すこと

継続して文章を届けるなら、購入直後の手取りだけでなく、次回も読者に連絡できるかが重要になる。Substackでは購読者のメールアドレスを管理し、購読者リストをCSVで書き出せる。配信先を把握し、将来ほかの配信方法を検討したい書き手には具体的な利点だ。リストを書き出せても、別の場所から送るメールを読者が必ず開くわけではない。

noteの通常のメンバーシップでは、メンバーが入力したメールアドレスを個別の詳細画面で確認できる場合がある。一方、メンバー情報のCSVに含まれる会員番号、note ID、名前、加入プランなどと、配信に使えるメールアドレスの一覧は同じものではない。会員管理をしたいのか、別のサービスでも連絡できるリストを持ちたいのかで、確認すべき機能が変わる。

移行についても、連絡先と課金を分けて考えたい。記事のデータやメールアドレスを持っていても、読者が新しい販売先で購読を始め、支払いを続けられるかは別の問題だ。将来の移行を重視するなら、リストの書き出しだけを「有料読者をそのまま移せる」ことと同一視しないほうがよい。

読者の現在地から選ぶ

判断の順序は、既存読者の有無、届けたい言語圏、メールで直接つながる必要性だ。次の目安は収益を保証するものではなく、最初の読者が記事に出会い、その後も受け取る経路から整理したものだ。

  • 日本語中心で、定期的な読者はまだ少ない:個別の記事を公開・販売するところから始めたいならnoteが候補になる。まず何を有料で読みたいと思ってもらえるかを、記事単位で考えやすい。
  • 日本語中心で、すでに継続して読む人がいる:新しい投稿をメールで届けたいならSubstackが候補になる。販売ページへの訪問を待つより、購読を軸に関係を続けたい場合の選択だ。
  • 海外の読者にも定期配信したい:Substackを検討しやすい。ただし、本文の円建て試算を海外の決済条件に読み替えず、使う通貨とStripeの料金を分けて考える。
  • 将来使えるメールリストを優先する:Substackの購読者リストの書き出しが判断材料になる。noteのメンバーシップを選ぶ場合は、会員情報と配信先のメールアドレスを別のものとして扱う。

単発の記事を買ってもらう形が中心ならnote、同じ読者へ次の文章を送り続ける形が中心ならSubstack。費用が近い条件ほど、読者との接点と連絡先の扱いが選択を左右する。

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