GhostかSubstackか、月290ドルで10%課金が固定費に並ぶ

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます| 1
GhostかSubstackか、月290ドルで10%課金が固定費に並ぶ

Ghost(Pro) Publisherは年払い換算で月29ドル(無料・有料を合わせて1,000会員まで)、Substackは有料購読売上の10%を課すため、売上が月290ドルならプラットフォーム費はどちらも29ドルになる。Ghost側には売上に応じた手数料がなく、Substackは有料購読を始めるまで固定の掲載料がかからない。

固定費を抑えて始めるならSubstack、会員枠に収まり、有料売上が安定して増えるならGhost(Pro) Publisherが有力だ。ただし、この境目は制作者の手取りが等しくなる点ではない。決済費、Ghostの年払い、読者を集める機能、移行時に残る既存購読の条件を分けて考える必要がある。

月100・290・1,000ドルで費用はどう変わるか

以下は、有料購読の月間売上をそれぞれ仮定し、プラットフォームに払う費用だけを計算した例だ。GhostはPublisherの年払い料金を月換算し、会員総数が契約枠内に収まるものとする。Substackは同じ売上に手数料率を掛ける。Stripeの費用、税、独自ドメインなどの追加費用は含めない。

  • 月100ドルの売上:Substackは10ドル、Ghost(Pro) Publisherは月換算29ドル。Substackのプラットフォーム費が19ドル低い。
  • 月290ドルの売上:Substackは29ドル、Ghost(Pro) Publisherも月換算29ドル。同額になる。
  • 月1,000ドルの売上:Substackは100ドル、Ghost(Pro) Publisherは月換算29ドル。Ghostのプラットフォーム費が71ドル低い。

Ghostの月換算額は、毎月その金額を払う契約を意味しない。売上がない月にも固定費は発生し、短期間で運営をやめても、その月の売上に比例して費用が減るわけではない。月ごとの売上が大きく揺れる媒体なら、好調な月の差額より、年払いで負担する総額と年間の有料売上を並べたほうが判断しやすい。

この計算は、同じ会員枠を使い続けられる場合に限る。Ghostの料金は会員規模に応じて変わるため、読者が増えて上位の枠が必要になれば、固定費と売上連動手数料が並ぶ売上額も変わる。購読単価が高く少数の有料会員で売上を得る媒体と、大きな無料読者層から一部が課金する媒体では、同じ売上でも条件が違う。

Ghostの会員枠は無料読者も数える

Ghost(Pro) Publisherでは無料会員と有料会員の両方が1,000人の会員枠に含まれる

Ghost(Pro)で有料購読に対応するのはPublisher以上のプランだ。その会員枠には有料会員だけでなく、購読やログインのためにアカウントを持つ無料会員も含まれる。有料売上が費用の境目に届いていても、無料読者を含む総会員数が枠を超える見込みなら、Publisherの最低料金を使った比較は成り立たない。

Substackは無料での公開と購読者の受け入れに固定のプラットフォーム料金を設けていない。無料読者が先に増え、有料化はこれからという媒体では、売上が立つ前からGhostの会員数に応じた費用を負担することになる。一方、有料読者の比率が高く、総会員数が枠内に収まる媒体では、Ghostの固定費を有料売上で吸収しやすい。

比較に使う会員数は「メールを受け取る有料読者数」ではなく、Ghostへ登録する無料・有料のアカウント数だ。移行を考えている場合も、現在の有料購読者だけを数えると必要な料金枠を小さく見積もってしまう。無料会員をどれだけ増やす方針かは、売上予測と同じくらい費用に影響する。

Stripe費用は別に置き、手取りと混同しない

両サービスの有料購読にはStripeの決済処理が関わる。カード処理費などはプラットフォーム費とは別に差し引かれるため、上の差額をそのまま手取りの差額にはできない。さらにSubstackでは、継続課金に関わるStripe Billingの費用も案内されている。決済関連費をすべて両者で同額と決めつけると、実際の入金額と計算がずれる。

決済費は登録国、読者の支払い方法、請求回数、購読単価によって変わる。日本で運営する媒体に米国カード向けの料率だけを当てはめても、正確な見積もりにはならない。少額の月額購読が多い場合と年額購読が中心の場合では、売上が同じでも取引回数が異なり、取引ごとに発生する費用の効き方も変わる。

また、SubstackのiOSアプリ内で購入される購読は、ウェブでの支払いと価格条件が異なる場合がある。ここで比べているのは、公開されている通常のプラットフォーム料金と売上連動手数料だ。実際の収支では、どの経路で読者が支払うかを分け、決済関連費を別項目として加えるのが適切だ。

独自ドメインとテーマで変わる媒体の作り方

Ghost(Pro)のテーマ設定とSubstackのサイト編集機能が、媒体の見せ方に異なる選択肢を与える

独自ドメインはGhost(Pro)とSubstackの両方で使える。Ghost(Pro) Publisherでは、用意されたテーマの導入や独自テーマの設定もできるため、記事サイトとニュースレターを同じブランドの媒体として細かく設計したい場合に向く。ドメインの取得・更新や独自テーマの制作には、プラン料金とは別の費用や作業が生じうる。

Substackも、ウェブサイト編集機能でロゴ、色、書体、ヘッダーやホームページの記事配置を変えられる。独自ドメインの接続には一度限りの料金がかかる。したがって、Substackを一律の外観しか使えないサービスとして扱うのは正確ではない。

違いが出るのは、用意された編集項目で媒体の見せ方が足りるか、それともテーマそのものを選び、必要に応じて作り込むかという点だ。ニュースレターを主役にして早く公開したいなら、Substackの編集範囲で十分な場合がある。公開サイトの構成まで独自に整えたいなら、Ghostのテーマ機能には固定費とは別の価値がある。

読者獲得では推薦機能の使い方が違う

Substackの推薦機能では、ほかの媒体を購読後の画面、ホームページ、推薦メールなどで読者に紹介できる。推薦された制作者には相互推薦の機会もある。同じサービス内で活動する媒体との接点を重視するなら、この導線は料金表だけでは表せない選択材料になる。

Ghostにも媒体間の推薦機能や、媒体を見つけてもらうためのディレクトリがある。どちらか一方にだけ発見機能があるわけではない。ただし、機能が存在することと、自分の媒体に有料読者が流入することは別だ。扱う分野に近い制作者とのつながりや、すでにいる読者がどこで新しい媒体を探すかによって価値は変わる。

検索、既存サイト、SNS、ほかのメール配信などから読者を呼べる媒体では、Ghostでサイトの設計を握る利点が大きくなる。Substack内での推薦や購読導線を成長の中心に置くなら、売上に対する手数料はその環境を使う費用としても評価する必要がある。どちらを選んでも、推薦機能だけで有料購読の増加が保証されるわけではない。

Substackから移ると既存の課金条件が残る

Substackで始めてからGhostへ移ることはできる。GhostのSubstack移行ガイドは、記事と会員を取り込む手順を示す一方、既存の有料購読にはSubstackの10%手数料が移行後も続くと明記している。移行した瞬間に、過去に獲得したすべての有料購読へGhostの手数料条件が適用されるわけではない。

有料会員を移す際は、Substackで使っていたものと同じStripeアカウントをGhost側に設定する必要がある。記事と無料・有料会員の取り込みは用意されているが、課金の継続、既存記事のURL、独自ドメインの転送はそれぞれ確認が要る。とくに公開済みの記事へ外部からリンクされている媒体では、移行後の転送設定が読者の到達先に直結する。

Ghostの有人移行支援は大規模または複雑な案件を中心とし、多くの媒体にはセルフサービスの取り込みが基本になる。テーマの新規制作も移行支援の範囲には含まれない。すでにSubstackで有料購読を持つ制作者にとっては、新規売上で生じる費用差に加え、既存購読に残る手数料と切り替え作業を見積もることが、移行の採算を左右する。

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