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1,100円を10件売っても手取りは同じでない、販売先の選び方

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます| 2
1,100円を10件売っても手取りは同じでない、販売先の選び方

税込1,100円のデジタル商品を10件売っても、販売先によって銀行口座への入金額は同じにならない。クレジットカード決済、1注文ごとの固定額、振込時の控除をそろえて計算すると、noteは9,140円、BOOTHは銀行振込で9,730円、BASEのスタンダードプランは9,120円となる。

販売先を選ぶときは、表示された料率ではなく、想定単価と注文数で振込後にいくら残るかを比べる必要がある。さらに、購入者の決済方法、定期購読の料率、振込条件、販売先が担う集客の範囲を分けて見ると、手取りの差と機能の対価を混同しにくい。

1万1,000円の売上を同じ条件で計算する

1,100円の商品を10件販売したnote、BOOTH、BASEの異なる振込額

試算は、税込1,100円の商品を1注文につき1点、計10件販売し、売上を1回で受け取る条件とした。制作費、広告費、返金、税金は含めず、各サービスの販売・決済・振込に関する控除だけを対象にする。

  • noteの有料記事、全件クレジットカード決済:1件当たり事務手数料55円とプラットフォーム利用料104円を控除し、10件の売上残額9,410円から振込手数料270円を引く。振込後は9,140円となる。
  • BOOTHのダウンロード商品、銀行振込:ダウンロード商品の公式料金 は商品価格の5.6%+45円で、小数点以下を切り上げる。1件の利用料は107円、10件の受取金額は9,930円となり、銀行振込手数料200円を引いた9,730円が入る。
  • BASEのスタンダードプラン、Webショップの通常経路:BASEの公式料金表 では月額費用0円、決済手数料3.6%+40円、サービス利用料3%である。1注文の控除を113円として計算すると、10件の振込申請額は9,870円となり、振込関連費用750円を引いた入金額は9,120円になる。

この比較でBOOTHが最も多く残るのは、あくまで同じ価格、件数、受取方法を置いた結果である。BASEでは決済方法や販売経路、BOOTHでは受取方法が変われば控除も変わるため、サービス名だけで固定順位を付けることはできない。

注文ごとの固定額は低単価ほど重い

料率だけの比較では、BOOTHの45円やBASEの40円のような注文単位の固定額を見落としやすい。45円は500円の商品なら価格の9%、5,000円の商品なら0.9%であり、同じ固定額でも単価によって負担率が大きく変わる。

比較式は「売上総額-定率の手数料-注文ごとの固定額-月額固定費-振込関連費用」とする。ただし、計算順序と端数処理はサービスごとに異なるため、売上総額へ合算した料率を一度掛けるのではなく、各注文の控除を計算してから合計するほうが実際の精算に近い。

低価格のPDFや素材を多く売る場合は、数ポイントの料率差より固定額の影響が大きくなることがある。反対に、高単価商品や注文をまとめられる販売形式では固定額の比重が下がるため、平均注文額を置かずに有利不利を判断することはできない。

noteは購入者の決済方法で入金額が変わる

noteの決済方法によって同じ10件の販売手取りが変わる比較

noteの事務手数料は、販売者ではなく購入者が使った決済手段で決まる。noteの手数料計算 では、クレジットカード5%、PayPal 6.5%、PayPayとAmazon Pay 7%、noteポイント10%、携帯キャリア決済15%の事務手数料を先に引き、その残額へ有料記事などは10%、定期購読マガジンは20%の利用料を掛ける。振込手数料は1回270円である。

全10件がクレジットカード決済なら振込後は9,140円だが、全件が携帯キャリア決済なら8,150円となる。後者は1件につき事務手数料165円と利用料93円が引かれ、残額が842円になるためで、10件では決済構成だけで990円の差が生じる。

実際の売上では複数の決済方法が混在し得るため、販売前に入金額を一つに確定できない。収支計画では、低負担の決済だけを置くのではなく、複数の構成を仮定して手取りの幅を持たせる必要がある。

定期購読は単発売りの試算を流用できない

noteでは有料記事と定期購読マガジンでプラットフォーム利用料が異なる。同じ1,100円をクレジットカードで10件決済しても、定期購読マガジンでは1件当たり事務手数料55円、利用料209円となり、10件分から振込手数料を引いた金額は8,090円である。単発の有料記事として売る試算より1,050円少ない。

ただし、定期購読は購入者が毎回買い直さずに継続できる販売形式であり、単月の手取りだけでは価値を評価できない。継続率、解約、更新コンテンツの制作負担を含む数カ月分の収支と、販売したいファイルを想定どおり提供できるかを別々に確認する必要がある。

振込方法と売上規模で少額販売の順位が変わる

少額売上に対するBASEの振込控除とBOOTHの月次入金条件の比較

BOOTHの銀行振込手数料は、受取金額からチャージ予定額を引いた金額が3万円未満なら200円、3万円以上なら300円で、PayPalへの振込は無料であることが BOOTHの振込条件 に示されている。このため、今回の受取金額9,930円を銀行へ振り込む場合は9,730円、PayPalなら9,930円となる。

BASEは振込申請ごとに250円がかかり、申請額が2万円未満なら500円の事務手数料が加わる。振込申請の控除額 に従うと、今回の9,870円には合計750円がかかるため、販売時の料率差が小さくても最終入金額に影響する。

固定の振込費用は、受取回数を減らして売上をまとめるほど売上高に対する割合が下がる。一方、入金を待てば資金化も遅れるので、最低振込額だけでなく、申請の要否、振込頻度、売上を繰り越せる期間まで確認したい。

集客機能は手数料と分けて評価する

手取りが多い販売先が、必ずしも最も売りやすい場所とは限らない。既存読者が記事から購入する商品、作品を探す人に届けたい素材、自分のサイトやSNSから送客する教材では、必要な発見経路と販売ページの自由度が異なる。

候補ごとに、次の条件を同じ表へまとめると比較しやすい。

  • 想定単価と注文数から計算した振込後の金額
  • 決済方法と販売経路による手数料差
  • 定期購読、会員限定公開、ファイル更新への対応
  • 最低振込額、振込頻度、少額入金時の追加費用
  • サービス内検索、フォロー、試し読みなどの発見経路
  • 外部から集客するための広告費、運用時間、顧客対応

既存の集客経路が強いなら、入金額と販売ページの自由度を優先しやすい。サービス内での発見を期待するなら、その機能を手数料の対価として切り分け、実際の閲覧数や購入率を含めて判断する。販売先は公称料率の順位ではなく、自分の単価、件数、決済構成、受取回数を入れた手取りと、必要な集客機能の組み合わせで選ぶのが妥当である。

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