
MOSHの手数料は率だけで読めない、1件99円が効く売価の境目

MOSHの 公式料金表 では、年間決済額1,200万円未満のStripeカード決済は6.5%+1件99円、fincodeカード決済は7.0%とされている。Stripeの99円は売価が低いほど実効手数料率を押し上げるため、表示された料率だけでは販売者の手取りを比べられない。
条件付きの試算では、1,000円の商品をStripeのカード決済で1件売ると手数料164円、手取り836円で、実効手数料率は16.4%になる。同じ条件でも売価が1万円なら手数料749円、実効7.49%だ。以下の手取りは、特記しない限り決済手数料だけを売価から差し引いた額であり、月額プラン料金、商品の原価、税金は含まない。
カード決済の比較が逆転するのは売価1万9,800円
通常区分のカード決済でStripeの手数料を求める式は「売価×6.5%+99円」、fincodeは「売価×7.0%」だ。Stripeの実効手数料率は「6.5%+99円÷売価」で表せる。固定額99円だけを売価で割ると、1,000円では9.9%、5万円では0.198%に相当する。同じ加算額でも、安い商品ほど料率との差が目立つ理由である。
年間決済額1,200万円未満で、各価格の商品をカードで1件ずつ販売したと仮定すると、決済手数料と差引額は次のようになる。実効手数料率は手数料を売価で割った値だ。
- 1,000円:Stripeは手数料164円、手取り836円、実効16.4%。fincodeは手数料70円、手取り930円、実効7.0%。
- 5,000円:Stripeは手数料424円、手取り4,576円、実効8.48%。fincodeは手数料350円、手取り4,650円、実効7.0%。
- 1万円:Stripeは手数料749円、手取り9,251円、実効7.49%。fincodeは手数料700円、手取り9,300円、実効7.0%。
- 5万円:Stripeは手数料3,349円、手取り4万6,651円、実効約6.70%。fincodeは手数料3,500円、手取り4万6,500円、実効7.0%。
両者のカード手数料が等しくなる売価は、99円を料率差の0.5ポイントで割った1万9,800円だ。それより安ければfincodeの表示手数料が低く、高ければStripeの表示手数料が低い。ただし、この境目は決済手数料だけの比較である。fincodeには事前審査があり、入金時期も異なるため、境目を超えたかどうかだけで利用先は決まらない。
Stripeでは販売件数も効く。月の売上が同じ10万円でも、1,000円の商品を100件売ればカード手数料は計1万6,400円、1万円の商品を10件売れば計7,490円となる。差額8,910円は、取引件数の差90件に固定額99円を掛けた値と一致する。売上総額と料率が同じでも、平均売価が違えば手取りが変わる。
銀行振込ではfincodeの最低手数料に注意
通常区分のStripe銀行振込は、売価の3.0%に1件99円を加える。条件付きで1件ずつ計算すると、1,000円では手数料129円・手取り871円・実効12.9%、5,000円では249円・4,751円・4.98%となる。1万円では399円・9,601円・3.99%、5万円では1,599円・4万8,401円・約3.20%だ。カードより基本料率は低いが、低価格帯では同じ99円が残る。
fincode銀行振込の表示料率は3.0%で、Stripeのような99円の加算はない。ただし、MOSHの 手数料ヘルプ は、銀行振込に最低手数料130円(税抜)があると記している。したがって、1,000円の3.0%に当たる30円を、そのままfincode銀行振込の確定手数料や手取りの計算に使うことはできない。
5,000円、1万円、5万円に3.0%を掛けた額は、それぞれ150円、300円、1,500円になる。これらは料率部分を比較するための値で、最低手数料や税の扱いを反映した入金確定額ではない。特に少額販売では、カード決済の「7.0%」と銀行振込の「3.0%」だけを並べると、銀行振込の実際の負担を過小評価しうる。
銀行振込には、販売者側の決済手数料とは別に、購入者が利用する銀行の振込手数料という視点もある。ここで示した手取り試算には購入者側の費用を含めていない。また、銀行振込は購入者の入金を経て決済が成立するため、カード決済と同じ時点で売上が確定する前提にもできない。価格と決済方法の比較では、誰が負担する費用なのかを分けて考える必要がある。
年間決済額による優遇でも99円は残る
MOSHでの年間決済額1,200万円以上の区分では、カード決済はStripeが4.5%+99円、fincodeが5.0%、銀行振込はStripeが2.0%+99円、fincodeが2.0%と表示される。通常区分から料率は下がるが、Stripeの各決済に加わる固定額は変わらない。カード決済の両社の料率差も0.5ポイントのままなので、表示手数料が等しくなる売価は1万9,800円のままだ。
優遇区分のStripeカードで1万円の商品を1件売るという条件付きの例なら、手数料は549円、手取りは9,451円、実効5.49%となる。5万円なら手数料2,349円、手取り4万7,651円、実効約4.70%だ。通常区分より率の負担は小さくても、99円が占める割合は販売価格で決まる。優遇後の料率だけを見て、少額商品の実効負担まで同じ割合で下がると考えることはできない。
年間決済額の区分と、個別に相談する特別手数料は混同しないほうがよい。MOSHは特別手数料の申請を案内し、月間100万円以上の利用を相談の目安としている。申請後は年間の利用見込みや利用状況を確認して料率を案内する仕組みであり、目安に達しただけで希望する料率が自動適用されるという説明ではない。収支予測には、実際に適用されると確認できた条件を使うのが適切だ。
入金時期と切り替え条件も手取りの判断材料
決済手数料が引かれた後の金額と、その金額をいつ受け取れるかは別の問題である。Stripeの売上入金は毎月25日頃と案内されている。MOSHの fincode決済案内 では、毎月1日から末日までの決済を集計し、翌月末日頃に入金すると説明している。講座の開催前に講師料や制作費を支払う場合、数十円から数百円の手数料差とともに、現金を受け取る時期が支払い予定に合うかも判断に関わる。
fincodeを使うには事前審査が必要で、審査結果が出るまでの目安は約2週間とされる。審査を通過すると、講座・コンテンツの販売で銀行振込や分割払いを選べる。価格表上でfincodeの手数料が低い売価であっても、販売開始時にすぐ使えると仮定した試算にはできない。販売予定がある商品では、審査に要する時間と使いたい支払い方法を合わせて見ることになる。
すでにStripeでサブスク商品を販売している場合は、切り替えにも影響がある。fincodeへ切り替えると、Stripeで作成した既存のサブスク商品は新規申込を受けられなくなり、新しい商品ページの作成が必要になる。一方、既存の契約者の継続課金はStripe側に残る。新規販売分の料率だけで切り替え効果を計算すると、既存契約の決済と商品ページの運用が抜け落ちる。
月額プランは決済手数料と分けて計算する
MOSHではFREE、STARTER、GROWの各プランで予約、決済、顧客管理などの基本機能を使える。月額料金はFREEが0円、STARTERが1,380円、GROWが2,980円から。STARTERではランディングページの公開、GROWでは会員サイトの公開などが選択理由になる。料金表は月額プランと決済手数料を別の費用として示しており、上位プランの月額料金を払うだけで、ここまでの決済料率が下がる仕組みではない。
たとえば通常区分のStripeカードで、1,000円の商品を月20件販売すると仮定する。売上2万円から決済手数料3,280円を引くと1万6,720円だ。月額料金も差し引けば、FREEでは1万6,720円、STARTERでは1万5,340円、GROWの最低月額を当てはめた場合は1万3,740円となる。これは同じ販売件数と決済方法を置いた費用比較であり、どのプランでも同じ機能を使えるという意味ではない。
月額プランを選ぶ理由は、販売に必要な公開ページや会員サイトなどの機能にある。一方、売価と件数が決めるのは決済手数料の実効負担だ。少額販売が多ければ99円の累積が重くなり、銀行振込を使えば最低手数料や決済成立までの流れも加わる。これらを別々の費用と条件として扱えば、表示料率だけでは見えない手取りの差を説明できる。
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