
SquareかSTORESか、手数料より入金日が資金繰りを変える

SquareとSTORES 決済を比べる小規模店は、決済手数料だけでなく、支払日までに売上金が口座へ入るかで選びたい。Squareは対面決済の料金・入金条件で、対象となる主要カードの手数料を2.5%から、月額固定費と通常入金の振込手数料を無料としている。ただし通常入金の日は登録銀行で変わる。
STORES 決済は、プラン料金と入金条件によると、フリーの対象カードが2.48%、スタンダードのVisa・Mastercardが1.98%だ。スタンダードは年間契約で月額3,300円、端末1台を無償貸出する。手動入金は入金額が10万円未満だと1回200円かかるため、低い料率の効果はカード売上と引き出す回数を合わせて見る必要がある。
カード売上別に初年度費用を比べる
以下は実在店舗の実績ではなく、月商とカード比率を変えた仮の計算だ。カード売上はすべて店頭のVisa・Mastercard決済とし、毎月同じ額が発生すると仮定する。現金売上に決済手数料は掛けず、電子マネー、QRコード決済、返金、税金は含めない。
初年度費用には決済手数料、プラン料金、端末1台の費用を含める。Squareはリーダーを購入し、STORESのフリーは端末を購入、スタンダードは年間契約による無償貸出を使う条件だ。まず手動入金や即時入金の追加費用を除き、同じカード売上に対する基本費用を比べる。
- 月商30万円、カード比率30%の店なら、カード売上は月9万円、年108万円。初年度費用はSquareが31,980円、STORESフリーが54,504円、スタンダードが60,984円となる。この規模では、スタンダードの料率差より月額料金の負担が大きい。
- 月商100万円、カード比率60%なら、カード売上は月60万円、年720万円。Squareは184,980円、STORESフリーは206,280円、スタンダードは182,160円だ。スタンダードがSquareを年2,820円下回るが、少額の手動入金を重ねると差は縮まる。
- 月商300万円、カード比率80%なら、カード売上は月240万円、年2,880万円。Squareは724,980円、STORESフリーは741,960円、スタンダードは609,840円となる。カード売上が増えるほど、対象カードの料率差が年間費用に大きく表れる。
最後のモデルでも、計算に入れたカード売上は年間3,000万円未満だ。ただし、ほかのキャッシュレス決済も扱えば年間取扱額がこの境界を超える可能性がある。各社の料率条件は年間キャッシュレス決済額を基準にしているため、その場合は上の料率をそのまま延長できない。
銀行と曜日で変わる着金日
同じ売上でも、口座に入る日が違えば仕入れに使える日は変わる。小規模店では入金サイクルと振込手数料が資金繰りの比較項目になる。年間費用が近いサービス同士ほど、支払日の前に着金するかが選択を左右する。
Squareの振込スケジュールでは、三井住友銀行・みずほ銀行の登録口座には決済日の翌営業日、その他の銀行には水曜締めで同じ週の金曜に入金される。木曜の売上は次の締めに回る。土日祝日は振込がなく、予定日が銀行休業日なら翌営業日になる。
祝日がない週に売上が発生し、STORESでは売上の翌朝6時以降すぐに手動入金を依頼する、という仮定で比べる。STORESの着金は依頼後1~2営業日なので、以下は確定日ではなく目安の幅だ。
- 月曜の売上は、Squareの三井住友銀行・みずほ銀行口座なら火曜、その他の銀行なら金曜に入る。STORESは火曜に手動入金を依頼すると、水曜~木曜が目安になる。
- 水曜の売上は、Squareの指定2行なら木曜、その他の銀行なら金曜。STORESは木曜に依頼すると、金曜~翌週月曜が目安だ。
- 木曜の売上は、Squareの指定2行なら金曜、その他の銀行なら翌週金曜。STORESは金曜に依頼すると、翌週月曜~火曜が目安になる。
例えば木曜のカード売上を翌週前半の仕入れに充てたいなら、Squareにその他の銀行を登録した場合は通常入金を待つと間に合わない。STORESの手動入金なら先に着く可能性がある。一方、指定2行を使うSquareなら通常入金で金曜に入る。STORESを自動入金に設定した場合は月末締め・翌月20日入金となり、手動入金とは資金を使える時期が大きく異なる。
少額の手動入金は回数が効く
月商30万円のモデルでは、カード売上は月9万円だ。STORESで月1回まとめて手動入金しても入金額は10万円未満となり、振込手数料は月200円、年2,400円。仮に月4回に分ければ各回とも10万円未満なので、月800円、年9,600円になる。
この追加費用を初年度額に足すと、STORESスタンダードは月1回の依頼で63,384円、月4回なら70,584円となる。フリーはそれぞれ56,904円と64,104円だ。依頼をまとめれば振込費用は減るが、月の早い時期に発生した売上を使えるまでの待ち時間は延びる。
月商100万円のモデルなら、月60万円のカード売上を仮に4回、各15万円ずつ依頼した場合、決済手数料を差し引いても各回の入金額は10万円以上となり、手動入金の振込手数料は掛からない。ただし売上が均等に積み上がるとは限らない。仕入れのために10万円未満の段階で依頼する回には、別途200円が掛かる。
Squareで通常日程より早く資金が必要な場合は、即時入金の手数料が送金額の1.5%となる。仮に5万円を即時入金すれば追加費用は750円だ。通常入金は無料でも、急ぎの送金を繰り返せば、基本費用だけで見た順位は変わり得る。
端末と決済手段で試算の前提が変わる
Squareの初年度額には、Square リーダー(第2世代)の税込4,980円を含めた。STORESフリーには税込27,720円の端末購入費を含め、スタンダードは年間契約による1台目の無償貸出を前提とした。貸出端末はプラン解約時に返却が必要で、月額契約では購入条件が異なる。
この比較でVisa・Mastercardに絞ったのは、STORESスタンダードの1.98%がそのブランドに適用されるためだ。同プランでもJCBなどは2.38%、交通系ICや主なQRコード決済は3.24%となる。Squareの2.5%も条件を満たす主要カードの対面決済に対する料率で、すべての決済方法へ一律に掛けられる数字ではない。
両社ともカード、電子マネー、QRコード決済を扱うが、利用できるブランドや必要な審査、端末の条件は同一ではない。店頭で多い支払い方法がVisa・Mastercard以外なら、その売上に適用される料率で計算し直す必要がある。オンライン販売を含む店も、ここで使った対面決済の料率とは分けて考えることになる。
支払日までに使える売上金で選ぶ
カード売上が小さいモデルでは、月額固定費のないSquareが初年度費用を抑えられる。カード売上が大きいモデルではSTORESスタンダードの料率が効く。ただし、月商100万円のモデルで示した基本費用の差は小さく、入金を急ぐ回数によって実際の負担は動く。
仕入れや家賃の支払日が決まっている店なら、その前に必要な額が口座へ着くかを、登録銀行と入金方式ごとに見ると選びやすい。とくに木曜以降の売上は、Squareに登録する銀行によって通常入金の日が大きく離れる。STORESでは早く引き出せる一方、少額の手動入金を重ねるほど費用が増える。この違いが、料率だけでは見えない資金繰りの差になる。
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