請求書カード払いかファクタリングか、動かすお金が逆

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
請求書カード払いかファクタリングか、動かすお金が逆

請求書カード払いは取引先への支払いを先に済ませ、自社の現金支出を後日に移す。ファクタリングは売掛金を売却し、本来の回収日より前に現金を受け取る。ワンバンクの仕組みの比較でも、対象はそれぞれ「これから支払う請求書」と「まだ入金されていない請求書」に分かれている。

支払先に期限どおり送金できれば足りるならカード払い、自社口座に現金が必要なら売掛金の買取りが候補だ。どちらも手数料がかかるが、同じ金額を扱っても得られるものは違う。先に不足する日と現金の到着先を決め、その日に間に合う条件で総費用を比べたい。

対象になるのは、支払う請求書か、回収する売掛金か

カード払いでは、自社が仕入先や外注先から受け取った請求書を使う。サービス会社が支払先へ振り込み、利用者はカード引落日に代金と手数料を負担する。支払先への送金と自社口座からの出金を別の日にできるが、自社の預金残高に新たな現金が入る仕組みではない。

ファクタリングで売るのは、自社が取引先に対して持つ未回収の売掛債権だ。買取代金が自社口座へ入る代わりに、その債権の将来の回収額を手放す。売掛金がなければ買取りを申し込む対象がなく、カード払いに使える請求書がなければ支出も繰り延べられない。

この違いから、二つの料率を単純に比べても安い方法は決まらない。買掛金の支払日を動かす費用と、売掛金を早く換金する費用では、解消できる資金不足が異なるためだ。支払予定、入金予定、現在の預金残高を日付順に置くと、どちらを動かす必要があるか見えてくる。

支払いが先に来る場合:カード引落日まで足りるか

例えば外注先への振込が売上の入金より先に来る場合、カード払いはその間の現金流出を遅らせられる。ただし、売上の入金がカード引落日にも間に合わなければ、不足する日を先へ移すだけだ。利用枠に余裕があるかに加え、支払先が指定する期限までに振込が実行されるかが重要になる。

りそな決済サービスの請求書カード払いオンラインの条件は手数料を支払額の3.3%(税込)、繰延期間をカードの締日と引落日に応じて最大60日、振込可能日を申請から3営業日以降としている。これを100万円の支払いに当てはめると、手数料は3万3000円、後日負担する合計は103万3000円だ。

この最大日数は、どの申請でも同じだけ支払いを延ばせるという意味ではない。カードの締日をまたぐタイミングで実際の引落日が変わるため、請求書の支払期限とカードの引落日をそれぞれ確かめる必要がある。振込までの営業日数も見込まなければ、資金繰りには合っていても支払先の期限に間に合わない。

売掛金の入金が遅い場合:手取りはいくらか

売掛金を売却した代金が、元の入金予定日より前に事業用口座へ入る

売掛先の通常の支払期日が先で、それまでに現金支出があるなら、売掛金の買取りは入金時点を前へ動かせる。判断に使う金額は請求書の額面ではなく、手数料を引いた着金額だ。額面と必要な現金が同額なら、買取りだけでは不足する。

OLTAのクラウドファクタリングの条件では、買取手数料は諸経費込みで2〜9%、必要書類が不備なくそろってから1営業日以内に見積結果を回答し、契約後に即日または翌営業日に振り込むとしている。仮に額面100万円の売掛金がこの料率で買い取られれば、手数料は2万〜9万円、着金額は98万〜91万円となる。

この試算は提示された料率を使った条件付きの計算で、個別の買取価格や入金日の保証ではない。審査に出す債権の内容、必要書類の不足、契約の完了時刻によって、実際に使える金額と日付が決まる。予定どおりの入金を待っている債権と、すでに支払期日を過ぎた債権も同じ条件で扱えるとは限らない。

すぐに現金が必要な場合:届く先と時刻を分ける

支払期限が目前でも、必要なのが支払先への振込ならカード払いを検討できる。自社口座から給与などを支払うための現金が足りないなら、カード払いだけではその残高は増えない。売掛金の買取りは現金を口座へ入れられるが、審査と契約が終わる前の着金を前提にはできない。

条件付きの例として、明日の朝に支払先の口座で入金確認が必要なら、振込可能日が明日以降かを先に見る。一方、明日の朝に自社口座へ現金が必要なら、買取代金の手取りと実際の振込予定時刻を見る。どちらも申込日だけで判断せず、支払先または自社口座に必要額が届く日を基準にする。

資金不足が一時的であっても、両方を併用すればそれぞれの手数料がかかる。支払いを延ばして入金を待てるなら、売掛金まで売る必要があるかは別に考えられる。逆に、支払いを延ばしても口座残高が足りないなら、カード払いの低い料率だけを理由に選んでも不足は解消しない。

費用と帳簿:後日の支払いと将来の入金を残高に反映する

カード払いの費用は、元の請求額に手数料を足したカード引落額で捉える。取引先への振込が済んでも、カード引落日には自社の支払義務が残る。資金繰り表では取引先への送金日と自社口座からの引落日を分けておくと、どの日に現金が不足するか把握しやすい。

債権買取型のファクタリングでは、手数料を差し引いた買取代金が入り、売却した売掛金は後日の自社の入金予定から外れる。freeeの即日入金の仕訳例は、着金時に預金と手数料を計上して売掛金を消し込み、債権譲渡から着金まで日が空く場合は未収入金を使う形を示している。これは同サービスの登録例で、個別の会計処理は契約の実態に沿って決める。

費用比較では、カード払いは後日の引落総額、ファクタリングは額面と着金額の差をそれぞれ見る。見積りに別途の振込費用などがあれば、それも含めた現金の出入りを確認する。手数料率が近くても、前者は支払いを先へ送り、後者は将来の入金をすでに受け取るため、翌月以降の残高への影響は異なる。

契約前の警戒点:売掛先が払わないときの負担

ファクタリングでは、売掛先から回収できなかった場合に誰が損失を負うかが重要だ。金融庁の注意喚起は、額面に比べて買取代金が著しく低い取引や、回収できなければ売主が債権を買い戻す、あるいは自分の資金で買取会社へ支払う契約を、貸付けに当たるおそれがある例として挙げている。契約書に債権売買と書かれていても、実際の資金の動きとリスク負担が問われる。

買取代金の計算、追加費用、売掛先への通知、回収を担う人、不払い時の買戻し義務は、契約文面と見積りを合わせて確かめたい。自社が売掛先から代金をいったん受け取る方式なら、その代金を買取会社へ渡す条件も資金繰りに関わる。カード払いでは、対象となる請求書、利用可能枠、支払先への振込予定日、カード引落額を同じように確認する。

選択の基準は、必要な日に必要な口座へいくら届くかだ。支払先への送金を済ませて入金を待てるならカードの引落日を、現金そのものが足りないなら売掛金の手取りと着金日を比べる。そのうえで、今回の不足を埋めた後の支払予定まで含めて費用を判断できる。

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