STORESが売上前払いを開始、手数料は最大15%

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
STORESが売上前払いを開始、手数料は最大15%

STORESは2026年10月13日付の発表で、カンムと協業する招待制サービス「STORES 資金調達」の提供を同日開始した。調達可能額は50万〜1000万円、手数料は3.75〜15%。STORES ネットショップやSTORES 決済などの売上実績を使い、将来見込まれる売上を早期に資金化する。

カンムは同日付の発表で、このサービスを自社の「サクっと資金調達」を提携先のブランドで提供する最初の案件と位置づけた。買い取る対象は事業者の将来売上債権で、審査、契約、資金提供はカンムが担う。STORESから案内が届いても利用は確定せず、カンムの審査を経て取引条件が決まる。

招待から入金まで、誰が何を決めるのか

STORES ネットショップの発送と実店舗での販売が、資金調達の判断に使われる売上実績を形づくる

申し込めるのは、STORESから招待を受けた事業者だ。公式の利用案内では、STORESでの売上実績がある事業者にメールや管理画面で案内を送り、本人確認書類を提出して本申込と審査に進む流れを示している。法人に加えて個人事業主も対象で、赤字決算や開業から1年未満でも、招待を受けていれば申し込める。

招待は、利用できる可能性を知らせる入口にすぎない。事業者は希望する調達額と支払い期間を選ぶが、実際に買い取ってもらえる額や手数料率は審査結果によって変わる。公表されている金額の上限まで、希望どおりに資金を受け取れるという意味ではない。取引プランで示される最大調達可能額、買取手数料、支払い額、支払い期間が、個別の判断材料になる。

申込時に必要な書類は本人確認書類で、決算書や口座明細の提出、担保、保証人は求められない。カンムは、通常の「サクっと資金調達」で必要となる口座明細を、この提携サービスではSTORESの売上実績を活用することで不要にしたと説明している。ネットショップと実店舗の売上を横断して捉える設計だが、書類が少ないことと審査を通過できることは別である。

申込完了から入金までは最短4営業日とされる。これは審査や申込内容によって延びるため、すべての事業者に共通する入金日ではない。手続きの順序は、STORESからの招待、希望条件の入力、カンムによる審査と条件提示、契約、資金受領となる。急な仕入れ代金に充てる場合も、必要な日までに入金されるかは個別の審査結果に左右される。

手数料3.75〜15%を実額に直す

STORES 資金調達の手数料率を50万円、300万円、1000万円に当てはめた場合の費用差

料率の下限と上限には大きな開きがある。差の大きさを見るため、以下は50万円、300万円、1000万円を便宜上の計算基準額とし、それぞれに公表料率を単純に掛けた仮の計算だ。実際の契約で用いる計算基準、受取額、支払い総額を示すものではない。

  • 基準額が50万円なら、3.75%は1万8750円、15%は7万5000円。両端の差は5万6250円。
  • 基準額が300万円なら、3.75%は11万2500円、15%は45万円。両端の差は33万7500円。
  • 基準額が1000万円なら、3.75%は37万5000円、15%は150万円。両端の差は112万5000円。

同じ基準額でも、適用料率によって金額差は広がる。とりわけ調達額が大きい場合、下限の料率だけで費用を見積もると、提示される条件との隔たりが大きくなりうる。一方、上限の15%が一律に適用されるわけでもない。個別の料率は審査後に提示される取引プランで決まる。

この率は銀行融資の年利とは表示の意味が異なる。売上債権の買い取りに伴う手数料率であり、支払い期間も取引条件の一部だ。月々の資金繰りへの影響をつかむには、率だけでなく、先に受け取る額と後から支払う額、その支払いが続く期間を合わせて見る必要がある。公表料率を掛けた上の例から、実際の月額や受取額を逆算することはできない。

融資・請求書ファクタリングとの契約上の違い

このサービスでは、カンムが将来発生する売上債権を買い取り、その対価を事業者へ先に渡す。銀行融資のように元本を借りて利息を付けて返す契約ではない。提示される費用は買取手数料で、別途の金利、事務手数料、保証料はかからない。ただし、借入ではないことは、資金を受け取った後の支払いがなくなることを意味しない。

請求書ファクタリングとも、資金化する債権の段階が違う。請求書ファクタリングは、取引先に対する入金前の請求書に基づく債権を買い取る仕組みだ。STORES 資金調達が対象とするのは、まだ発生していない将来の売上である。そのため、資金化したい取引の請求書を手元に持っていることは利用の前提にならない。

この違いは、売上データの役割にも表れる。STORES ネットショップやSTORES 決済などの利用実績は、将来の売上を見込んで取引条件を判断する材料になる。特定の発行済み請求書の額面をそのまま早期入金する仕組みではなく、事業者の販売実績を踏まえて買い取る将来債権の額が提示される。複数の販売経路を持つ店にとっては、店舗とネットショップをまたぐ実績が判断材料になる点が特徴だ。

同じSTORESの資金繰り関連サービスでも、取引先への支払いを先送りする「STORES ビジネスあと払い」とは資金が動く方向が異なる。今回のサービスは将来の売上を先に資金化し、支払いを後に続ける。仕入れや設備投資、繁忙期前の準備に資金を充てる場面では、先に得られる現金と、その後に必要な現金を一続きの取引として捉えることになる。

精算は売上からの自動控除ではなく、月々の振込

契約後の精算は、カンムから届く請求書に基づく月々の支払いだ。基本の支払い期間は12カ月で、審査状況によって3カ月または6カ月のプランが示される場合がある。事業者は毎月25日までに銀行振込で支払う。STORESの売上からその都度、一定割合が自動的に差し引かれる方式として案内されているわけではない。

契約上は融資の「返済」ではなく、買い取られた将来債権に相当する額の精算となる。それでも事業者には、資金を受け取った後も各月の支払期日までに現金を用意する必要がある。売上が季節によって変動する店では、入金を早められる時点と、その後の支払月の口座残高が別々の資金繰り上の問題になる。

契約後に金額などの条件は変更できず、精算中の追加申込も受け付けていない。繰り上げ払いも原則として認められず、事情がある場合は個別の問い合わせとなる。したがって、審査後に示される支払い額と期間は、資金を受け取る時点だけでなく、その後の営業期間にも影響する条件となる。

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