
BASEかSTORESか、低単価販売は40円の固定費が効く

無料プラン同士で低単価の作品を売るなら、標準料率での販売時手数料はSTORESのほうが軽い。BASEスタンダードは公式料金表で通常決済を3.6%+1注文40円、サービス利用料を3%とし、STORESフリーはネットショップの料金案内で標準決済が5.5%、旧ベーシックプランの新規受付は終了とされている。
BASEの40円は、注文単価1,000円なら売上の4%、5,000円なら0.8%に相当する。通常決済の実効料率はそれぞれ概算10.6%と7.4%になり、どちらもSTORESフリーの5.5%を上回る。月商だけでなく、その売上を何件の注文で作るかが費用を左右する。有料プランでは月額料金と低い決済料率を合わせて比べる必要がある。
同じ売上でも、注文数が40円の総額を変える
BASEスタンダードの通常決済は、売上に対する3.6%とサービス利用料3%に、注文ごとの40円を加える構造だ。概算の実効料率は「6.6%+40円÷平均注文単価」で表せる。注文単価が小さくなるほど、一定額の40円が売上に占める割合は大きくなる。
たとえば同じ商品売上5,000円でも、1件の注文なら固定部分は40円、1,000円ずつ5件なら計200円になる。商品をまとめて買えるかどうかは販売内容や購入者次第だが、手数料を考えるうえでは商品点数より注文の区切りが重要になる。単品の小さな作品が頻繁に売れる店と、複数点を一度に購入される店では、月商が等しくてもBASE側の固定費は一致しない。
STORESフリーの標準決済には、この比較条件に当たる注文ごとの40円がない。BASEスタンダードは注文単価が高くなるにつれて実効料率が6.6%に近づくものの、標準料率だけの比較ではSTORESフリーの5.5%を下回らない。この差を見ずに「どちらも月額無料」とだけ捉えると、低単価販売の費用を読み違える。
月商10万・30万・50万円での試算

次は、送料を含む注文の支払額が毎回同じで、すべて標準料率の決済方法を使う条件付きの試算だ。比較するのはBASEスタンダードとSTORESフリーの販売時手数料であり、月額料金はどちらも発生しない。作品の原価、梱包費、広告費、売上金の振込に伴う費用は含めていない。
- 月商10万円:注文単価1,000円なら100件で、BASEは10,600円、STORESは5,500円。注文単価5,000円なら20件で、BASEは7,400円、STORESは5,500円。
- 月商30万円:注文単価1,000円なら300件で、BASEは31,800円、STORESは16,500円。注文単価5,000円なら60件で、BASEは22,200円、STORESは16,500円。
- 月商50万円:注文単価1,000円なら500件で、BASEは53,000円、STORESは27,500円。注文単価5,000円なら100件で、BASEは37,000円、STORESは27,500円。
月商30万円の例では、注文単価1,000円なら両者の差は15,300円、5,000円なら5,700円だ。売上額と売上に対する料率は変わらず、BASEで40円を加える回数だけが変わっている。月商50万円でも同じ仕組みで差が開き、1,000円の注文が続く場合の差は25,500円、5,000円の注文なら9,500円となる。
この試算の注文額では料率計算に端数が出ない。実際には注文ごとの金額や決済方法が混在するため、月商に一つの料率を掛けた数字は概算になる。平均注文単価は、対象期間の注文支払額の合計を注文件数で割って捉えると、固定費の負担を売上規模と切り分けられる。
有料プランは月額料金込みで比べる
BASEグロースはプラン案内で月払い19,980円、通常決済2.9%、サービス利用料0円とされ、標準条件の1注文40円もない。STORESスタンダードは現行プランの案内で月契約・月払い3,960円、ネットショップの標準決済3.6%とされている。両社とも年払いには別の料金があるため、ここでは月払いの条件にそろえる。
この条件で月額料金と販売時手数料を足すと、月商10万円ではSTORESスタンダードが7,560円、BASEグロースが22,880円。月商30万円ではそれぞれ14,760円と28,680円、月商50万円では21,960円と34,480円になる。どちらの有料プランも、この標準決済の試算には注文ごとの固定費がないため、注文単価1,000円と5,000円で合計は変わらない。
STORES内でフリーとスタンダードを比べると、標準決済の料率差は1.9ポイント。月契約の3,960円をその差で回収する分岐点は、月商約20.8万円だ。月商10万円ならフリーの5,500円が安く、30万円ならスタンダードの14,760円がフリーの16,500円を下回る。
BASE内の分岐点には注文単価も入る。月払いのグロースがスタンダードより安くなる月商の目安は、この条件なら注文単価1,000円で約26万円、5,000円で約44.4万円だ。ただし、グロースへ切り替えてBASE内の費用が下がることと、STORESより安くなることは別の比較になる。ここで試した月商の範囲では、四つのプランのうちSTORESフリーまたはスタンダードの販売関連費用が最も低い。
標準料率の試算から外れる注文
決済方法が変われば、同じプランでも料率が変わる。先に示した無料プランと有料プランの金額は、標準料率の決済だけに統一した結果だ。高い料率の決済が混ざる店では、その売上分を分けて計算しないと月間の実費とずれる。
注文額も毎回同じとは限らない。大きな注文と小さな注文が混在していても、BASEの固定部分を決めるのは合計注文件数だ。一方、料率部分は各注文の支払額にかかるため、送料の扱いや個々の注文額によって端数を含む実際の請求額は概算と異なりうる。月商と平均注文単価は比較の出発点にはなるが、細かな費用差には注文の内訳が関わる。
販売時手数料が低くても、そのまま利益が大きいとは限らない。作品の材料費、制作や梱包にかかる費用、店が負担する送料などは、今回のプラン比較の外側にある。また、売上金を受け取る際の費用は販売時手数料とは別に生じうるため、手元に残る額を見積もる場合は分けて扱いたい。
店舗と予約の価値はECの手数料と別に見る

対面販売もするクリエイターには、ネットショップの決済料率だけでは表せない差がある。STORESのネットショップ案内は、POSレジとの在庫連携や、スタンダードプランで使える店頭向けサービスを示している。イベントや実店舗とオンラインで同じ作品を扱うなら、在庫をどう管理するかは販売手数料とは独立した判断材料になる。
STORESのプランでは予約サービスも利用できるが、ネットショップで作品を販売する費用と、予約受付や店頭決済の費用は同じものではない。制作体験の予約、催事での対面販売、ネットショップでの発送販売を併用する場合は、それぞれの売上と必要な機能を分けて評価するのが自然だ。オンライン販売が中心なら注文単価と件数からEC費用を比べ、複数の販売経路を運営するなら管理面の便益も選択に含めることになる。
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