
noteメンバーシップかFANBOXか、同じ10%でも手取りは変わる

noteメンバーシップとpixivFANBOXは、どちらも10%という料率だけでは手取りを比べられない。noteの手数料表では、クレジットカード決済の事務手数料として売上の5%を先に引き、残額にメンバーシップの利用料10%を課す。銀行振込にも1回270円かかる。記事の販売、会員向けの文章、掲示板での交流を一つの場所で運営したいなら、この費用を含めて判断することになる。
pixivFANBOXの手数料案内では、R-18コンテンツを投稿しない設定のサービス手数料は支援額の10%、投稿する設定では12.9%だ。銀行振込費は振込額が3万円未満なら200円、3万円以上なら300円となる。全年齢設定で同じ会費を集める試算ではFANBOXの受取額が上回るが、作品制作を支援者に見せ続ける運営が自分に合うかも選択の一部になる。
月額1,000円で会員数をそろえると
以下は2026年11月1日に確認した公開料金による試算で、実際の売上実績ではない。月額会費は1人1,000円、全員がクレジットカードで支払い、成立した決済分を国内の銀行口座へ月1回まとめて振り込む。FANBOXはR-18コンテンツを投稿しない設定とする。無料期間、返金、別の売上、税金は含めない。
この条件では、noteは会費1,000円から事務手数料50円を引き、残る950円への利用料95円を差し引くため、振込前は1人855円となる。FANBOXはサービス手数料100円を差し引いた1人900円が振込前の額だ。振込費は会員ごとではなく、各サービスでまとめて受け取る際に1回だけ差し引く。会員数を変えた結果は次の通り。
- 会員10人、月間売上10,000円の場合:noteは8,550円から振込費270円を引いて8,280円。FANBOXは9,000円から振込費200円を引いて8,800円。受取額の差は月520円。
- 会員100人、月間売上100,000円の場合:noteは85,500円から振込費270円を引いて85,230円。FANBOXは90,000円から振込費300円を引いて89,700円。差は月4,470円。
- 会員500人、月間売上500,000円の場合:noteは427,500円から振込費270円を引いて427,230円。FANBOXは450,000円から振込費300円を引いて449,700円。差は月22,470円。
差が大きくなる主因は、振込費の数十円ではなく、決済ごとに生じる控除の違いだ。会員が増えても、同じ会費と支払方法なら1人当たりの振込前の差額45円が積み重なる。振込を複数回に分ければその回数分の費用がかかるため、この数字は月1回振り込む場合に限る。
noteの事務手数料は購入者の決済方法で変わる。会員の支払方法が混在すれば、この試算のように全員分を1人855円で計算できない。また、FANBOXでR-18コンテンツを投稿する設定を選ぶなら、全年齢設定の900円を使った試算は当てはまらない。先に会員の支払条件をそろえておくと、料率の表示だけを見た比較より、受取額の違いをつかみやすい。
記事を販売するか、創作への支援を受けるか
文章を軸にするなら、noteは一般公開の記事、有料記事の単品販売、会員向け特典を組み合わせやすい。note公式の機能案内には、過去に販売した有料記事やマガジンを特典に加える方法、特定の記事を単品でも販売する方法、任意で設ける会員向け掲示板が示されている。読者には記事だけを買う選択肢を残し、継続して読みたい人には会員制を案内できる。
過去記事を特典にできれば、入会時に読める内容を新規投稿だけで用意する必要はない。一方で、掲示板に質問への回答や交流を約束すれば、執筆とは別に返答の時間がかかる。記事を読むために加入する人と、書き手との対話を期待して加入する人では、同じプランでも求めるものが違う。特典を増やすほど魅力が増すとは限らず、自分が続けられる範囲を先に決める必要がある。
作品づくりを軸にするなら、FANBOXは完成品だけでなく制作途中の内容を届ける場になる。FANBOXのクリエイター向け案内では、テキスト、画像、音声、動画などのファイルを投稿でき、公開範囲を支援者に限定できると説明している。制作過程や近況を通じて活動を継続して見せたい人には、投稿を積み重ねる仕組みが合う。
ここでの違いは、文章と画像のどちらを投稿できるかだけではない。noteでは記事そのものを単品で販売し、同じ記事を会員特典にもできる。FANBOXでは支援を続ける人に向けて、作品や活動の経過を投稿として届ける。完成した内容を一つずつ販売したいのか、制作を続ける過程も支援の対象にしたいのかで、毎月用意する内容が変わる。
更新の負担は約束の内容で変わる
会費を設定するときは、投稿回数だけでなく、何を完成させて届けると約束するかを見る必要がある。毎月の完成作品や長文を特典にすれば、制作が予定より遅れた月の負担は重い。制作途中の画像や短い近況も特典に含めるなら、完成品を毎回用意する運営とは作業の組み方が変わる。ただし、支援者に案内した特典と実際の投稿内容は一致させたい。
noteで記事と掲示板を併用する場合、記事の更新を終えても会員とのやり取りが残ることがある。FANBOXで制作過程を公開する場合も、制作する時間に加えて、支援者に見せる範囲を選び、投稿する時間が必要だ。どちらが一律に楽かは、会員数や投稿形式だけでは決まらない。自分が月々提供できる内容を具体的にしたうえで、受取額の差をその運営費用として評価するのが妥当だ。
移行では記事と会員契約を分けて考える
後でサービスを移る可能性があるなら、過去投稿の持ち出しと、支援者の継続を別々に考える。noteの記事エクスポート仕様では、自分の記事をXMLと素材ファイルで取り出せる一方、マガジン、記事の価格などnote固有の公開設定、コメントやスキは出力対象外とされる。会員契約や支払い情報も、記事のエクスポート対象として列挙されていない。
記事本文を持ち出せても、新しい場所で誰に見せるかという設定や、毎月の支払いまで一緒に移るわけではない。FANBOXの限定投稿を別サービスで見せる場合も、新しい公開範囲と支援の窓口を用意し、既存の支援者に案内する作業が生じる。過去の投稿が多いほど整理に時間がかかるため、月々の手数料差だけで移行を決めると、作業量を見落としやすい。
受取額と届けたい内容を一緒に選ぶ
クレジットカード払いの会員から同額を集め、月に一度銀行振込する条件なら、今回の試算ではFANBOXの受取額が多い。記事の単品販売、既存記事の特典化、掲示板での交流を一つの活動として運営したい人には、noteの機能に手数料差を上回る価値があるかもしれない。作品の制作過程を支援者限定で届け、活動を継続して支えてもらう人には、FANBOXの投稿中心の仕組みが自然だ。毎月何を届けられるかを決めることが、手取りの数字を選択に結び付ける。
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