YouTubeメンバーシップかPatreonか、70%分配と10%手数料を比べる

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
YouTubeメンバーシップかPatreonか、70%分配と10%手数料を比べる

動画の視聴者にその場で加入してもらい、特典も動画や配信を中心に届けるなら、YouTubeメンバーシップが合う。文章や音声も含む複数の会員プランを運営するなら、Patreonが候補だ。どちらが多く残るかは、表示された率だけでは決まらない。

比較では、会員一人の支払いから残る額と、視聴者のうち実際に加入する人数を分けたい。Patreonで一人当たりの残額が多くても、外部の登録ページへ移る途中で加入者が減れば月間収入は逆転し得る。日本の視聴者を対象にするなら、会費を円で提示できるかも選択を左右する。

分配率と手数料は計算の出発点が違う

YouTubeのパートナー収益の規定では、課金型製品モジュールに同意している場合、チャンネルメンバーシップの純収益の70%がクリエイターに支払われる。取引税は分配計算に含まれないため、表示会費にそのまま70%を掛けた額が入金されるとは限らない。返金や源泉徴収なども、該当すれば最終的な受取額に影響する。

Patreonのクリエイター向け手数料規定では、新たに公開するページの標準プラットフォーム手数料は10%で、米ドル受取・カード決済の処理料は支払いごとに2.9%と0.30ドル、対象となるiOSアプリ内購入には別の30%のApp Store手数料が適用される。出金や通貨換算に伴う費用、適用される税金も条件次第で加わる。以前から公開を続けているページには旧プランが適用される場合がある。

つまり、YouTubeの率は純収益からクリエイターへ渡る割合、Patreonの率は決済処理などを加える前のプラットフォーム手数料を表す。Patreonの会費から標準手数料だけを引いて残額とみなすと、特に安い会費では支払いごとの定額費用を見落とす。購入経路までそろえなければ、両者の率を手取り率として直接比べられない。

同じ会費と会員数で概算すると

日本のチャンネルメンバーシップ料金表には、新しい料金の一つとして月額490円が載り、以前の料金も併記されている。加入した時期によって適用額が異なる場合があるため、既存会員全員に新しい料金を当てはめる試算は避けたい。

ここからは条件を固定した仮の試算とする。YouTube側は月額490円の有料会員が100人、支払いはすべて成立し、分配前の税などをいったん計算から外す。会費総額は4万9000円で、純収益を同額と仮定した分配額は3万4300円になる。税などを除く単純化をしているため、実際の振込額を示す数字ではない。

Patreon側も同じ100人と同じ会費相当額にそろえるため、仮に1ドル=140円、月額3.50ドル、ブラウザーからのカード決済、米ドル受取と置く。この条件なら会費総額は350ドル。標準プラットフォーム手数料が35ドル、決済処理料が合計40.15ドルとなり、差し引き後は274.85ドル、仮定したレートでは約3万8479円だ。YouTube側の単純計算より約4179円多い。

この差額にはPatreonの出金費用、銀行などによる円への換算費用、適用される税金や返金を入れていない。会員が別の決済手段やアプリ内購入を選べば、処理費用の前提も変わる。同額を同じ人数が支払う条件下で、決済費用を含めた残額を比べた例として読むのが適切だ。

日本円で払えるか、円で受け取れるか

Patreonの会員向け対応通貨一覧には、会員の支払い通貨にもクリエイターの受取通貨にも日本円が含まれていない。先の3.50ドルは、仮の為替レートで490円に相当させた会費であり、Patreon上で月額490円をそのまま設定して請求できるという意味ではない。

日本の会員が外貨建てで支払えば、口座から出ていく円額は為替レートや決済事業者の扱いによって変わり得る。クリエイターがPatreon内で受け取る通貨と会員の支払い通貨が違う場合には、Patreon側の通貨換算費用も生じる。両者を米ドルにそろえた先の試算では、その費用を入れていない。

出金先の銀行口座で円を受け取れる場合でも、会員が円建てで会費を払えることとは別の話だ。日本向けの価格を分かりやすく固定したいクリエイターには、この違いが加入時の説明にも収支の見積もりにも関わる。外貨建ての会費を設けるなら、円で見た支払額と受取額の双方に変動の余地がある。

一人当たりの残額より、何人が加入するか

先の仮定で一人当たりに残る額は、YouTubeが343円、Patreonが約384.79円となる。しかし、同じ動画を見た人が両方のサービスで同じ割合で加入するとは限らない。動画から離れずに登録できるか、外部ページで改めて支払いを決めるかは、会員数を左右し得る要素だ。どの程度の差が出るかを示す実測値として扱うべきではない。

YouTubeのメンバーシップ告知の案内では、加入画面へのリンクを動画の説明欄、カード、終了画面、投稿に置ける一方、「参加」ボタンが表示される視聴ページには条件がある。既存視聴者への案内を動画やチャンネルの中に組み込めるのが強みだが、すべての視聴者に同じ画面が見える前提にはできない。

同じ仮定を続けると、YouTubeで100人が加入した場合の概算3万4300円に届くには、Patreonでは約90人の有料会員が必要になる。Patreonの加入者が80人なら残額は約3万783円で、比較の順序が入れ替わる。これは転換率の予測ではなく、会員一人当たりの差額を加入人数の差が上回る境目を示した計算だ。出金や為替の費用を加えれば、その境目も動く。

特典を届ける場所も収支に効く

動画や配信の延長で会員特典を作るなら、YouTube内で視聴と特典の受け取りをつなげやすい。一般向け動画から会員向け動画へ進む設計なら、視聴者が別のサービスの使い方を覚える負担も小さい。一方、会員向けの撮影や配信を増やせば、その制作時間は分配率に表れない運営コストとなる。

Patreonでは会員ランクに加え、文章、音声、動画やコミュニティで特典を組み立てられる。動画以外の作品を継続して届けたい場合には、特典の形式を一つに絞らずに済む。ただし、公開動画をYouTubeに置き、限定コンテンツをPatreonに置くなら、告知、更新、会員からの問い合わせへの対応も両方の場所で発生する。

選択の軸は、会費から差し引かれる率、決済後の残額、加入までの移動、特典を届ける作業量の四つだ。動画視聴から会員登録までを短く保ちたいならYouTubeメンバーシップが有力になる。外部ページへ移っても受け取りたい文章や音声などがあり、複数の特典を続けて提供できるなら、Patreonの追加費用を引き受ける理由がある。

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