FUNDINNOかイークラウドか、手数料より株主の出口が違う

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
FUNDINNOかイークラウドか、手数料より株主の出口が違う

FUNDINNOとイークラウドを選ぶとき、発行企業は募集後の手取りと着金までの期間、個人投資家は保有株を換金できる経路を比べる必要がある。FUNDINNOには一部銘柄の途中売却を扱う仕組みがある。イークラウドで取得する未上場株は、投資先のIPOやM&Aまで保有するのが基本だ。

企業が支払う成功報酬の大小だけでは、株主が資金を回収できる時期は決まらない。企業側では同じ調達額、同じ税込条件で費用を計算し、投資家側では案件の実績、途中売却の対象範囲、過去の回収例を別に見ると、両サービスの違いが明確になる。

発行企業の費用:同じ調達額ならいくら残るか

FUNDINNOの事業者向け約款では、初回の通常案件が成立した場合の成約手数料を発行総額の20%(税別)、本審査の審査料を10万円(税別)と定める。紹介案件と再募集には別の料率があり、審査を通過すれば審査にかかった実費は免除される。審査料は募集が成立する前に発生するため、成立時だけの手数料と分けて考えたい。

イークラウドの事業者向け案内は、成立時の手数料について、発行総額の5,000万円以下の部分を税込22%、超過部分を税込16.5%とし、いずれも上限額としている。同じ案内にある申込みから着金までの目安は約1〜2カ月で、審査や募集の状況によって変わる。以下の計算では、この公表上限とFUNDINNOの初回通常案件の料率を使い、ほかの費用は加えない。

  • 調達額3,000万円の場合:FUNDINNOの成約手数料は税込660万円で、税込11万円の審査料を加えると671万円。手数料等を差し引いた額は2,329万円となる。イークラウドの成功報酬上限は税込660万円で、この上限額を差し引いた額は2,340万円だ。
  • 調達額6,000万円の場合:FUNDINNOの成約手数料は税込1,320万円、審査料を含めて1,331万円で、差引額は4,669万円となる。イークラウドの成功報酬上限は、5,000万円分の1,100万円と超過する1,000万円分の165万円を合わせた税込1,265万円で、差引額は4,735万円だ。

この条件では、3,000万円の成功報酬部分は同額だが、FUNDINNOには審査料が加わる。6,000万円ではイークラウドの超過部分に低い料率が適用され、試算上の費用差は広がる。ただし、イークラウドの公表値は上限であり、FUNDINNOも紹介案件や再募集では条件が変わる。ここで示した差引額を、そのまま個別案件の最終的な着金額とは扱えない。

募集後の負担にも違いがある。FUNDINNOの約款には、継続的な企業情報開示に使うシステムとサポートの利用料が定められ、所定の期限までに情報を開示した場合の免除条件もある。イークラウドも出資した株主への継続的な情報提供を求める。発行企業にとっては、成立時の料率に加え、株主が増えた後の情報提供を続けられるかも費用比較の一部になる。

着金期間:FUNDINNOの二つの目安をどう扱うか

FUNDINNOの総合FAQの発行会社向け説明は、審査や掲載期間によって差が生じるとして、調達まで3〜6カ月と案内する。一方、資金調達に特化したFAQの期間案内は、企業の準備状況と募集成立後の投資家の入金状況も挙げ、通常2〜3カ月程度を目安とする。両案内だけでは期間の起点と想定条件を揃えられないため、短い方を一律の着金予定日にはできない。

イークラウドの約1〜2カ月も、申込みから着金までの案内であり、募集成立を約束する日程ではない。両社とも審査、募集、投資家の払込みを経て資金が入る。支払期限が決まっている企業にとっては、公表された月数の差に加え、自社が審査資料を出せる時点と、募集が成立した後の払込日程が資金繰りを左右する。

FUNDINNOの約款では、投資家は申込み後の一定期間、申込みを撤回できる。募集期間中に目標額へ届いても、そこで直ちに会社の口座へ資金が入るわけではない。募集の成立条件を満たした後に投資家の払込みが行われ、その資金が発行企業へ送られるという順序も、期間に幅が生じる理由になる。

投資家の比較:累計規模と投資回収は別の数字

MCB FinTechカタログの比較には、FUNDINNOの累計成約額約200億円(FUNDINNO PLUS+を含む、2025年5月時点)、イークラウドの約40社・累計12億円超(2024年12月時点)、FUNDINNO MARKETの対象8銘柄と売却手数料税込11%、投資回収実績としてFUNDINNOの10件とイークラウドのNext ParadigmがM&Aで投資額の2.69倍になった例が載る。これらは募集規模、売却機会、回収結果という異なる指標であり、ひとつの順位にはまとめられない。

累計成約額を比べるときは、集計期間だけでなく対象も見る必要がある。FUNDINNOの数字にはプロ投資家向けのPLUS+が含まれる一方、イークラウドの「社」は資金調達を支援した企業の数だ。金額と企業数を並べても、個人投資家が現在選べる案件数や、各案件の成立しやすさは分からない。過去の取扱規模は選択肢の広さを考える材料だが、募集中の案件そのものとは区別される。

投資回収の実績も、申込み時点の成果を約束する数字ではない。FUNDINNOの回収件数は同社で過去に資金が戻った案件の実績であり、Next Paradigmの倍率は特定のM&Aによる結果である。回収に至った案件と保有が続く案件では状態が異なるため、これらだけから将来の回収確率や平均利回りを計算することはできない。

途中売却:仕組みの有無より対象銘柄と買い手

FUNDINNO MARKETは、FUNDINNOを通じて取得した株式なら何でも売れる仕組みではない。対象になるのは株主コミュニティで扱われる一部銘柄で、売りたい株に買い手がついて初めて取引が成立する。投資した企業が対象に入っていなければ、投資家はこの経路を利用できない。対象に入っていても、希望する時期や価格で売却できるとは限らない。

売却手数料は約定した代金から差し引かれる。たとえば対象銘柄を10万円で売却できたと仮定すると、前述の税込11%という料率では手数料は1万1,000円、受取額は8万9,000円となる。購入時の投資額が同じ10万円だった場合、この売却価格では元本を回収できない。途中で売れる可能性と、望む金額を回収できることは分けて考える必要がある。

イークラウドで取得する未上場株は換金性が著しく乏しく、通常は投資先のIPOやM&Aなどの出口を待つ。Next Paradigmの事例は、その経路で回収が実現した具体例だが、ほかの投資先にも同じ時期や倍率の出口が生じるとは限らない。近い将来に使う予定の資金であれば、両サービスとも上場株のように任意の時点で換金できる前提には置けない。

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