SOかRSUか、税金が発生する時点と現金負担で選択が変わる

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
SOかRSUか、税金が発生する時点と現金負担で選択が変わる

日本居住者がSOとRSUを比べるなら、株式の評価額だけでなく、売却前に必要な現金を見ることが重要だ。SOは権利行使時に株式の購入代金を払う。税制適格SOでは、国税庁の税制適格SOの説明にあるとおり、行使時の経済的利益への課税は株式の売却時まで繰り延べられる。

非適格SOでは購入代金に加え、行使時の株価と行使価格の差額が課税対象となる。国税庁の非適格SOの課税関係では、雇用に基づく行使益は給与所得、後の売却益は譲渡所得として扱う。RSUは通常、行使代金なしで株式を受け取るが、RSUの税務解説が示すように、権利確定に伴う株式取得時の価値が給与課税の対象になり、売却時には別途、譲渡損益を計算する。

SOとRSUでは、株式を得る方法が違う

SOは、あらかじめ決められた価格で株式を買う権利だ。付与されても株主になるわけではなく、行使できる条件を満たした後、本人が行使価格を払い込んで株式を取得する。税制適格か非適格かは税務上の要件で決まり、会社が報酬を「SO」と呼んでいるだけでは判別できない。

RSUは、勤務期間などの条件を満たすと株式を受け取れる報酬だ。通常の株式交付型ではSOのような購入代金を払わない。ただし、株式の交付と、その株式を自由に売れることは別の問題である。受け取る株数が同じでも、SOには行使価格があり、RSUには株式取得時の給与課税があるため、提示された株数だけで手取りを比較することはできない。

付与・権利確定・行使・売却で何が動くか

以下は、従業員が無償で付与されたSO、または株式交付型RSUを受ける一般的な場合の時系列だ。税金の対象となる利益と、実際に出入りする現金を分けて見ると、制度ごとの負担の順序が分かる。

  • 付与時:SOは将来株式を買う権利、RSUは条件達成後に株式を受け取る権利が与えられる。いずれも通常はまだ株式や売却代金を得ておらず、無償付与を前提とすれば、この時点で行使代金や給与課税は生じない。
  • 権利確定時:SOは行使できる状態になっても、自動的には株式を取得しない。RSUは通常、権利確定に伴って株式が交付され、その取得時の時価が給与課税の基礎になる。権利確定日と実際の交付日が異なる契約では、両者を同じ日として扱わない。
  • 行使・株式交付時:SOでは、税制適格・非適格のどちらも行使価格に株数を掛けた購入代金が必要になる。税制適格SOの行使益への課税は売却時まで繰り延べられるが、非適格SOの行使益は、雇用に基づく付与なら原則として給与課税の対象となる。RSUでは通常、購入代金を払わずに株式を取得する。
  • 売却時:売却できて初めて株式が現金に変わる。税制適格SOでは原則として行使価格を取得費とし、非適格SOでは行使時の株価、RSUでは給与課税の基礎となった株式取得時の価額を取得費として、その後の譲渡損益を計算する。非適格SOとRSUで既に給与として扱った価値を、売却時にそのまま再び譲渡益に含めるわけではない。

売れる前に必要な現金はどこで生じるか

税制適格SOでも、株式を買う資金は行使時に出ていく。課税の繰延べは行使代金の支払いを免除する制度ではない。行使価格が低く見えても、対象株数が多ければ払込総額は大きくなる。行使後すぐに売却できなければ、その資金は株式を保有している間、回収できない。

非適格SOでは、行使代金の支払いと行使益に対する給与課税が重なる。株式をまだ売っていなくても課税対象の所得が生じるため、売却で税負担を賄えるかは売却可能時期に左右される。後に株価が下がっても、行使時に生じた給与所得が遡って消えるわけではない。

RSUには通常、株式を取得するための行使代金はない。一方、株式取得時の価値が給与課税の対象となるため、交付後すぐ売れない場合には別の現金が必要になり得る。外国親会社の株式報酬に関する税務整理は、通常のRSUでは株式交付日を課税時点とし、交付後も一定の譲渡制限が付く場合には扱いが変わることを示している。外国親会社から直接交付される報酬では、給与から税金が天引きされるかどうかも支払いの仕組みによって異なる。

未上場株式では、この時間差がとくに重い。株式を取得しても買い手や売却機会がなければ、非適格SOの行使益やRSUの交付価値に伴う税負担を売却代金で直ちに賄えない。税制適格SOなら行使時の課税は繰り延べられるものの、行使代金の払込みは残る。評価額が示されていても、それを納税や生活費に使える現金と同一視できない。

同じ株価を置くと、負担の順序が見える

次は税額ではなく、現金支出と課税対象額を比べるための仮の例だ。SOを100株、行使価格を1株1,000円、行使時の株価を3,000円、後の売却価格を4,000円とする。税制適格SOでは行使時に10万円を払い、行使益への課税は受けず、売却時には売却額40万円から行使代金10万円を差し引いた30万円を譲渡益の計算に用いる。

同じ条件の非適格SOでも、行使時に払う購入代金は10万円だ。ただし、株価3,000円と行使価格1,000円の差に100株を掛けた20万円が給与課税の基礎になる。その後4,000円で売れば、行使時から売却時までの値上がり分10万円を譲渡益の計算に用いる。購入代金と給与課税に伴う負担は、売却代金を得るより先に生じ得る。

RSUで100株が1株3,000円のときに交付され、後に4,000円で売れたと仮定する。この場合、株式取得のための10万円の払込みは不要だが、交付時の30万円が給与課税の基礎となり、売却時には値上がり分10万円を譲渡益の計算に用いる。この例は資金の流れをそろえて示したもので、同じ100株のSOとRSUが同じ報酬価値や手取りを持つという意味ではない。実際の税額は他の所得や控除などによって変わる。

選択を左右するのは、売却までの資金余力

税制適格SOの課税繰延べが魅力的でも、行使代金を払えなければ株式は取得できない。非適格SOでは行使代金に加えて、売却前の給与課税に伴う資金負担を見込む必要がある。RSUは購入代金を要しない一方、株式取得時の課税に充てる現金をどう確保するかが焦点となる。

比較するときは、行使価格と株数から出す払込総額、株式を取得する日の課税対象額、実際に売却できる時期を同じ時間軸に置くとよい。株式を早く売れる条件なら税負担を売却代金から賄える可能性がある。売却時期が読めない条件なら、提示された株式価値が大きくても、それまで自分の現金で支えられるかが選択を分ける。

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