
SmartHRかfreee人事労務か、給与計算の内製で選択が変わる

給与計算を社内で確定する企業は、freee人事労務の必要なプランと、SmartHRに給与計算・勤怠管理を追加する構成を比べるのが出発点になる。どちらも給与を自社で計算できるため、労務機能だけの料金を見ても、毎月使う構成の費用は分からない。
給与計算を外部に残す企業では、入退社や身上変更をどこで受け付け、確定した勤怠を誰が給与側へ渡し、計算後の明細をどこで配るかが選択を左右する。人数が増えるほど、この受け渡しと訂正の担当を含めて比べる必要がある。
給与を内製するなら、勤怠の締め方までそろえる
SmartHRの料金案内は、30人まで従業員情報を登録できる0円プラン、50人以下向けの労務管理プラン、給与計算・勤怠管理の有料オプションを区別している。オプションには有料プランの契約が必要で、具体的な料金は個別見積もりだ。従業員情報を無料で登録できる人数を、給与計算まで無料で使える人数と読み替えることはできない。
freee人事労務の料金・機能表では、年払いの5人までの料金を月額換算でミニマム2,000円、スターター3,000円、スタンダード4,000円、アドバンス5,500円としている。6人目以降の追加額はそれぞれ月400円、600円、800円、1,100円で、いずれも税抜きだ。月払いでは最低料金が異なる。
この段階差は給与計算の有無だけでは決まらない。ミニマムでも固定時間制の勤怠入力や他社勤怠データの取り込み、給与計算、管理者による年末調整に対応する。シフト制などの勤務形態、従業員自身による年末調整の入力、入退社手続きが必要ならスターターが候補になる。従業員の打刻、勤怠修正の申請・承認、有給休暇の自動付与までサービス内で行うならスタンダード以上が必要だ。
したがって、社内で給与を計算する場合も、勤怠を既存サービスで締めて取り込む構成と、打刻から給与まで同じサービスで扱う構成では比較するプランが変わる。SmartHRでも給与と勤怠は別々の有料オプションなので、片方だけを追加する見積もりと両方を追加する見積もりを混同しないことが重要だ。
5人・30人・100人で変わる料金と作業
5人の想定では、固定的な勤務で勤怠を別に確定できるなら、freeeのミニマムが給与内製の料金上の起点になる。従業員が自分で打刻し、管理者が申請を承認する運用ならスタンダード以上を比べる。SmartHRを選ぶ場合は、労務管理に給与計算を足すのか、勤怠管理も足すのかで見積もりの範囲が変わる。少人数でも、年末調整の入力を管理者が担うか従業員に任せるかで必要機能は違う。
30人の想定で全員をfreeeの給与計算対象にすると、公開されている年払い料金からの単純計算は、月額換算でミニマム1万2,000円、スターター1万8,000円、スタンダード2万4,000円、アドバンス3万3,000円となる。これはプラン料金であり、外部勤怠や導入支援の費用は含まない。労務担当が従業員情報を更新し、現場責任者が勤怠を承認し、別の担当者が給与を確定する運用なら、承認の締め時刻と訂正の引き渡し方も費用と並ぶ判断材料になる。
100人の想定で同じ条件を当てはめると、月額換算は順に4万円、6万円、8万円、11万円となる。ただし最小プランの金額を、打刻・承認・人事情報の管理まで含む構成の価格と比べても意味がない。勤務形態が混在し、部署ごとに承認者が異なるなら、勤怠の権限設定と給与確定後の修正経路が運用を左右する。SmartHR側は労務管理、給与計算、勤怠管理を分けて見積もり、必要なら導入・運用支援の範囲も加える。
これらは人数をそろえた条件付きの試算であり、会社の実際の支払額ではない。特に外部給与を維持する場合、労務サービスの利用料だけを比べると、給与ソフトや委託先の契約料、データ連携にかかる費用が抜ける。反対に給与だけを内製して外部勤怠を残す場合は、その勤怠サービスの費用と取り込み後の補正作業が残る。
外部連携では、従業員情報の登録方法に注意
SmartHRの外部サービス連携の案内には、CSV、API、連携アプリなどの方法が示されている。freee人事労務との連携では、SmartHRの氏名・家族・口座などの従業員情報をfreee側へ取り込み、給与・賞与明細をSmartHRへ戻して配付できる。APIに対応する連携先は一部に限られるため、別の給与ソフトでも同じ項目が同じ方法で往復すると想定すべきではない。
この組み合わせでfreee側が給与を計算するなら、従業員をどちらで最初に登録するかにも意味がある。freeeのSmartHR連携手順によると、SmartHRから新規作成した従業員には勤務・賃金設定などの必須項目が一律に入り、後から個別の変更が必要になる。そのため、freeeで給与計算を行うと決まっている場合は、従業員をfreee側で追加するよう勧めている。連携できるという事実だけでは、初期登録の作業量までは分からない。
給与計算を社労士や外部ソフトに残す場合は、労務側で受け付けた住所、扶養、口座の変更が給与側へいつ届くかを決めておく必要がある。勤怠も外部なら、勤務時間だけでなく、休暇、残業、遅刻早退、変動手当に必要な項目を締め後に渡せるかが焦点になる。明細を労務側で配る構成では、確定済みの給与データを戻す工程と、差し戻しが起きた際の修正元が加わる。
人事データとレビューは、契約する機能の範囲で見る
従業員情報を採用や配置の判断にも使う企業では、給与計算の場所とは別に人事データの管理範囲を選ぶことになる。SmartHRは人事労務レポートなどを有料オプションとして案内し、freeeでは組織情報や残業分析のレポートがアドバンスに含まれる。必要なのが毎月の給与確定なのか、部門や働き方をまたぐ人事情報の集計なのかで、比較する機能と料金を分けたほうがよい。
ITreviewの製品比較は両製品の合計553件のレビューを集計し、総合満足度をfreee人事労務4.0、SmartHR労務管理4.1としている。この点数は掲載された製品への評価であり、SmartHRの給与計算・勤怠管理オプションを加えた構成全体の評価ではない。使い勝手やサポートを見比べる材料にはなるが、自社で契約する機能と毎月の受け渡し工程は別に判断する必要がある。
見積もりは三つの構成で業務範囲をそろえる
製品間の価格差を見る際には、誰が勤怠を締め、どこで給与を確定し、どこから明細を配るかを同じ条件にする。比較する構成ごとの見積項目は次のように異なる。
- 給与と勤怠を内製する構成:労務管理、打刻・申請・承認、給与・賞与計算、明細配付、年末調整に必要なプランまたはオプションを含める。
- 給与を外部に残す構成:労務管理の料金に、外部給与の契約料、従業員情報の送信、計算結果と明細の取り込みにかかる費用や作業を加える。
- 勤怠を外部に残して給与を内製する構成:給与計算の料金に、外部勤怠の契約料、締め後のデータ取り込み、項目が合わない場合の補正作業を加える。
freeeには給与計算を除いた労務管理向けのプランもあるため、外部給与を使う構成を必ず給与計算込みの基本プランで見積もる必要はない。一方、SmartHRで給与を内製するなら有料プランと給与計算オプションが前提になる。選択を分けるのは製品名よりも、給与を確定する場所と、その前後に残すサービスの組み合わせだ。
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