
BOOTHかGumroadか、1000円販売は固定45円と50セントで差が出る

1000円のダウンロード素材を自分で集客して売る場合、BOOTHのダウンロード商品の料金は5.6%+固定45円、Gumroadのプロフィール・直リンク向け料金は10%+固定50セントだ。仮に1ドル=150円で計算すると、販売価格から引くサービス利用料はBOOTHが101円、Gumroadが175円となる。
同じ購入者を自分の告知から連れてこられるなら、この条件ではBOOTHの控除額が小さい。ただし、Gumroadの直販には別途決済処理費がかかり、Discover経由の販売には別の料率が適用される。海外の購入者に売る際の間接税処理も含め、直販の手数料、購入者を得る経路、税の担当を分けて選ぶ必要がある。
同じ販売価格で直販の控除額を比べる
以下は、1000円、3000円、1万円のデジタル商品がそれぞれ1件売れたと仮定した試算だ。Gumroadの固定50セントは便宜上、1ドル=150円として75円に換算する。比較しているのは表示された基本料率による控除額であり、実際の為替レートや購入者の税額、出金に伴う費用まで再現した受取額ではない。
- 1000円:BOOTHは1000円×5.6%+45円=101円。Gumroadの直販は1000円×10%+75円=175円。差は74円。
- 3000円:BOOTHは168円+45円=213円。Gumroadの直販は300円+75円=375円。差は162円。
- 1万円:BOOTHは560円+45円=605円。Gumroadの直販は1000円+75円=1075円。差は470円。
固定額の重みは低価格の商品ほど大きい。1000円の販売ではBOOTHの45円だけで売価の4.5%、仮定した為替でのGumroadの75円は7.5%に相当する。1万円ではそれぞれ0.45%、0.75%に下がる。一方、価格に比例する部分はBOOTHが5.6%、Gumroadが10%なので、この試算では売価が上がるほど両者の控除額の差は広がる。固定額の負担率が下がることと、手数料の差額が縮むことは同じではない。
BOOTHは計算で生じた1円未満の端数を切り上げる。上の販売価格では端数が出ないが、端数の出る価格を設定すれば計算上の小数をそのまま控除額にはできない。また、ここでのBOOTHの式はダウンロード商品に適用されるものだ。発送を伴う商品では、送料を含めるかどうかなど計算の対象が変わるため、この数字を流用できない。
為替と決済処理費で試算はどう動くか
BOOTHの固定額は45円だが、Gumroadの50セントを円換算した額は前提とする為替レートで変わる。1ドル=140円なら70円、160円なら80円だ。1000円の直販手数料は、それぞれ170円、180円となる。これは為替を変えた条件付きの計算であり、購入時や入金時に適用されるレートを示すものではない。
固定額だけが同額になるのは1ドル=90円という計算だ。ただし、その水準でも価格に掛かる率はBOOTHのほうが低い。販売価格をそろえる限り、固定額だけを見て両サービスの有利不利が入れ替わるわけではない。海外向けに販売価格そのものを変えれば別の比較になるため、円建ての同一売価を置いた試算と混同しないほうがよい。
Gumroadの手数料案内では、通常の直販に10%+0.50ドルがかかり、カード決済処理費の2.9%+0.30ドルやPayPalの費用は別とされる。したがって、表の175円などはGumroadで最終的に引かれる全費用ではない。同じ案内では、暦月の有料販売額が2万ドルに達した後、その月の新たな直販売上に5%+0.50ドルの料率が適用される条件も示されている。少額商品の通常販売を考えるときは、まず標準の直販料率で見積もるのが筋だ。
固定額は注文の作り方にも関わる。別々の取引として売れば、それぞれの販売に固定額を計算する。複数の素材を一つの商品として販売する場合は、単品販売を足し合わせたときと注文数が異なる。ただし、セットの価格や購入者が必要とする内容まで変わるため、固定額だけを根拠に単品販売とセット販売の収益を同一視することはできない。
Discoverの30%は何に対する費用か
自分のプロフィールや直リンクから来た購入者と、GumroadのDiscoverで商品を見つけた新規購入者では、適用される料金が違う。Discover経由は30%で、決済処理費を含む。仮に1000円、3000円、1万円の商品がその経路で売れた場合、料率から計算した控除額は順に300円、900円、3000円となる。直販の10%+50セントをDiscoverの売上に当てはめてはいけない。
この30%は、新しい購入者に届く経路への費用として評価することになる。すでに作品を知っている人が告知のリンクから買う場合、Discover経由の料金を払う理由は薄い。一方、自分の告知だけでは届かなかった購入者がそこで商品を見つけるなら、直販より大きい控除額にも意味が生じる。ただし、Discoverに掲載されることと販売が生まれることは別であり、流入や販売の増加を手数料表だけから予測することはできない。
BOOTHを使う場合も、出品そのものを新規購入者の獲得と同一視はできない。日本の既存読者やファンに向けた素材なら、同じ購入者を自分で連れてくるという条件で直販の控除額を比べるのが自然だ。海外の新規購入者を求める商品なら、料金の差と、その販売経路で得られる購入者を別々に考える必要がある。
海外販売では間接税の担当も変わる
海外にデジタル商品を売るとき、Gumroadには料金表と別の判断材料がある。Gumroadの販売時の税に関する案内では、同社がMerchant of Recordとして、該当する売上税などの徴収と納付を扱う。デジタル商品についても、適用される地域のVATを決済時に徴収すると説明している。販売先が複数の国や地域に広がるなら、この担当範囲は直販手数料の差とは独立した価値を持つ。
扱われるのは、購入者との販売取引に伴う間接税だ。制作者自身の所得に関する申告や帳簿まで、Gumroadが一括して代行するという意味ではない。購入者の所在地によって適用される税も異なるため、すべての取引で同じ税額が加わると考えることもできない。国内中心の商品と海外向けの商品では、この機能の重みは変わる。
国内の購入者へ低価格の素材を売り、集客も自分で担うなら、まず控除額の小さいBOOTHが候補になる。海外向けの商品でGumroadを選ぶ理由は、同じ商品が同じ条件で必ず多く売れるからではなく、Discoverからの購入機会や販売時の間接税処理を、追加の販売費用と合わせて評価できることにある。
旧料率の比較表で起きるずれ
クリナビの比較記事にはBOOTHの手数料を5.5%とする記載が残っている。BOOTHが現在示すダウンロード商品の条件は5.6%+45円で、率と固定額の両方がその記載と異なる。たとえば1万円の販売を5.5%だけで計算すると控除額は550円になるが、現行の式では605円だ。差は55円で、古い数字を使えばその分だけ手取りを多く見積もる。
1000円では、5.5%だけなら55円となり、現行の101円との差は46円になる。低価格の素材ほど、料率の小さな違いより固定45円の見落としが効く。国内の直販、Gumroadの直販、Discover経由の販売は、それぞれ控除する費用の範囲も購入者との出会い方も違う。自分が売りたい価格と購入者の流入経路に合わせて比較すれば、表面上の料率だけでは見えない差が分かる。
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