
BOOTHかSUZURIか、1000円DL販売は固定23円差が残る

1000円のデジタル作品を1件売る場合、BOOTHの改定後のサービス利用料は5.6%+45円、SUZURIのデジタル作品の販売手数料は5.6%+22円。手数料を引いた手取りはそれぞれ899円と922円で、同じ売価でも23円の差が残る。
ダウンロード作品を単独で売り、手取りを優先するならSUZURIが有利だ。一方、自作の冊子や在庫のあるグッズも売るなら、発送方法を選べるBOOTHに利点がある。無料配布や作品の種類も含めて選ぶ場合、デジタル作品の料金と実物商品の運用は分けて考えたい。
100円・1000円・5000円では、手取りはいくら違うか
以下は税込価格のダウンロード作品を1件、単独で販売し、販売手数料だけを差し引いた計算だ。振込時の費用、送料、グッズの製作費、購入者による上乗せは含めない。両サービスの料率は同じため、端数の出ない価格では固定額の差がそのまま手取りの差になる。
- 100円:BOOTHの手数料は51円、手取りは49円。SUZURIは公表された式に当てはめると手数料27.6円、手取り72.4円となるが、これは円未満の処理前の計算値だ。
- 1000円:BOOTHの手数料は101円、手取りは899円。SUZURIの手数料は78円、手取りは922円。差は23円で、どちらの計算にも端数が出ない。
- 5000円:BOOTHの手数料は325円、手取りは4675円。SUZURIの手数料は302円、手取りは4698円。この価格でも差は23円だ。
100円の場合、BOOTHは手数料の小数点以下を切り上げる。SUZURIについては参照した料金案内から円未満の処理方法を確定できないため、72.4円を実際の受取額とは扱わない。少額商品の比較では、この違いを残したまま式上の負担を読む必要がある。
また、この計算の「手取り」は販売手数料を引いた商品ごとの金額であり、銀行口座に最終的に入る金額ではない。振込に関わる費用や、実物商品に伴う費用まで同じ表に混ぜると、ダウンロード作品の販売先による差を見誤る。
固定23円差は、低価格ほど売価に対して大きい
固定額の23円差は、100円の売価なら23%、1000円なら2.3%、5000円なら0.46%に当たる。金額そのものは同じでも、短い音声や壁紙などを低価格で単品販売する場合ほど、売価に対する重みが増す。
端数処理前の式で見る実効手数料率は、100円の商品でBOOTHが50.6%、SUZURIが27.6%。1000円では10.1%と7.8%、5000円では6.5%と6.04%になる。料率部分が値上がりするわけではなく、毎回加わる固定額を商品の価格で割った結果だ。BOOTHの100円商品は切り上げ後の手数料が51円なので、実際の負担率は51%になる。
たとえば100円の素材を個別に販売する場合は、購入が成立するたびに固定額が効く。関連素材を一つの商品として販売するなら固定額の影響は小さくなるが、買い手は必要な素材だけを選びにくくなる。価格設計では、手数料の節約と商品の買いやすさを同時に考える必要がある。
1000円の商品を継続して販売する場合も、1件当たりの23円差は件数に応じて積み上がる。ただし、それだけで販売先を決めると、実物商品を作るか、誰が発送するかという別の負担を見落とす。特に低価格の有料商品が複数あるショップでは、代表的な商品だけでなく最も安い商品の負担率も判断材料になる。
無料配布と扱う作品を比べる

無料の試作版を置くなら、有料販売の固定額差は関係しない。BOOTHは音楽、電子書籍などの販売に加え、作品のデモ版を配布できる。SUZURIのデジタル作品の案内では、0円の無料ダウンロードには手数料が発生せず、有料価格は税込100円から設定できるとしている。
作品の種類では、両サービスとも画像、音声、電子書籍などを扱える。BOOTHの販売方法の案内には音楽や電子書籍を含むダウンロード作品があり、SUZURIの案内にはイラスト、音楽、電子書籍、動画などが挙がる。大まかなジャンルだけでは優劣は決まらず、購入者に渡す完成データの構成まで考える必要がある。
イラストなら壁紙と印刷用データ、音声なら本編と付属データ、電子書籍なら読む端末に合わせた形式を用意することがある。この場合に確かめたいのは、「イラスト」「音楽」というカテゴリー名よりも、予定するファイルを商品として登録でき、購入者が無理なく受け取れるかどうかだ。複数の形式を用意する構想なら、公開前に実際の商品登録条件に照らして構成を決めるのがよい。
無料版と有料版を並べる場合も、手数料以外の違いが買い手に伝わるようにしたい。試し読みと本編、短い試聴版と完成音源のように、受け取れる内容を商品ごとに明確に分ければ、無料配布を販売ページの一部として使いやすい。
グッズを併売するなら、製作と発送の担当が分かれ目
製作済みの冊子や手元のグッズを自分で送りたい場合、BOOTHは自宅発送を選べる。倉庫へ預けて発送してもらう方法と、pixivFACTORYで注文後に製作・発送する方法もある。同じ作品のデータと実物を扱っても、実物側の在庫や梱包をどう運用するかで適した方法は変わる。
SUZURIではデジタル作品とグッズを同じショップに並べられる。グッズはSUZURIの販売手順にあるように、注文後にサービス側が製作して購入者へ発送する。イラストのデータ版と、その絵を使ったTシャツを展開するなら、制作者が完成品の在庫を持って発送する前提にはならない。
選択肢を用途別に整理すると、次のようになる。ダウンロード作品の手取り計算を、グッズの利益計算へそのまま流用しないことが大切だ。
- 無料配布:BOOTHは作品のデモ版を提供できる。SUZURIは0円で公開でき、その設定ではデジタル作品の販売手数料が発生しない。
- 扱う作品:両方とも画像、音声、電子書籍などのデジタル作品を扱う。購入者へ渡すファイルの構成は、登録条件に合わせて決める。
- グッズの併売:BOOTHは製作済みの商品も扱える。SUZURIは作品データと、画像を使ったグッズを同じショップに並べられる。
- 発送方法:BOOTHには自宅発送、倉庫発送、pixivFACTORYによる製作・発送がある。SUZURIのグッズは注文後にサービス側が製作・発送する。
販売先をどう選ぶか

イラスト、音声、電子書籍のデータを単独で売り、同じ価格での手取りを優先するならSUZURIが合う。とくに低価格の有料作品では、固定額の小ささが売価に対して効きやすい。無料サンプルを置く予定なら、その有無だけで決めず、有料版の価格とファイル構成を基準にできる。
自作の冊子や在庫のあるグッズを一緒に売り、発送方法を選びたいならBOOTHが合う。データから受注製作のグッズへ展開し、製作と発送を任せたいならSUZURIが候補になる。1000円のダウンロード作品で生じる23円差と、実物商品をどう届けるかは、販売先を選ぶ際の別々の判断材料だ。
関連記事:
関連記事
ニュースレターを購読
Web3、AI、暗号資産の最新ニュースを受信箱にお届けします。




