Lyria 3.5が日本でも提供開始、API版はプレビューのまま

Googleは2026年9月4日、音楽生成モデル「Lyria 3.5」をGeminiアプリで世界の全ユーザーに提供し、Gemini APIにも展開すると 公式発表 で明らかにした。世界提供には日本も含まれる一方、開発者向けのAPIモデルは一般提供ではなく、プレビューのままだ。
日本の一般利用者はGeminiのWeb版またはモバイルアプリから曲を生成できる。開発者はGoogle AI Studioでモデルを試し、Gemini APIから組み込めるが、Lyria 3.5のモデル資料 が示すモデルコード「lyria-3.5」の公開区分はPreviewで、テキストまたは画像を入力し、44.1kHzステレオの音声を生成する仕様となっている。
入口は目的に応じて五つに分かれる
Lyria 3.5を利用できる主な入口は、Geminiアプリ、Google AI Studio、Gemini API、Google Flow Music、Google Vidsの五つだ。ただし、同じモデルへ接続するだけの同等なサービスではなく、操作方法と利用目的が異なる。
- Geminiアプリ:Web版またはモバイルアプリで、会話形式の指示から曲を作る一般向けの入口
- Google AI Studio:API実装の前に、入力と生成結果をブラウザ上で試す開発者向け環境
- Gemini API:アプリや制作工程からモデルをプログラムで呼び出すための接続方法
- Google Flow Music:楽曲制作を中心にLyria 3.5を扱う環境
- Google Vids:動画制作の流れで生成音楽を利用する入口
日本での表示状況については、9月5日付の HelenTechの利用確認 で、個人用GoogleアカウントとGoogle Workspaceアカウントの双方への展開が確認されている。ただし、個別アカウントに表示される機能や利用枠まで一律であることを示すものではない。
Geminiアプリはコードなしで曲を生成できる

一般利用者にとって最も直接的な入口はGeminiアプリだ。ジャンルを選択または文章で指定し、ボーカル曲かインストゥルメンタル曲かを選び、短い曲と長い曲を切り替えられる。背景音楽や誕生日向けの曲など、目的から指示を組み立てるためのテンプレートも追加された。
入力時には、作りたいジャンル、歌唱の有無、曲の長さを指定する。雰囲気や楽器、歌詞の題材なども文章に含められるが、今回の発表ではアカウント別の生成回数や共通の利用上限は示されていないため、実際の利用条件はGeminiアプリ上の表示で確認する必要がある。
この入口は、生成した曲をアプリ内で聴く用途に向く。一方、同じ形式の要求を繰り返し処理する場合や、別のサービスから生成を実行する場合はAPIが候補になる。ただし、Geminiアプリが世界提供されたことは、APIが安定版になったことを意味しない。
APIはMP3音声と歌詞を返す
Gemini API版は、テキストプロンプトだけでなく画像も入力として受け付ける。出力形式は音声のMP3と歌詞のテキストで、複数のバース、コーラス、ブリッジを含む長い楽曲の構造維持を想定したモデルと説明されている。
Google AI Studioは、こうした入出力をブラウザで確かめるための入口になる。APIとして組み込む場合、生成要求の送信だけでなく、返却された音声や歌詞の保存、失敗時の処理、利用者への提示方法まで実装側で設計する必要がある。音声仕様が公開されていても、同じ入力で毎回同一の曲が得られることや、生成済みの曲を会話形式で継続編集できることまではモデル資料に記載されていない。
Geminiアプリとの違いは、音質よりも利用形態にある。アプリ版では選択肢と文章で生成を指示し、その場で結果を聴ける。API版では入力と出力を機械的に扱える代わりに、生成前後の処理を開発側が引き受ける。
プレビュー版は周辺API機能に制約がある

API導入時に重要なのは、音楽生成以外の機能が広く非対応である点だ。Lyria 3.5は関数呼び出し、Live API、構造化出力、キャッシュ、コード実行、ファイル検索、検索グラウンディング、URLコンテキスト、Thinkingに対応していない。Batch API、Flex inference、Priority inferenceも利用できない。
このため、外部ツールを選択して呼び出す処理や、Live APIによるリアルタイム対話の一部としてLyria 3.5をそのまま動かす構成は、現在の対応範囲から外れる。アプリ側で処理手順を制御し、Lyria 3.5には音楽生成を担当させるなど、汎用のGeminiモデルとは役割を分ける必要がある。
Previewは、APIから利用できないという意味ではない。現時点でモデルコードは公開され、生成を実行できる一方、安定版と同じ継続性を前提にできない公開段階を示している。本番環境に組み込む場合は、対応機能やモデル仕様が変わる可能性を見込み、エラー処理と更新確認を設計に含める必要がある。
生成曲の権利は提供開始だけでは判断できない
今回確認した公式発表とモデル資料は、利用できる製品、モデルの入出力、音声仕様、対応機能を説明している。しかし、生成されたすべての曲について、利用者が一律に独占的な権利を得ることや、無条件で商用利用できることまでは示していない。
公開や商用利用の可否は、実際に使うサービスに適用される最新の利用規約とポリシー、入力する画像や歌詞などの権利関係に基づいて判断する必要がある。Geminiアプリで直接生成する場合と、Gemini APIを組み込んだサービスを提供する場合では利用形態が異なるため、今回の提供開始だけを根拠に権利を断定することはできない。
現時点で確定しているのは、日本の利用者がGeminiアプリからLyria 3.5を利用でき、開発者向けにもGoogle AI StudioとGemini APIの入口が用意されたことだ。一方、APIモデルはPreviewであり、多くの周辺機能は非対応となっている。安定版への移行時期や対応機能の追加については、今後の開発者向け資料の更新を待つ必要がある。
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