
HubSpotかSalesforceか、無料枠の先は導入費まで比べる

営業中心の小規模チームなら、まずHubSpot Sales Hub Starterの費用と機能を基準にすると比較しやすい。ただし、Salesforce Starter Suiteにも営業以外の基本機能が含まれるため、必要な機能までそろえた総額で選ぶべきだ。HubSpotのSales Hub価格表には、無料利用は2人まで、Starterは1席月額840円の特別価格と2,400円の比較価格、Professionalは年契約時に1席月額10,800円で、別途18万円の必須導入支援費がかかると示されている。
Salesforceを選ぶ理由は、月額の安さだけでは測れない。営業、顧客対応、マーケティングの基本機能を同じプランで使い、その先で独自の業務に合わせた機能を増やす選択肢がある。Salesforceの日本向け料金解説では、Free Suiteは最大2人まで、Starter Suiteは1人月額3,000円、年契約のPro Suiteは1人月額12,000円と案内し、表示価格は税抜としている。どちらも無料枠から始められるが、有料化後は席代に加え、導入時と運用中に必要な作業が判断を左右する。
無料枠の次に買うのは、席だけではない
無料版で確認できるのは、顧客と商談を登録し、担当者が日々使えるかどうかだ。有料プランを決める際には、顧客対応やメール施策をどこまで同じ契約で行うか、独自の営業手順をどこまで設定するかも費用に入る。利用者が増える前に、営業担当者以外にも有料席が必要かを分けて考えると、単純な人数比較によるずれを減らせる。
HubSpotのStarterにも、営業だけでなくマーケティングやサービスなどの基本的な機能が含まれる。したがって「Salesforceだけが複数部門を扱える」という比べ方は正確ではない。分岐点は、両社の基本機能で足りるか、それとも特定のHubや高度なカスタマイズへ進むかにある。無料版で作った顧客項目や商談段階を有料化後も使うなら、設定を誰が引き継ぎ、変更するかも運用費の一部になる。
海外向けのTechRadarのスタートアップ向けCRM評価は、HubSpotを無料CRMの有力候補とする一方、上位の有料プランは高くなり得ると指摘する。この評価は日本向けの見積額ではないが、無料版の評価と有料化後の費用を分けて考える理由にはなる。
2人・10人・30人で見る3年間の費用項目
以下は条件をそろえた試算で、見積書の金額ではない。人数を3年間固定し、全員が有料席を36か月使うと置いた。HubSpot Starterは表示中の特別価格840円が全期間続く場合と、併記された2,400円を全期間に当てる場合を分ける。Salesforce Starter Suiteには月額3,000円を当てる。契約条件、割引の継続、税額によって実際の請求額は変わる。
- 2人:HubSpot Starterのライセンスは特別価格が続けば6万480円、2,400円で計算すれば17万2,800円。Salesforce Starter Suiteは21万6,000円。両社とも無料版の機能で足りるなら、有料席を買わずに使う選択もある。
- 10人:HubSpot Starterは30万2,400円または86万4,000円。Salesforce Starter Suiteは108万円。人数が増えると席単価の差も積み上がるが、追加機能を買う前のライセンス費に限った比較だ。
- 30人:HubSpot Starterは90万7,200円または259万2,000円。Salesforce Starter Suiteは324万円。必要な機能が上位プランにしかなければ、この行の金額だけで選択は決まらない。
ライセンスの行とは別に、導入支援費、追加製品、外部への構築委託費、社内管理者の時間を置く。HubSpot Sales Hub Professionalを選ぶ場合は必須導入支援費が生じる。Marketing Hubなどを追加するならその契約額を加える。Salesforceでもデータ移行や独自設定を外注すれば委託費が発生し、社内で担えば担当者の時間を使う。これらを一律の金額で埋めず、必要な作業と契約が判明した時点で人数別のライセンス額に足すのが、3年間の総保有コストを比べる方法だ。
HubSpotは上位プランと追加Hubで費用が変わる

HubSpot Sales Hub Starterで必要な営業機能がそろうなら、上の席代が比較の出発点になる。営業の自動化を深めてProfessionalへ移ると、月額の席代と一度限りの必須導入支援費を合わせて考える必要がある。全員をProfessionalの有料席にし、表示された年契約時の月額が36か月続くという条件では、ライセンスと導入支援の合計は2人で95万7,600円、10人で406万8,000円、30人で1,184万4,000円となる。Starterとの差には、席単価の上昇と導入時の費用の両方が入る。
見込み客への施策を増やす場合は、追加する製品の課金単位も確認したい。HubSpotのMarketing Hub価格表には、Professionalの最低利用料金が年契約時に月額9万6,000円、別途必須導入支援費が36万円と表示されている。価格表には含まれるコアシートとマーケティングコンタクト数も示されており、営業席の数をそのまま掛ける料金ではない。Sales Hubに重ねて使うなら、契約する製品とコンタクト数を決めてから追加額を計算する必要がある。
Starterの特別価格についても、表示されていることと、将来の全契約期間に同じ価格が適用されることは分けて扱う。今回の試算で840円と2,400円の両方を載せたのは、その条件が総額に与える幅を示すためだ。販売条件が確定すれば、その金額に置き換えられる。一方、Professionalへ移る可能性が高いチームでは、Starterの割引額より、移行後の席代と必須導入支援費の影響が大きい。
Salesforceは設定範囲が管理工数を決める

Salesforce Starter Suiteで営業、顧客対応、基本的なマーケティングを運用できるなら、上の試算は利用者数に応じたライセンス費の目安になる。売上予測や独自のアプリ、より高度な自動化が必要になると、Pro Suiteを比較対象に入れることになる。Salesforceの販売価格・機能一覧は、Starter SuiteとPro Suiteの価格を分け、営業プロセスのカスタマイズや自動化に関する機能をプラン別に示している。必要な設定がどのプランで可能かによって、席代の前提が変わる。
全員をPro Suiteへ移し、月額12,000円を36か月に当てる条件なら、ライセンス費は2人で86万4,000円、10人で432万円、30人で1,296万円となる。ここには外部業者への構築費も、社内管理者の人件費も含めていない。顧客データを移す、担当者ごとの権限を整える、承認手順を変更するといった作業は、導入時だけで終わるとは限らない。業務の変更に合わせて設定を直し、利用者に伝える時間も継続的な費用になる。
管理工数は製品名や人数だけでは決められない。既存データの状態、営業手順の複雑さ、他のサービスとの連携によって作業量が変わるからだ。比較には、初期のデータ移行と設定、運用中の変更、問い合わせ対応を分け、社内で担う時間と外注する範囲をそれぞれ計上する。Salesforceだけに管理工数を置いてHubSpot側をゼロにする計算も、実態から離れる。
選択が分かれるのは必要機能と運用体制
営業の顧客管理を中心に使い、HubSpot Starterの機能で成長後も運用できるなら、提示された席代から見てHubSpotが有利になりやすい。ただし、これは同じ機能を両社で買えるという意味ではない。マーケティング施策や営業の自動化を増やす計画があるなら、追加HubとProfessionalへの移行費を含めた総額で判断したい。
Salesforce Starter Suiteは、基本機能を一つの契約で使い始めたいチームの候補になる。独自の業務に合わせた設定が選択の理由なら、Pro Suiteの席代と、その設定を維持する担当者の時間まで含める必要がある。無料枠から有料プランへ移る際の差は、画面上の月額だけでなく、どの機能をいつ必要とし、誰が運用を担うかで決まる。
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