CopilotかGeminiか、AI料金より既存の業務データで選ぶ

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
CopilotかGeminiか、AI料金より既存の業務データで選ぶ

Microsoft 365 CopilotとGoogle WorkspaceのGeminiは、既存の文書、メール、会議の情報が集まる環境を起点に選ぶのが実務的だ。Word・Excel・Outlook・Teamsが仕事の中心なら、まずCopilotを検討する。Microsoftの法人向け料金表では、Copilot Businessの年契約の通常表示額は利用者あたり月額3,148円、Microsoft 365 Business Standardとのセットは月額3,523円で、単体には対象のMicrosoft 365ライセンスが別途必要だ。単体には初年度月額2,698円の割引も表示されているが、以下の継続費用モデルには通常額を使う。

Gmail・Googleドキュメント・Meetに情報が集まるなら、Geminiを現在のWorkspace契約でどこまで使えるかを先に見る。Googleの国内向けプラン表では、年契約のBusiness Standardは利用者あたり月額1,600円で、Gmail、Googleドキュメント、MeetなどのGemini機能を含む。月額800円のBusiness StarterにもGmailのGemini機能はあるが、文書と会議まで同じ範囲で使えるわけではない。表示額はいずれも税別で、AIの月額だけでは既存契約の重複や移行作業を測れない。

年額モデルは契約の出発点をそろえる

Microsoft 365の既存契約にCopilot Businessを追加した場合の費用が、10人と50人で広がる比較

同じ「AIを使う費用」でも、既存のMicrosoft 365にライセンスを追加する場合と、新しく業務スイートごと契約する場合では、計算に含まれるものが違う。ここでは表示された年契約の月額を12倍し、対象者全員が同じプランを使う条件付きモデルを置く。移行作業、既存契約の残額、販売店独自の価格は含めない。

  • Microsoft 365契約済みでCopilot Businessを追加:10人で年37万7,760円、50人で年188万8,800円の追加費用。既存のMicrosoft 365料金は別に続く。
  • Microsoft 365 Business StandardとCopilot Businessをセットで新規契約:10人で年42万2,760円、50人で年211万3,800円。これはセットの総額であり、既存契約への上乗せ額ではない。
  • Google Workspace Business Standardを新規契約:10人で年19万2,000円、50人で年96万円。対象のGemini機能を含むスイート全体の料金だ。
  • 既存のWorkspace Business StarterをStandardへ変更:表示額の差だけなら10人で年9万6,000円、50人で年48万円の増額となる。必要な文書・会議機能を得るためのプラン変更として見る。

これらの金額を並べても、セット契約と追加ライセンスの差をそのまま節約額とは呼べない。たとえばMicrosoft 365を使い続けながらWorkspace Standardを導入すれば、Workspaceの年額は既存費用に加わる。反対にWorkspaceからCopilotへ移る場合は、対象となるMicrosoft 365契約も必要になる。契約を一本化できるか、並行利用を続けるかによって、同じ席単価から異なる総額が出る。

全員がAIを必要とするとも限らない。条件を変えた試算では、AIを使う人数とスイートを使う人数を分ける必要がある。見積書や顧客対応を扱う部署だけに追加ライセンスを付けるなら、その部署の費用と、組織全体で維持する基礎契約の費用を別々に記録すると比較しやすい。

参照できる情報は保存先と権限で変わる

Word・ExcelとGmail・Googleドキュメントに分かれた業務データと、それぞれのアクセス範囲

文書の形式だけでなく、どのサービスに保存され、誰がアクセスできるかが回答に使える情報を決める。MicrosoftのCopilotの構成説明によれば、Microsoft Graphを通じて参照するメール、チャット、文書は、利用者にアクセス権がある範囲に限られる。SharePointやOneDriveに必要な資料が存在しても、担当者が開けない資料をCopilotが代わりに読めるわけではない。一方、広く共有された資料は、その共有状態を前提に扱われる。

Google側にも同じく権限の境界がある。GoogleのGeminiのデータアクセス条件では、Driveのファイルや予定の参照は利用者の権限に従い、所有者がダウンロード・コピー・印刷を禁じたDriveファイルや、代理アクセスしている他人のGmail受信箱には追加の制限がある。Driveに置いた資料なら何でも扱える、という想定で選ぶと、利用したい場面とのずれが生じる。

業務の流れに当てはめると違いが見えやすい。見積書の基になる表はExcelかGoogleスプレッドシートか。顧客との経緯はOutlookかGmailか。会議後に引き継ぐ内容はTeamsとMeetのどちらで残しているか。文書だけを新しい環境に移しても、関連するメールや会議情報が元の環境に残れば、担当者が日常的に使う情報は分かれたままだ。

既存のファイルを移さず両方を使う案もあり得る。ただし、その場合はどちらのAIに何を任せるかを業務ごとに分ける必要がある。製品名で全社一律に決めるより、営業、経理、管理部門などで、情報の保存先とアクセス権がどのように違うかを見たほうが、使える機能を具体的に評価できる。

会議と管理機能はプラン名だけで判断しない

会議を重視する組織では、TeamsとMeetを単に「AI対応」と並べても判断材料にならない。会議中の補助が必要なのか、終了後に議事内容を参照したいのか、録画を保管したいのかで、見るべき機能は変わる。参加者全員にAIが必要か、記録を作る担当者に限るかによって、必要なライセンス数も異なる。

特に、既存の会議運用を残すかどうかは総費用に効く。Teamsで集めた会議情報を使いたい会社が、文書作成のためだけに別のスイートを加えても、会議側の契約費用はすぐには消えない。Meet中心の会社がTeamsを新たに使う場合も、会議の運用と利用者の契約を含めて考える必要がある。AI機能の比較は、実際に会議を開く人と、その結果を使う人を分けて行うのが適切だ。

管理面では、アカウントと共有権限の設計が現在の環境でどう運用されているかが重要になる。必要な情報が読めない場合は権限を直す作業が生じ、逆に共有が広すぎる場合はアクセス範囲の整理が先になる。保存先を変える案では、この作業を新しい環境でも行う。必要な管理機能が選んだBusinessプランに収まらなければ、上位プランとの差額も費用に加わる。

移行費を含めると、安い席単価の意味が変わる

スイートを乗り換える場合は、メールボックスや共有ファイルの移動だけで作業は終わらない。共有権限の再設定、既存文書の表示や計算結果の確認、社内手順の変更、利用者への説明が必要になる。切り替え中に旧環境を残すなら、その期間の二重契約も見積もりに入る。方向が逆でも、現在の業務を新しい環境へ移すための作業は発生する。

TechRadarが紹介したGartnerの移行分析は、Microsoft 365からGoogle Workspaceへ移る企業について、ライセンス単価だけでは明確な節約を示せず、従業員の再教育費が投資対効果を損ないうると指摘している。分析で比較されたのは企業向け契約であり、上のBusinessプランの小規模モデルに同じ差額を当てはめることはできない。それでも、価格表の外にある作業を費用に含める必要性は共通する。

移行費には、担当者の作業時間を金額に直したものと、外部支援の見積額を区別して置ける。さらに、旧契約の解約や更新の時期が合わなければ、移行が完了しても支払いだけが残る期間があり得る。文書の互換性を確認する範囲や、取引先との共有方法を変更する範囲が広いほど、席単価の差だけから初年度の優劣を決めにくくなる。

意思決定表には「現状」と「変更後」を並べる

比較の単位は、各製品の月額ではなく、同じ期間に必要な契約と作業の総額だ。現状の契約を維持してAIを追加する案と、スイートを替える案をそれぞれ一行にし、文書、メール、会議、管理、移行の扱いを書き込むと、金額の差がどこから生じるかが分かる。

  • Microsoft 365が中心:Word・Excelの既存ファイル、Outlookのメール、Teamsの会議を引き続き使うなら、Copilotを必要な人数に追加する費用を基準に置く。Googleへ移る案には、移行作業と並行契約の期間を足す。
  • Google Workspaceが中心:Gmail・Googleドキュメント・Meetを使うなら、現在のプランで必要なGemini機能を満たせるかを見る。StarterからStandardへ変更する費用と、Microsoft 365を新たに契約する費用は別の案として扱う。
  • 部署ごとに環境が異なる:各部署の主要データがある環境と、AIを使う人数を分ける。全社で契約を統一する案には移行費を、併用する案には重複契約の継続費を置く。
  • 会議記録や管理が選定条件:必要な機能を使う担当者、会議の保存先、現在の権限設計を明記する。追加ライセンスや上位プランが必要なら、その費用を該当する案に含める。

既存の業務データが片方の環境にまとまり、必要な機能もそこで使えるなら、その環境への追加やプラン変更は費用を読みやすい。データが分散している組織では、どの情報をどの担当者が使うかによって、併用と移行のどちらが合理的かが変わる。年額モデルは選択の出発点であり、契約の重複と移行作業を加えて初めて、自社の総費用になる。

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