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豪州が「おすすめなし」を選択可能に、違反罰金は1億豪ドル超

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
豪州が「おすすめなし」を選択可能に、違反罰金は1億豪ドル超

オーストラリア政府は2026年9月8日、16歳以上のSNS利用者が、個人向け推薦を含む標準フィードと、自ら選んだ友人やクリエイターを見るフィードを選べる制度案「My Feed, My Way」を公表した。これは施行済みの法律ではなく、議会提出前の法案草案である。政府の発表 では、新規・既存の利用者に標準フィードを選ぶ通知を送り、その選択を尊重するようSNS事業者に求めている。

同日に示された草案は、アルゴリズムそのものを禁止するものではない。16歳以上は推薦を受け入れるか、個人向け推薦を外してフォロー先を見るかを選べる一方、16歳未満にはより強い設計上の保護を課す。広範なDigital Duty of Care(デジタル注意義務)に違反した場合の罰金は最大1億920万豪ドルだが、具体的な適用開始日はまだ決まっていない。

年齢によって「選択」と「保護」が分かれる

豪州案で16歳以上にはフィード選択、16歳未満には推薦機能の停止、18歳未満には有害コンテンツ対策が適用される構成

草案では、16歳以上、16歳未満、18歳未満に異なる仕組みを設ける。16歳以上のSNS利用者にはフィードの選択肢を与え、18歳未満には有害なコンテンツや行動に悪影響を及ぼす設計から守る予防措置を求める構成だ。

  • 16歳以上:個人向け推薦を含むフィードと、自ら選んだフォロー先を見るフィードを選択する。選択は後から変更できる。
  • 16歳未満:SNSでは個人向け推薦や無限スクロールなどを停止する、より強い機能制限が想定されている。
  • 18歳未満:摂食障害を促す内容、女性やジェンダー平等への敵対的な内容、ポルノ、犯罪や危険行為の賛美、深刻な精神的苦痛につながる虐待やいじめなどから保護する対象となる。

ABC Newsの報道 によると、アニカ・ウェルズ通信相は、利用者が考えを変えればフィードを繰り返し選び直せると説明した。同報道は、16歳未満のSNSアカウントでは個人向け推薦と無限スクロールを停止する構想も伝えている。

新規・既存利用者が標準フィードを選ぶ

既存のSNS利用者が標準フィードを通知から選び、後から選択を変更する流れ

利用者にとって直接の変化は、新規登録時だけでなく既存アカウントにも、アプリを開いたときの標準フィードを選ぶ通知が届くことだ。一方はアルゴリズムによる個人向け推薦を含むフィード、もう一方は利用者自身が選んだ友人やクリエイターを見るフィードとなる。

  • 対象者:フィード選択については、16歳以上のオーストラリアのSNS利用者。
  • 初期フィード:事業者が新規・既存利用者に通知し、どちらを標準にするか選ばせる。
  • 再選択:利用者は後から選び直すことができ、事業者は変更後の選択も尊重する。
  • 対象範囲:フィード選択はSNSが中心。子どもを守る広い注意義務は、ゲーム、アプリ、メッセージサービス、AIチャットボットなどにも及ぶ。

通知の文言や選択肢の配置、フォロー先フィードに広告が残るか、投稿をどの基準で並べるかといった実装の細部は、公表資料では確定していない。「おすすめなし」は個人向け推薦を外すという意味であり、広告や自動的な並べ替えがすべて消えると決まったわけではない。

「推薦停止」は「完全な時系列表示」を意味しない

今回の中心は、利用者の閲覧や反応などに基づいて選ばれた投稿や動画を差し込む個人向け推薦を、標準フィードから外せるようにすることだ。フィードを成立させるすべての自動処理を禁止する案ではない。

政府が示した代替フィードは、自ら選んでフォローした友人やクリエイターを見るものだ。ただし、公開資料は投稿を厳密な時系列順に並べることまでは明記していない。フォロー先だけに対象を絞ったうえで、鮮度などを基準に表示順を調整する余地があるため、「推薦を切れば完全な新着順に戻る」とはまだ断定できない。

1億920万豪ドルは注意義務違反の上限

SNS、ゲーム、アプリ、AIチャットボットの危害対策を事業者が記録し、豪州の注意義務に対応する過程

法案草案の中核は、オンライン事業者に予見可能な危害を特定させ、合理的に実行できる予防措置を取らせるDigital Duty of Careである。事業者は特定したリスクと対策を記録し、対策が継続的に有効かを確認する。SNSのフィード選択は、この広い制度に組み込まれた利用者保護策の一つだ。

APの9月8日付報道 は、注意義務違反の罰金が最大1億920万豪ドルに達し得ることに加え、オンラインゲーム、アプリ、AIチャットボットにも、子どもを行動へ悪影響を及ぼす設計から守る義務が及ぶと伝えている。この上限額は、フィード選択ボタンを設けなかった場合に一律で科される固定罰金ではなく、注意義務制度への違反に対する最大制裁である。

対象範囲は二層に分かれる。16歳以上に二種類の標準フィードを提示する義務はSNSに向けられる一方、危害を予防する注意義務は、SNS以外を含む幅広いデジタルサービスに及ぶ。ゲームやチャットボットにもフォロー先限定フィードの提供が必要になる、という意味ではない。

日本の制度との違いと今後の焦点

豪州案の際立った点は、一般のSNS利用者が日常的に操作できるフィード選択を、事業者の注意義務と同じ法案に組み込んだことにある。日本の主な現行制度は、権利侵害情報への対応や、大規模なプラットフォームにおける取引条件・運営の透明性を中心としており、豪州案のように「推薦あり」と「フォロー先」を継続的に選ばせる横断的な仕組みとは目的と対象が異なる。

このため、豪州案は日本の投稿削除制度や取引透明化の規制を単純に強化したものとは捉えにくい。利用者が見るフィードの構成に直接選択肢を設ける点と、18歳未満への予防的な保護を幅広いサービスに求める点が、制度設計上の大きな違いとなる。

ただし、現時点で確定しているのは草案と基本方針までだ。政府は関係者から意見を募ったうえで2026年中に法案を議会へ提出する方針を示しており、対象サービスの定義、選択画面の中立性、年齢をどのように判定するか、フォロー先フィードの表示順や広告をどう扱うかは今後の条文や規則、議会審議を待つ必要がある。

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