社長1人でも社会保険、法人設立後の新規適用を忘れない

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます| 5
社長1人でも社会保険、法人設立後の新規適用を忘れない

社長1人で常時事業を営む法人も、日本年金機構の新規適用案内が示す健康保険・厚生年金保険の加入対象に含まれ、適用要件を満たした事実の発生から5日以内に新規適用届を提出する。従業員をまだ雇っていないという理由だけで、設立後の社会保険手続きを省くことはできない。

確認する点は、法人の事業所が適用対象か、社長本人が被保険者になるかの二つだ。社長が継続して業務を行い、その対価として役員報酬を受ける場合は、事業所の新規適用と本人の資格取得を進める。一方、社長が無報酬で被保険者となる人がほかにもいない場合は、扱いが異なる。

法人事業所の適用条件を先に見る

法人については、事業主のみを含めて常時人を使用する事業所が、健康保険・厚生年金保険の強制適用の対象となる。ここで数えるのは社長以外の従業員だけではない。社長が法人で働いているなら、従業員を採用する日まで社会保険の確認を先送りにはできない。

個人事業所に関する従業員数の基準を、設立した法人へそのまま持ち込むと判断を誤る。個人で事業をしていた時期と、法人の事業所として事業を行う時期は分けて考える必要がある。法人化後に報酬を受けて働く社長だけになった場合も、会社と本人の加入手続きを確認する。

事業所の適用を確認したら、そこで誰が被保険者になるかを調べる。新規適用届は事業所についての届出であり、それだけで社長本人の資格取得を届け出たことにはならない。この区別が、設立後の書類をそろえる際の出発点になる。

社長本人の資格は業務と報酬の実態で決まる

社長だけが日常業務を担う法人事業所。本人の被保険者資格は業務と報酬の実態で判断する

代表者という肩書だけで、本人の被保険者資格が決まるわけではない。厚生労働省の役員資格に関する通知は、法人の経営に参画する継続的な業務を行っているか、その対価として法人から継続的に報酬を受けているかを、実態に即して総合的に判断するとしている。

社長だけの会社なら、本人がどの業務を継続して担い、法人からどのような役員報酬を受けるかを確かめる。登記上の役職や報酬の名称だけを見ても、業務との関係は分からない。反対に、売上がまだ少ないという事情だけで、継続的な業務と報酬を確認せず加入不要と決めることもできない。

設立直後に役員報酬の支払いを始める時期や業務の開始時期が定まっていないなら、資格取得日を推測して記入しない。実際の業務と報酬の状況を整理し、判断に迷う点は管轄の年金事務所へ確認する。会社がいつ登記されたかと、本人がいつ被保険者の要件を満たしたかは、同じ事実として扱わないことが大切だ。

無報酬なら被保険者になる人の有無を確認する

社長が無報酬で、ほかにも被保険者となる人がいない法人は、報酬を受けて働く社長だけの法人とは扱いが異なる。日本年金機構の新規加入に必要な書類一覧は、無報酬の役員しかいないなど、被保険者となる人がいない法人事業所は適用事業所の要件を満たさず、適用を受けられないとしている。

「従業員がいない」と「被保険者になる人がいない」は別の状態だ。前者には、法人で働き、報酬を受ける社長が含まれる。後者に当たるかは、役員も含めて誰が業務を行い、その対価を法人から受けるかで確認する。

無報酬のまま事業を始めた後、役員報酬を支払うようになったり、加入要件を満たす従業員を雇ったりした場合は、その時点の実態に沿って事業所の適用と本人の資格を改めて確認する。設立時の判断を、その後の働き方や報酬が変わっても固定したままにしない。

新規適用届と本人の届出をそろえる

適用対象となる法人では、事業所について「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」、社長本人について「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を用意する。家族を健康保険の被扶養者にする場合は、「健康保険 被扶養者(異動)届」も確認する。会社、本人、家族に関する届出は、それぞれ目的が異なる。

法人の新規適用には、法人登記簿謄本または商業登記簿謄本の原本を添付する。提出日からさかのぼって90日以内に交付されたものが必要だ。新規適用届の法人番号欄で「法人番号」を選ぶ場合は、法人番号指定通知書のコピーも添付する。

登記上の所在地と実際に事業を行う所在地が異なる場合は、賃貸借契約書のコピーなど、事業所所在地を確認できる資料も必要になる。登記簿だけを先に取り寄せるより、届書に記載する法人番号と事業所所在地を確かめてから添付書類をそろえると、必要な資料を見落としにくい。

要件を満たした日と提出先を確かめる

法人の新規適用届を郵送で提出する手続き

新規適用届の期限を考える際は、法人の登記日を機械的に書き写すのではなく、事業所が適用要件を満たした事実がいつ発生したかを確認する。届書の提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所で、電子申請、郵送、窓口持参の方法がある。登記上の所在地と実際の事業所所在地が異なる場合は、実際に事業を行う所在地の管轄を確認する。

提出前は、次の順に確認すると、事業所と社長本人の届出を混同しにくい。

  1. 社長を含め、被保険者となる人がいるかを確認する。
  2. 社長が継続して担う業務と、法人から受ける報酬の実態を確認する。
  3. 事業所の新規適用届と、本人の被保険者資格取得届をそれぞれそろえる。扶養家族がいる場合は、その届出も確認する。
  4. 登記簿などの添付書類、適用要件を満たした日、提出先の管轄を照合する。

法人設立の手続きが完了していても、適用対象となる事業所の社会保険の届出は別に必要になる。社長だけで事業を始める場合ほど、法人の適用と本人の資格を分けて確認することが、届出漏れを防ぐ。

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