法人の電子申告は一つで終わらない、e-TaxとeLTAXの分担

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
法人の電子申告は一つで終わらない、e-TaxとeLTAXの分担

法人の決算申告では、法人税などの国税はe-Tax、法人住民税や法人事業税などの地方税はeLTAXに振り分ける。国税庁の案内は、法人がe-Taxで申告しても法人市民税などは市区町村へ別途提出する必要があるとしている。国税の送信だけで、法人の決算申告全体が終わるわけではない。

準備する番号、申告書を作るソフト、電子署名もそれぞれ確認する。送信後にはe-TaxとeLTAXの受付結果を別々に照合し、申告書の控えとともに保存する。まず提出する税目を洗い出し、その後に両方の利用環境を整えると、申告先の漏れを見つけやすい。

税目から送信先を決める

決算申告での基本的な振り分けは、税名に「地方」という文字があるかどうかではなく、国税と地方税の区分で決まる。地方法人税と地方消費税はe-Tax側、法人住民税と法人事業税はeLTAX側に置く。申告書の送信先を整理すると、次のようになる。

  • e-Taxで送信する国税:法人税・地方法人税、消費税・地方消費税など。提出先は所轄の税務署となる。
  • eLTAXで送信する地方税:法人都道府県民税、法人事業税、法人市町村民税など。申告先となる都道府県や市区町村を指定する。

この区分は申告書の提出経路を示すもので、税額の計算や納付の手続まで一括で決めるものではない。法人税の申告書を送信しても、それを基に作る法人住民税の申告書が自動的に提出されるとは考えない。国税と地方税で同じ決算数値を使う場合でも、提出する申告書と受付結果は税目ごとに確認する必要がある。

事務所や事業所が複数の地域にある法人は、地方税側の申告先も洗い出す。国税については税目と所轄税務署、地方税については税目と提出先の地方公共団体を対応させる。たとえば法人事業税の申告先が複数あるなら、eLTAXを使うという判断だけでは足りず、申告先の団体まで確定しておく必要がある。

利用開始の番号と地方税の提出先をそろえる

e-Taxでは利用者識別番号、eLTAXでは利用者IDを使う。両者は別の番号なので、過去に電子申告を行った法人は、それぞれの登録状況を確認する。番号が見当たらないというだけでe-Taxの開始届出を新規に出し直すと、従来の番号が使えなくなる場合がある。

e-Taxの法人向け利用案内によると、開始届出によって利用者識別番号を取得できる一方、既存の利用者が新しい番号を取得すると旧番号は使えなくなり、メッセージボックスの内容も引き継がれない。申告を始める前には、番号の有無だけでなく、過去の受付通知を確認する必要がないかも確かめたい。

eLTAXは利用届出で利用者IDを取得する。複数の地方公共団体に申告する場合でも、申告先ごとに新しいIDを取得する仕組みではない。最初の利用届出を行った後、追加の団体を提出先として登録する。法人に付与されるIDと、申告書を届ける団体の登録は別の作業として扱う。

福岡県のeLTAX案内も、利用届出でIDを取得した後、ほかの地方公共団体を提出先に追加する手順を示している。同案内では、申告データの作成、電子署名、送信、メッセージボックスでの受付結果確認までを順に案内している。申告データを作り始める前に、予定する提出先が登録されているか確かめておくとよい。

無償ソフトと電子署名を申告書に合わせる

国税と地方税にはそれぞれ無償ソフトがあるが、同じ「WEB版」でも作成できる手続は異なる。国税側にはダウンロード型のe-Taxソフトとe-Taxソフト(WEB版)、地方税側にはPCdeskの各版がある。利用届出に使えた画面で、決算申告書もそのまま新規作成できるとは限らない。

法人向けのe-Taxソフト(WEB版)は、法人税の決算申告書を画面上で新規作成する用途には対応していない。一方、ダウンロード型のe-Taxソフトには申告書の作成機能がある。作成済みの申告データを別のソフトから送る運用もあるため、ソフトを選ぶときは「作成」と「送信」のどちらを行うのかを分けて確認する。

eLTAXのPCdeskにもDL版、WEB版、SP版などがあり、利用届出、申告、メッセージの確認に使える機能は版によって異なる。法人住民税や法人事業税の申告書を作るなら、対象税目に対応する版か、eLTAX対応の民間ソフトを選ぶ。会計ソフト上の操作が一つに見えても、国税と地方税で送信先と受付結果が分かれる点は変わらない。

署名の準備は、法人自身が送るか、税理士が代理送信するかで変わる。法人自身による地方税の電子申告では、使用する電子証明書と電子署名を準備する。税理士が代理送信する場合、納税者本人の電子署名を省略できるが、代理送信する税理士の電子署名は必要だ。申告前に、誰がデータを作成し、誰が署名して送信するのかを決めておく。

送信後は双方の受付結果と保存期間を確認する

e-Taxの受信通知とeLTAXのメッセージで異なる保存期間を比較し、受付結果を個別に保存する必要性を示す

送信ボタンを押した時点で作業を終えず、e-TaxとeLTAXのメッセージボックスをそれぞれ確認する。e-Taxでは送信直後の表示に続いて受信通知を確認し、eLTAXでも申告先ごとの受付結果を照合する。税目、提出先、受付状況を申告書の控えと結び付ければ、一方だけ送信した状態や地方税の提出先漏れを発見しやすい。

通知を後から取り出せる期間も同じではない。e-Taxの受信通知に関する説明では、受信通知と申告に関するお知らせは格納から120日を過ぎると過去分の画面へ移り、1,900日を過ぎると削除される。これはすべての種類のメッセージに共通する期間ではない。

日本税理士会連合会の比較表では、eLTAXのメッセージ保存期間は種類により30~400日と整理されている。受付結果を確認したら、申告書の控え、送信データ、通知を対応付けて社内の申告記録に保存する。税理士が代理送信する場合は、法人側が受け取る通知の範囲と受け渡し方法も決めておく。

申告前後の確認順

二つのシステムを使う法人は、「決算申告を送ったか」ではなく、必要な申告書が正しい先で受け付けられたかを単位に管理する。申告前の準備と送信後の確認をつなぐと、作業順は次のようになる。

  1. 提出する国税と地方税の申告書を列挙し、税目ごとにe-TaxかeLTAXへ振り分ける。
  2. e-Taxの利用者識別番号とeLTAXの利用者IDを確認し、地方税の提出先となる団体を登録・確認する。
  3. 申告書を作成・送信できるソフトを選び、本人送信か代理送信かに応じて電子証明書と署名担当者を決める。
  4. 国税と地方税のデータをそれぞれ送信し、税目と提出先ごとの受付結果を確認する。
  5. 申告書の控え、送信データ、受付結果の通知を対応付けて保存する。

特に地方税の申告先が複数ある場合、eLTAXの利用者IDを取得したことと、すべての団体への提出が済んだことは別だ。最後は国税の受信通知と地方税の各受付結果を並べ、提出予定の申告書に欠けているものがないか確認する。

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