PDF請求書はPeppolではない、デジタルインボイス導入の3段階

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
PDF請求書はPeppolではない、デジタルインボイス導入の3段階

Peppol対応のデジタルインボイスを始める手順は、対応ソフトの確認、自社のPeppol ID取得、取引先のID収集と開始案内の3段階だ。国税庁の導入案内は、PDF請求書のメール送付を電子インボイスと区別し、Peppolでは請求情報を売り手側と買い手側のシステムで連携させると説明している。PDFを送っているだけでは、このデータ交換は始まらない。

導入前には、発行と受領のどちらが必要かを決め、利用するサービスでその処理ができるかを確かめる。さらに、取引先と送受信先のIDを共有し、請求データをどこに保存するかも決めておく。送信できる状態と、受領後に記録を保管できる状態は、それぞれ確認が必要だ。

PDF送付とデータ交換の違い

PDFのメール送付では、相手に届くのは閲覧できる請求書ファイルだ。受領側が請求項目を会計システムへ取り込むには、入力や読み取りなどの工程が残り得る。Peppol対応のデジタルインボイスでは、請求情報を項目ごとに扱えるデータとして交換し、受領側のシステムで処理につなげられる。ただし、実際にどこまで自動処理できるかは、利用するサービスと社内システムの連携範囲による。

日本でPeppolネットワークを通じて交換するデータの標準仕様はJP PINTで、デジタル庁のJP PINT案内は、Peppolを基礎に同庁が管理していると説明している。サービス選びでは「電子請求書を作れる」という表示だけで判断せず、Peppol経由の送信・受信と、自社が必要とする請求データの取り扱いに対応しているかを見る必要がある。

標準仕様が適用される中心は、売り手側と買い手側のアクセスポイント間で交換されるデータだ。自社の請求システムからアクセスポイントへ渡す形式や、受領したデータを会計システムへ取り込む方法まで、すべてが同じ形式になるわけではない。このため、Peppol対応という条件に加え、現在の業務で使うデータをどのように受け渡すかが導入判断の要点になる。

第1段階:対応ソフトと必要な機能を確認する

まず、現在使っている請求書サービスや会計ソフトがPeppol対応のデジタルインボイスを扱えるかを確認する。対応していなければ、対応サービスの導入や既存システムとの接続を検討する。PDFの作成・メール送信機能があることだけでは、Peppolで送受信できる根拠にはならない。

確認する範囲は、自社が発行する側か受領する側かで変わる。発行が目的なら、既存の請求データから送信用のデータを作り、宛先を指定できるかが重要だ。受領も行うなら、届いた請求データをどこで確認し、どのように会計処理へ渡すかまで確かめたい。両方を始める企業は、発行と受領をそれぞれ確認する必要がある。

  • 発行、受領、または両方のうち、今回始める業務を明確にする。
  • 現在のサービスにPeppol経由の送受信機能があるか確認する。
  • 請求データの作成、受領後の確認、会計システムへの受け渡し方法を確認する。

認定サービスプロバイダを利用することと、選んだ個別サービスに必要な機能がそろっていることも分けて考えたい。請求書の発行画面や受領後の処理、既存システムとの接続方法はサービスごとに異なる。候補を比較する際には、対応の有無だけでなく、自社が切り替えたい業務を最後まで処理できるかを確認する。

第2段階:自社のPeppol IDを取得する

利用するサービスを決めたら、自社のPeppol IDを取得する。IDはネットワーク上で送受信先を指定するために使う。取得は認定サービスプロバイダを通じて行い、具体的な手続きは利用するサービスによって異なる。対応済みサービスを通じて取得する場合もあるため、契約時に申請方法と利用開始までの設定を確かめたい。

IDを取得した後は、請求書を発行するサービスで自社の設定が完了しているかを確認する。受領も行うなら、そのID宛てに届くデータをどこで受け取り、担当者がどう確認するかも決める。社内に複数の請求業務がある場合は、最初に切り替える取引を絞っておくと、取引先に伝える送付方法と開始時期が具体的になる。

Peppol IDと適格請求書発行事業者の登録番号は、請求業務で目にする識別情報でも役割が異なる。取引先へ送る際に必要なのは、相手がPeppolで受け取るための宛先IDだ。請求書に記載する情報を整える作業と、ネットワークで送付先を指定する作業を混同しないようにしたい。

第3段階:取引先のIDを集め、開始を案内する

自社から送信するには、取引先のPeppol IDが必要だ。相手が受領を始めているかを確認し、受け取ったIDを送付先として設定する。逆に、自社が受領を希望する場合は、請求元へ自社のIDを伝える。売り手と買い手が同じ会計ソフトを使う必要はないが、送付先を指定するためのID共有は欠かせない。

切り替えの案内では、対象となる取引、開始時期、従来のPDF送付の扱い、問い合わせ先を明確にしておくと、請求書の重複や送付漏れを把握しやすい。これらは一律の制度要件ではなく、取引先と運用を合わせるための実務上の確認事項だ。初回は対象を絞り、相手が受領できる状態か、予定した経路で請求データが届くかを確かめるとよい。

  1. 送信先がPeppolで受領するか確認し、相手のIDを受け取る。
  2. 送信先IDをサービスに設定し、対象取引と開始時期を案内する。
  3. 初回の送信後、相手側で受領できたかを確認する。

送信経路と保存先を分けて決める

Peppol経由で届いた請求データと、買い手が別途用意する保存先

デジタル庁のPeppolネットワークのFAQは、売り手、売り手側アクセスポイント、買い手側アクセスポイント、買い手からなる4コーナーモデルを説明し、ネットワーク自体には交換したインボイスデータの保存機能がないとしている。請求データが相手に届くことと、後で参照できる状態で保存されることは別の処理だ。

送信経路は「売り手 → 売り手側アクセスポイント → 買い手側アクセスポイント → 買い手」と表せる。アクセスポイント間で標準仕様に沿ったデータを交換し、買い手側へ届ける。売り手や買い手が利用するサービス内で、請求データをどの形式で扱い、どこに残すかは、採用したサービスと社内の保存方法に応じて確認する。

サービスプロバイダが交換機能とは別に保存サービスを提供する場合もある。利用するなら、発行・受領した記録のどちらを保存できるか、後から必要なデータを取り出せるかを確認する。自社のシステムに保存する場合も、送受信が完了したデータが保存先へ確実に渡る手順を決めておきたい。

適格請求書に代えて提供・受領した電磁的記録は、税務上の保存が必要になる場面がある。Peppolへの接続だけで保存要件を満たしたと考えず、既存の請求書保存手順と、採用するサービスの保存機能を照らし合わせることが重要だ。送受信を始める前に保存先と担当業務まで決めておけば、到達後の請求データが社内で扱われないまま残ることを防ぎやすい。

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