
AiActorはAIが手順を作る、提供は2027年春の予定

NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)は、2026年10月15日付の発表で、チャットの依頼からAIが自動化シナリオを作るRPA製品「AiActor」の製品化に着手し、2027年春の提供開始を目指すとした。生成した手順を利用者が画面で確認でき、実際のパソコン操作にはWinActorの自動化技術を活用する構想だ。
AI Watchの報道によると、AiActorは2026年10月21~23日に幕張メッセで開かれる「Japan DX & AX Week 秋 2026」に参考出展される。会場で紹介するのは開発中のコンセプトと利用イメージであり、製品化着手の発表をもって利用が始まったわけではない。既に提供されているWinActorとの違いと、AiActorを使えるようになる時期は分けて見る必要がある。
チャットの依頼が実行手順になるまで
AiActorが目指す流れは、自然な言葉で業務を頼み、AIがシナリオを組み立て、その内容を確認してからRPAの技術で処理するというものだ。ここでいうシナリオは、パソコン上でどの操作をどの順番で行うかを定める手順を指す。依頼文を入力した瞬間に、その文のまま操作が始まるという説明ではない。
- 自然言語で依頼する。担当者はチャットで、行いたいパソコン業務を伝える。NTT-ATは、シナリオ設計の専門知識がない現場担当者でも日常業務を任せられる製品を目指している。
- AIが作ったシナリオを確認する。依頼の意図を基に生成された処理内容を画面で見られる構想だ。確認できる対象は実行後の結果だけではなく、実行に用いる手順そのものとなる。
- RPAの技術で実行する。確認したシナリオに沿う操作にはWinActorの自動化技術を活用する。一度作成したシナリオを繰り返し使うことも想定されている。
NTT-ATが示した経理業務の利用例では、請求データを確認し、会計システムへ登録したうえで、集計結果をExcelに出力するようチャットで依頼する。AIがこの依頼から操作の順序を組み立てるなら、確認画面では登録と出力がどのようにつながるかが焦点になる。請求データを読むこと、会計システムへ書き込むこと、Excelへ結果を出すことは、それぞれ異なる操作だからだ。
この経理業務は製品の利用イメージとして示された例であり、特定の会計システムとの動作実績を示すものではない。また、発表が説明しているのは生成したシナリオを画面で確認できる点までだ。確認を必須にする設定や、複数人による承認、例外が起きた際の扱いといった運用上の細部を、この構想から決めつけることはできない。
AIとRPAの分担には意味がある。業務を頼む言葉は人によって揺れがあり、その意図を手順に変える部分をAIが担う。一方、作った手順に沿う反復的なパソコン操作にはRPAを使う。利用者にとっての変化は、実行技術が新しくなること以上に、自動化したい業務を伝えて手順を作る入口がチャットになる点にある。
WinActorとの違いは「AIの有無」ではない
WinActorは現在提供されているRPA製品で、既にシナリオ作成を助ける機能を備える。WinActorの機能案内には、パソコン操作の自動記録、シナリオ作成ガイド、生成AIを使ったシナリオのひな形作成が掲載されている。そのため、既存製品ではAIを使えず、AiActorで初めてAIによる手順作成が可能になる、と区切るのは正確ではない。
既存のひな形作成では、対話で生成したシナリオを実行環境に合わせて設定する必要があると案内されている。AiActorが打ち出すのは、日常のパソコン業務を自然な言葉で依頼し、生成された処理を画面で確認して自動化につなげる製品の構想だ。似た言葉で説明されるAI支援機能でも、現在使える機能の範囲と、開発中の製品が目指す利用体験は同一ではない。
NTT-ATは、WinActorを業務プロセス全体の改善や自動化を支える製品、AiActorを一人ひとりの日常業務の効率化に着目した製品と位置付ける。AiActorはWinActorの自動化技術を活用するが、WinActorの別名として発表されたものではない。既存のWinActor契約にAiActorが含まれるかどうかも、今回の発表だけでは判断できない。
この違いは、利用開始時期を考える際にも重要だ。いま利用できるWinActorのシナリオ作成支援を試すことと、AiActorが掲げるチャットからの一連の業務自動化を導入することは、別の選択になる。前者の機能案内を見て、後者も既に提供されていると受け取ることはできない。
参考出展で見られるもの、提供を待つもの
AiActorの予定には、製品化着手、参考出展、提供開始の目標という異なる段階がある。今回の発表で確定したのは開発に着手したことと、展示会で構想を紹介する予定だ。春の提供開始は目標であり、発売日や申し込み開始日として確定した日付ではない。
- 発表:NTT-ATが製品化着手と、AIによるシナリオ生成、画面での確認、WinActorの技術による実行という構想を示した。
- 参考出展:幕張メッセで、自然な言葉による業務依頼の体験や、日常のパソコン業務を自動化する利用イメージを紹介する予定。
- 提供開始の目標:開発を進めたうえで、製品として利用できるようにする時期を春に設定している。
NTT-ATは、製品リリース時の仕様が展示内容と異なる場合があるとしている。展示で目にする画面や操作は、開発中の考え方を伝えるものだ。会場ではチャットによる依頼やシナリオ作成から実行までのつながりに注目できるが、そこで紹介される体験を、そのまま提供版の機能や対応範囲とみなすことはできない。
同社は来場者やパートナーからの意見を今後の開発に生かす方針を示し、製品を支える中核技術については特許を出願中としている。利用料金、提供条件、対応する業務や既存のWinActor環境との組み合わせ方は、製品版を検討する段階で必要になる情報だ。次に明らかになる展示での利用イメージを経て、提供版の仕様がどこまで具体化するかが焦点となる。
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