
AWS ActivateかGoogle Cloudか、最大額より先に応募条件を見る

自己資金で運営する日本のスタートアップなら、AWS Activate FoundersとGoogle for Startups Cloud ProgramのStartが候補になる。投資を受けた後は、AWSではActivateプロバイダーのOrg IDを使うPortfolio、Google Cloudでは適格な調達を条件とするScaleを検討する。AWS Activateの応募条件では、Foundersは最大5,000米ドル、Portfolioは最大20万米ドルと案内されている。
Google CloudのStart・Scaleの条件では、Startは最大2,000米ドル、Scaleは通常最大20万米ドル、AI企業向けは最大35万米ドル。ただし、Startは設立から24カ月以内、Scaleは設立から5年以内などの条件がある。Scaleの2年目は対象利用額の20%を充当する仕組みで、表示された最大額をそのまま受給予定額として扱うと費用計画がずれる。
応募の入口は資金調達の有無だけでは決まらない
AWS Activateに共通する条件は、シリーズB前であること、設立から10年以内であること、会社のウェブサイトまたはプロフィールと、有料利用枠のAWSアカウントを持つことだ。そのうえでFoundersは自己資金で運営する初期企業向け、PortfolioはActivateプロバイダーに関連付けられ、Org IDを持つ企業向けに分かれる。VCから調達していても、その出資元との関係だけでPortfolioの応募経路が成立するわけではない。
Google Startは、動くMVPと明確な事業モデルがあり、今後VCからの調達を計画する技術系スタートアップを想定している。Scaleは、プレシード・シードの調達から5年以内、またはシリーズAの調達から12カ月以内の企業を対象に設計されている。適格な投資には機関投資家やVCによる株式投資、SAFEなどが含まれる一方、エンジェル投資、友人・家族からの資金、クラウドファンディングはScaleの適格な調達には含まれない。調達ラウンドの呼び名だけでなく、資金の出し手と契約の種類が判定を左右する。
自己資金・シード・シリーズA・AI企業の判定
次の整理は各枠の公表条件を段階別に当てはめたものだ。金額はいずれも上限で、応募資格を満たしても満額の付与を保証するものではない。特に設立日、最後の調達日、過去のクレジット受領額が異なれば、同じ段階の企業でも候補は変わる。
- 自己資金:AWS Foundersが基本的な候補になる。Google Startも、設立から24カ月以内で、MVP、事業モデル、今後のVC調達計画などの条件を満たせば候補になる。自己資金であることだけを根拠に、両方の付与を見込むことはできない。
- シード調達後:Google Scaleでは、適格な投資の種類と調達時期、設立年数を確認する。AWS PortfolioではActivateプロバイダーとの関係とOrg IDが必要だ。両社の大きな枠は、シードという名称だけで選べるものではない。
- シリーズA調達後:Google Scaleでは調達から12カ月以内かが焦点になる。AWS PortfolioではシリーズB前という共通条件に加え、プロバイダー経由で申請できるかを確認する。調達から時間がたっている企業ほど、現在の段階より日付の確認が重要になる。
- AI企業:Googleの最大35万米ドルはAI企業向けScaleの条件を満たす場合の上限だ。AWS Activateの通常のPortfolio枠は最大20万米ドルで、Amazon Bedrock上の第三者モデルにもクレジットを使える。AIを利用しているという事実だけで増額枠が決まるわけではない。
表示上限と、実際に追加される額を分ける
Foundersの最大額を初回付与額として予算に入れるのは早い。AWSの申請ガイドは、Foundersの付与額を1,000米ドルとし、一部の企業は後に最大5,000米ドルまで対象になり得ると説明している。同ガイドでは、Portfolioについて直近の調達が該当する場合は過去12カ月以内という条件も示す。AWSの日本語応募ページは共通条件を「会社のウェブサイトまたは会社プロフィール」とする一方、このガイドは機能する会社サイトを求めており、申請時の入力要件まで見ておきたい。
AWS Activateで以前にクレジットを受け取った企業も、より高額な枠に応募できる場合がある。ただし追加分は、新たな承認総額から既受領額を差し引いた額になる。たとえば、すでに1万米ドルを受け取り、累計10万米ドルのオファーが承認された場合、追加額は9万米ドルだ。別のプロバイダーからOrg IDを得た場合などは同じ扱いを前提にせず、そのオファーの条件を確認する必要がある。
Google Startは無料トライアルを除くGoogle Cloudクレジットをまだ受け取っていないこと、Scaleは既受領額が5,000米ドル以下であることを条件とする。AWSとGoogle Cloudのクレジットは別々に数え、各社について過去の受領額と今回の付与見込みを分ければ、最大額を二重に資金計画へ算入せずに済む。
同じAI費用でも、クレジットの対象は異なる
AWS Activateはインフラやデータサービスに加え、Amazon Bedrock上で使う第三者モデルの料金にも適用できる。ただしAWSの販促クレジット規約では、原則としてAWS Marketplace、Route 53のドメイン登録・移管、Savings Plansやリザーブドインスタンスの前払い料金、一部のサポート料金などを対象外としている。AWSの請求に現れる支出を、すべてActivateクレジットで相殺できるわけではない。
GoogleのプログラムクレジットはGoogle Cloud Platformのサービスと一部のGoogle Cloud提供サービスに適用され、GeminiやGemmaなどGoogleのモデルも対象に含む。一方、第三者モデルの料金は直接請求され、プログラムクレジットの対象外だ。Google Workspaceの特典や、別途申請が必要なGoogle Maps Platformの特典も、Cloudクレジット本体とは分けて考える必要がある。AI企業では、使うモデルの提供元と請求方法が、表示上限の差と同じくらい自己負担に影響する。
失効日と2年目の請求額を並べる
Google Startのクレジットは1年間有効だ。Scaleの通常枠は、1年目に対象利用額の100%を最大10万米ドルまで、2年目に対象利用額の20%を追加で最大10万米ドルまで充当する。AI企業向けScaleでは1年目の上限が最大25万米ドルになる。したがって通常のScale枠で2年目の対象利用額が10万米ドルという仮定なら、充当額は2万米ドル、残る8万米ドルは自己負担となる。追加上限の10万米ドルを使い切るには、同じ充当率のもとで2年目に50万米ドルの対象利用額が必要だ。
AWS Activateの有効期限は付与されたパッケージによって異なり、承認後は請求管理画面で残高と失効日を確認できる。対象サービスの利用が続けば、残高を使い切った後や期限を過ぎた後は通常料金が発生する。クレジットは過去の請求にさかのぼって適用されず、未使用分を現金として受け取ることもできない。失効直前に使える額と、失効後も続く利用額は別の数字だ。
応募前の比較表には、設立日、調達元と調達日、AWSのOrg ID、両社それぞれの既受領額、対象サービスと対象外サービス、付与額と失効日を並べる。さらに月別の対象利用額を入れ、Google Scaleなら2年目の充当率を反映し、AWSなら残高が尽きる月以降の通常料金を置く。この計算で応募できる枠と支払い続けられる構成を照らし合わせると、最大額だけでは見えない選択の差が明らかになる。
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