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Boston Scientificで世界的な業務障害、製造と出荷にも影響

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます| 31
Boston Scientificで世界的な業務障害、製造と出荷にも影響

Boston Scientificが2026年8月25日に検知したサイバーインシデントにより、一部のITシステムが停止し、世界規模で業務に障害が発生している。8月28日の更新時点でも製品の製造、顧客注文の処理、出荷が影響を受けており、MedTech Diveの8月28日付報道 もネットワーク障害と製造・出荷機能の停止が続いていると伝えた。

患者向け機能への影響は一様ではない。Boston Scientificの8月28日更新 では、新規の心臓植込み型リズム管理機器で遠隔監視を開始するための接続に制限がある一方、既存機器の作動や、障害前から遠隔監視されていた機器のデータ送信・閲覧には既知の影響がないとしている。全面復旧の時期は示されていない。

製造、受注処理、出荷の各段階に影響

障害は社内の一般的な通信だけでなく、製品を製造する工程、注文を業務システムで処理する工程、顧客へ出荷する工程に及んでいる。医療機関や流通事業者にとっては、在庫の有無だけでなく、その在庫を注文に割り当てて発送できるかどうかも供給時期を左右する。

注文の入口は完全には閉じていない。電子データ交換(EDI)やGlobal Healthcare Exchange(GHX)経由の注文は受け付けられ、将来の処理に備えて待機列に保持される。ただし、同社は現時点で顧客注文を処理、出荷できないとしており、注文を送信できたことは納期や発送の確定を意味しない。

同社は、顧客と製品供給への影響が大きいシステムを優先して復旧させ、基幹業務システムの回復に進展があるとしている。しかし、製品群や地域ごとの遅延幅、通常の製造・出荷能力へ戻る日程は公表していない。世界的な障害であることは確認されているが、すべての国、拠点、製品が同じ程度の影響を受けているとは限らない。

医療機関は注文受付と供給確定を分けて確認

Boston Scientific製品の電子注文が受け付けられる一方、処理と出荷の確定を待つ医療機関の調達業務

日本を含む各市場の医療機関や取引先にとって直接の問題は、発注経路が残っていても、社内処理と出荷が再開するまで供給時期を確定できない可能性があることだ。予定された処置で使用する製品について、注文の受領記録だけでは発送済みかどうかを判断できない。

通常の営業担当者、電子メール、既存のデジタル連絡経路は引き続き利用できる。個々の注文については、製品名、注文番号、地域在庫、処理状況、発送状況を分けて確認する必要がある。

同社は、特定製品の欠品、日本向け出荷の全面停止、特定の医療行為を中止すべきとの判断を公表していない。確認されているのは、製造と注文処理・出荷を支える業務システムへのアクセス障害であり、全製品が一律に入手不能になったという情報ではない。

新規の遠隔監視開始には明確な制限

新規CRM機器の遠隔監視開始ができない一方、医療機関での対面照会は利用できる状態

患者サービスで具体的な影響が確認されているのは、心臓植込み型リズム管理(CRM)機器の新規遠隔監視アクティベーションだ。植込み型心臓モニター(ICM)以外の新規植込みでは、遠隔監視用コミュニケーターを新たに有効化できない。このため、有効化が可能になるまで、利用可能な機器データは遠隔患者管理システムへ送信されない。

新たに植え込んだICMは、エピソードを適切に記録できるようBoston Scientific Clinic Assistantアプリで有効化する必要がある。有効化後も患者の遠隔監視用スマートフォンとは新規にペアリングできず、記録されたデータは接続が可能になるまで遠隔監視システムへ自動送信されない。

ICMが記録したエピソードは、医療機関でClinic Assistantアプリを用いて対面照会すれば遠隔監視システムへ送信できる。システム復旧後に家庭用監視機器との接続が成立すると、保存されていたデータが送信される見通しだが、復旧時期は未定である。

既存機器の作動と従来の監視には既知の影響なし

新規接続の障害と、すでに患者の体内で動作している機器への影響は分けて考える必要がある。これまでの調査では、障害前から遠隔監視されていたCRM機器について、植込み機器そのものの機能、データ送信、医療従事者による遠隔患者管理データへのアクセスに既知の影響は確認されていない。医療機関でプログラマーを使って機器を照会する操作も影響を受けていない。

Boston Scientificのネットワークに接続されていない機器と、それを医療従事者が使用する能力にも既知の影響はない。同社は、影響を受けたネットワーク環境が同社製品を介して病院ネットワークのサイバーセキュリティリスクを高めた証拠や、CRM遠隔監視システムから電子カルテへデータを転送する際の問題も確認されていないとしている。

ただし、これは進行中の調査で得られた評価であり、全製品について最終的な確認が完了したことを意味しない。同社は、患者の植込み機器やネットワークに接続する製品群への潜在的な影響を引き続き調べている。

全面復旧の時期と攻撃の全容は未確定

Boston ScientificのForm 8-K は、事案が世界的な業務障害を引き起こし、注文処理と出荷を支える情報システムへのアクセスを制限していると開示した。事案の全範囲と性質、運用・財務への影響はまだ判明しておらず、会社に重大な影響を及ぼす合理的な可能性があるかどうかも判断されていない。

公開情報では、攻撃の手法、侵入経路、攻撃者、ランサムウェアとの関係、データが持ち出されたかどうかは確定していない。外部のサイバーセキュリティ専門家が脅威の評価、封じ込め、復旧を支援しているものの、部分的な機能回復と全面復旧は区別する必要がある。

8月28日の更新時点で、製造、受注処理、出荷、新規遠隔監視の開始には確認済みの影響がある。一方、既存のCRM植込み機器の作動と障害前から稼働していた遠隔監視には既知の影響がない。今後の焦点は、基幹業務システムと出荷機能の復旧時期、新規遠隔監視の再開、製品・地域別の供給状況、調査で判明する事案の範囲となる。

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