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AWSのAI推論をQualcommが支援、光接続は1.6Tbpsへ

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます| 1
AWSのAI推論をQualcommが支援、光接続は1.6Tbpsへ

Qualcomm TechnologiesとAmazonは2026年9月8日、AWSの大規模AI推論向けカスタムシリコンと、Amazonのデータセンターネットワークで使う最大1.6Tbpsの光接続技術を複数世代にわたり共同開発すると発表した。Qualcommの発表 は、光接続に同社のSerDesと光DSPを活用することも明記している。

これは完成済みのAIチップをAWSが単発で購入する契約ではなく、演算と接続を一体で設計する長期協業だ。9月8日付の ITmedia NEWSの報道 も、AI推論用シリコン、毎秒1.6テラビットの光接続、複数世代の協業という範囲を確認している。一方、製品名、導入時期、対象となるAWSサービス、性能値は示されていない。

推論用シリコンをAWSの要件に合わせて共同設計

AWSの大規模AI推論向けカスタムシリコンを検証する共同開発環境

演算側の中心は、大規模AIデータセンターで推論を処理するためのカスタムシリコンである。推論は学習済みモデルから回答や予測を生成する処理で、同じ基盤上で継続的に実行される。チップ単体の計算能力だけでなく、電力消費、メモリーとのデータ移動、サーバー全体の構成が運用効率を左右する。

Qualcomm Technologiesは電力効率を重視した処理技術、シリコン設計、システム統合の知見を提供し、AmazonとAWS向け仕様を詰める。ただし、現時点の公表内容は共同開発の合意であり、完成品の発売やクラウドサービスとしての提供開始ではない。既存のAWS独自チップを置き換えるのか、補完するのかも不明だ。

「複数世代」は、最初の設計だけでなく後継ソリューションも協業対象にする方針を示す。各世代の採用や発売を確約した工程表とは異なるものの、単発の部品供給より深い関係を想定した契約であることは読み取れる。

SerDesと光DSPで最大1.6Tbpsを目指す

AIサーバーラック間を結ぶSerDes・光DSP基盤と最大1.6Tbpsの光接続検証

接続側では、Qualcomm TechnologiesのSerDesと光DSPを利用し、Amazonのデータセンター内で高帯域の相互接続を構築する。SerDesはチップ内外の並列データと高速な直列信号を変換し、光DSPは光通信の送受信信号を処理する技術だ。

タイトルにある1.6Tbpsは、この光接続ソリューションが対応を目指す最大帯域であり、推論用チップの演算性能ではない。大規模な推論システムでは、サーバーやラック間でモデルの重み、入力、処理途中のデータを移動する。接続帯域が不足すると演算器がデータ待ちになるため、演算用シリコンとネットワークを同じ協業に含めることにはシステム全体の効率を高める狙いがある。

もっとも、1.6Tbpsをどの単位の接続で実現するのか、通信距離、消費電力、光モジュールの方式、量産時期は公表されていない。「最大」という条件もあるため、すべてのAWSサービスや接続で一律に利用できる帯域ではない。

ワラントは最大2500万株、購入条件に連動

Amazonの発注・購入実績に連動して権利確定するQualcomm株ワラントの契約構造

協業には、Amazonの関連会社がQualcomm株を取得できるワラントも組み込まれた。QualcommのSEC提出書類 によると、ワラントは2026年9月3日に発行され、最大2500万株を1株161.26ドルで取得できる。全株を同価格で行使した場合の行使額は単純計算で約40.3億ドルとなり、有効期限は2036年9月3日だ。

Amazonがすでに約40億ドルを出資したという意味ではない。権利は、Qualcomm Technologiesのサーバー向けチップ、技術、システム、製造サービスを巡る商業契約、拘束力のある発注、実際の購入に応じて段階的に確定する。権利確定の条件となる支払い額は最大600億ドルだが、これはAmazonが600億ドルの購入を確約したとの記載ではない。

発行時には、初期の購入コミットメントに基づいて375万株分の権利が確定した。未行使のワラントには議決権など通常の株主権がないため、Amazonによる即時の持ち分取得やQualcomm買収を意味する契約でもない。長期の取引実績と株式取得の機会を連動させた仕組みとみるのが正確だ。

AWS利用企業への効果はまだ数値化できない

AWS利用企業にとっての意味は、推論処理とデータセンター内接続を一体で最適化した基盤が、将来の選択肢に加わる可能性にある。製品化されれば、AWSはワークロードに合わせて演算能力、データ移動、電力効率をシステム規模で調整しやすくなる。

ただし、利用者が直ちに推論料金の低下、レイテンシーの改善、新しいインスタンスの提供を期待できる段階ではない。料金表、サービスレベル、ベンチマーク、対応リージョンはいずれも示されておらず、日本で利用できるかどうかも決まっていない。両社が掲げる性能、効率、費用対効果の向上は開発目標であり、確認済みの顧客成果ではない。

次の焦点は製品名、導入時期、実測性能

現時点で確定しているのは、AWSのAI推論を対象とするカスタムシリコン、SerDesと光DSPを使う最大1.6Tbpsの光接続、複数世代の共同開発、購入条件に連動するワラントである。チップだけでなく、データセンター内の接続と長期の商業条件まで一つの協業に束ねた点が特徴だ。

今後の焦点は、シリコンの正式名称と構成、試作・量産・AWS導入の時期、対象サービスと地域、推論性能、消費電力、価格である。光接続についても、実装方式と採用範囲が示されて初めて利用者への効果を評価できる。今回明らかになったのは共同開発の枠組みであり、利用可能なAWS製品の発表にはまだ至っていない。

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