AI・デジタル改革推進会議が始動、年末までにAX原則を策定へ

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
AI・デジタル改革推進会議が始動、年末までにAX原則を策定へ

政府は2026年10月22日のAI・デジタル改革推進会議の初会合を首相官邸で開き、関係閣僚と有識者が年末までに規制・制度改革の指針をまとめる方針を確認した。人口減少が進む中で、AIの活用と公共サービスの維持を省庁横断で考える会議が動き出した。

古川俊治AI・デジタル改革推進担当大臣の論点案と工程表は、AXの具体像、規制・制度改革の原則、社会実装の行動計画を2026年末の中間整理に盛り込み、残る論点を具体化して2027年6月ごろに改革全体を取りまとめる想定を示す。資料にある「人とAIのベストミックス」は検討の方向であり、職種ごとの権限や雇用条件を決めたものではない。

年末の中間整理で何を示すのか

中間整理の柱は、AIを前提に行政や産業の姿を描くこと、その実現を妨げる制度を見直す原則を定めること、現場への導入を早める行動計画を作ることだ。会議が扱うAXは、個々の作業を効率化するだけでなく、人手が減ってもサービスを提供できるよう業務や組織を組み替える構想として位置付けられている。

改革原則の案は、人の行為や書面の介在を求める手続を点検する一方、重要な判断への人の関与や継続的な監視も挙げる。AIが申請や契約に関わる場合には、誰の権限で動いたかを確かめ、その行動を後から追える仕組みが必要になる。原則は分野をまたぐ判断の土台であり、個別の資格業務をAIに認める範囲は、その後の制度検討で詰めることになる。

行動計画では、人手不足が深刻な分野への短期的な導入策が焦点となる。AIの利用を広げる施策と、現場で使うデータ、運用を担う人材、安全性の評価をどう整えるかはつながっている。会議は制度の見直しと社会実装を同じ工程で進める方針だが、各分野で実施する施策の内容は年末の整理を待つ必要がある。

「人とAIのベストミックス」は職場の何を変え得るか

歩道上の歩行型ロボットと歩行者。人とAIの役割や実証のルールが検討されている。

職場に直結する論点は、AIに任せる作業の範囲よりも、判断と責任をどう分けるかにある。会議では、AIの自律度や業務のリスクに応じた人の関与、AIを用いた行為で問題が生じた際の責任分担と救済を検討する。企業の業務設計に置き換えれば、提案を誰が確認し、実行を誰が承認し、結果をどう記録するかという問題になる。

規制改革担当大臣の提出資料によれば、2026年8月にはAI法務支援サービスと弁護士法第72条の関係を整理する法務省の指針と、歩行型ロボットの歩道実証に関する警察庁の通達が出た。一方、住民検診の画像読影について、医師2名以上による運用を医師1名でも可能にする案は検討中だ。会議には、すでに対応が進む事項と、これから結論を出す事項が並んでいる。

法務支援サービスの論点は、資格を持つ人が担ってきた業務とAIサービスの境界をどこに引くかに関わる。歩行型ロボットでは、公道でデータを集める実証の条件が課題になる。画像読影では、医師の負担を減らしつつ精度を保てるかが見直しの前提だ。同じ「AI活用」でも、必要な安全確認と制度上の判断は分野ごとに異なる。

現時点で、労働者の職務や資格要件を一律に変更する決定は示されていない。ただし、人が必ず行うべき判断を明確にする議論は、将来、確認や承認を担う職務の設計に及び得る。企業にとっても、AIの導入台数や利用者数だけでなく、業務のどの段階で人が責任を負うかが制度との接点になる。

人手不足の分野から社会実装を進める

介護施設で利用者を支える職員。人手不足分野へのAI導入策が検討されている。

短期の行動計画で重視されるのは、医療・介護、運輸、建設など、担い手不足がサービスの提供に響く分野だ。構想では、分野ごとの業務と現場データに合うAIを使い、仕事の進め方も見直す。共通の製品を一斉に導入する計画ではなく、現場ごとの課題から利用方法を組み立てる方向が示されている。

そのためには、現場の経験や記録をAIの改良に使える条件と、機微情報を守る方法の両方が要る。医療・介護の記録、運輸の運行情報、建設の作業情報では、扱うデータも責任の所在も違う。資料は、分野別の戦略と短期の加速策を連動させ、実証から継続的な運用へ進める道筋を検討課題としている。

行政と自治体も対象に含まれる。政府内では、申請などの手続、行政データ、情報システムを一体で見直し、自治体のサービス提供能力を支えることが論点となる。ガバメントAI「源内」の実証や自治体への展開、専門人材による支援も検討項目に挙がるが、住民向けサービスの変更時期や対象自治体が決まった段階ではない。

年明け以降に残る制度と安全対策

AIの利用を広げる一方で、会議は予期しない動作や悪用への備えも扱う。AIエージェントが提案にとどまらず行動する場合、本人確認、権限管理、許容範囲の設定、安全性の評価、行動記録を組み合わせて考える必要がある。AIモデルだけでなく、利用する仕組み全体で安全性を確保するという方向だ。

AI法を含む関連制度の見直しも論点だが、改正内容はまだ定まっていない。年末の中間整理では、まず改革原則が人の関与とAIの利用をどう位置付けるか、行動計画が人手不足の現場にどの施策を示すかが明らかになる見通しだ。年明け以降は、その方針を各分野の制度や業務ルールにどう落とし込むかが焦点となる。

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