
RelAiが自治体窓口へ、回答は根拠文書と一緒に表示

NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)は2026年10月14日の発表で、自治体職員向けの生成AIサービス「RelAi 窓口アシスタント」を15日から提供すると明らかにした。住民と職員の会話をリアルタイムで文字起こし・要約し、庁内資料に基づく回答候補と根拠文書の該当箇所を職員に示す。
葛飾区で実施した窓口AIの実証で得た知見を基に商品化したサービスで、住民への案内を担うのは引き続き職員だ。窓口で聞き取った内容から回答の根拠にたどり着くまでを支援し、職員が候補を確かめられるようにする。提供価格は個別の問い合わせで案内される。
会話を文字にし、回答候補へつなぐ

相談の入口では、住民と職員の発話を音声認識で文字にする。会話の要約は、職員が相談内容を最初から入力し直す手間を減らし、庁内資料を使った回答生成につなぐためのものだ。利用端末はパソコン、スマートフォン、タブレットに対応する。
公表された機能を窓口の流れに沿って並べると、AIが担う処理と職員に残る判断が見えやすい。
- 住民と職員の会話を取り込み、発話を文字起こしして相談内容を要約する。
- 要約された内容を手掛かりに、庁内のマニュアル、FAQ、条例などから回答候補を作る。
- 回答候補と根拠文書の該当箇所を表示する。職員は相談者の条件に照らして内容を確認する。
- 対応後は会話の要約を応対記録に生かし、必要な確認や引き継ぎを記録する。
マイナビニュースTECH+の製品報道によると、高指向性小型マイクロフォン「FR-1200」を収音機器として使う場合は、住民と職員の発話を分けて認識できる。文字起こしした氏名や住所などの個人情報は、表示時に自動でマスキングされる。会話の翻訳機能も備え、外国人住民とのやり取りを支援する。
発話者を分けても、音声認識が聞き違えた語や、要約で落ちた条件まで確定できるわけではない。手続きの種類、対象者、期限などを左右する発言が曖昧なら、職員が住民に聞き直してから回答候補を扱う必要がある。翻訳を使った相談でも、制度上の条件に関わる表現は原意を確認しておきたい。
根拠の該当箇所をどう確かめるか

回答候補には参照した文書だけでなく、その該当箇所が強調表示される。職員は候補の文章から庁内の規定や手順へ戻り、案内の理由を確認できる。経験の浅い職員にとっても、関連資料を探し始める場所が明確になる仕組みだ。
確認の中心は、表示された箇所が目の前の相談に適用されるかどうかにある。例えばFAQが一般的な手続きを説明していても、条例には対象者や適用日の条件が定められている場合がある。職員は回答候補と根拠箇所の条件が一致するか、参照資料が現行の運用に対応するかを見てから案内を確定する。
根拠が見つからない、複数の資料で扱いが分かれる、個別事情が定型の回答に収まらないといった場面では、候補を保留し、所管部署や責任者に確認する運用が必要になる。これは製品が自動で結論を決める機能ではなく、自治体が窓口での判断経路として定める部分だ。住民に追加確認が必要な点を伝え、誰に引き継いだかを残せば、回答の確定前後を区別できる。
応対記録と職員への支援も対象に
会話の利用は、その場の回答提示で終わらない。要約から応対記録を作成する機能があり、記録した内容はFAQの拡充や業務知識の蓄積にも活用できる。既存資料に載っていない質問が繰り返されるなら、回答の根拠となる文書を整える材料になる。
ただし、要約された記録には、案内を確定した内容と確認を保留した内容が混ざり得る。担当職員が実際の応対と照合し、所管部署への照会や引き継ぎを行った場合はその経過が分かる形で確定することが重要だ。個人の事情を含む相談記録と、一般化してFAQへ反映できる質問も分けて扱う必要がある。
AI Watchの機能紹介では、職員がスマートフォンのボタンを押すと、カスタマーハラスメントの可能性を管理者に通知する機能も説明されている。管理者は会話記録から状況や来訪者の要求を把握し、職員への支援を判断できる。通知の起点は職員の操作であり、会話をAIが自動判定して行為を認定する仕組みとして説明されているわけではない。
自治体ごとの資料整備が回答を左右する

根拠を表示する仕組みは、検索対象となる庁内資料の状態に左右される。古い手順書と改正後の条例が混在していれば、候補に出た箇所を職員が見られても、どちらを適用するか迷う。導入前には資料の量を増やすだけでなく、現行版、適用範囲、更新の担当を整理することが欠かせない。
- FAQ:よくある質問への回答と、個別判断に回す条件を分ける。
- 条例・規則:現行版と旧版を区別し、改正の適用日を追えるようにする。
- 業務マニュアル:対象手続き、担当部署、例外時の照会先を明確にする。
- 更新手順:制度変更後に誰が文書を直し、回答への反映を確かめるか決める。
- 確認経路:資料が見つからない場合や内容が食い違う場合の引き継ぎ先を定める。
サービスは自治体ごとに専用環境を構築し、入力データをAIの学習に利用しない環境で提供する設計だ。LGWANなどの閉域網への接続にも対応する。導入時には、対象業務の選定から文書の加工・調整まで提供側の専門家が支援し、運用開始後も文書の追加・更新や回答品質の改善に対応する。
一方、どの資料を正式な根拠とするか、会話記録を誰が閲覧し、いつまで保存するかは、自治体の業務と情報管理に即して決める必要がある。窓口での効果を左右するのは、回答候補が出る速さだけではない。職員が誤りや条件違いを見つけたとき、案内を保留し、資料の修正へつなげられるかが実務上の焦点になる。
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