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RIZAP社員が私用AIへ健康情報を入力、閲覧可能性は確認中

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます| 22
RIZAP社員が私用AIへ健康情報を入力、閲覧可能性は確認中

RIZAP株式会社は2026年9月3日、健康経営・保険者事業部の社員が、会社で業務利用を許可されていない個人利用の外部生成AIサービスへ、顧客の個人情報と要配慮個人情報を誤ってアップロードしたと公表した。RIZAPの9月3日付発表 によると、ファイルはアップロードから24時間以内に削除され、会社は生成AIの学習に利用された可能性はないと判断している。

ただし、RIZAPが9月3日に公表した事案には未確認の点が残る。ITmedia NEWSの9月4日報道 は、サービス運営事業者の役職員などが情報を閲覧できる状態だった可能性について、RIZAPが確認を続けていると伝えた。学習利用がなかったという会社判断と、運営側からの閲覧可能性が未確定であることは、分けて捉える必要がある。

氏名、保険証情報、疾患情報を含むファイル

誤アップロードは、特定保健指導管理システムに関するデータの集計作業中に起きた。対象は、2026年1月1日から8月19日までに同システムへ登録された特定保健指導対象者データの一部で、全体の対象人数は公表されていない。

ファイルには、保険証記号番号、メールアドレス、氏名、生年月日、性別のほか、一部対象者の住所と電話番号が含まれていた。さらに、積極的支援、動機付け支援、重症化予防のいずれかを示す支援形態と、高血圧症、糖尿病、脂質異常症のいずれか、または複数に該当する人の疾患情報も入っていた。本人を識別できる情報と健康状態が同じデータに含まれており、匿名の集計値だけが送られた事案ではない。

委託元の一つである IHIグループ健康保険組合の9月2日付通知 は、同組合で漏えいの可能性がある対象者を、2024年度から2026年度にRIZAPの特定保健指導を利用した210人とし、社員の自己申告で判明して8月24日にRIZAPから報告を受けたとしている。この210人は同組合に関する人数であり、RIZAPが扱う全委託元を合算した対象人数ではない。また、同組合は運営事業者をOpenAIと明記しているが、RIZAPの発表は事業者名を公表していない。

「削除済み」「学習なし」「閲覧確認中」は別の状態

RIZAPの健康情報ファイルについて、削除済み、学習利用なし、運営側の閲覧可能性確認中を分けて確認する状況

事案の発見直後、作業者は該当するチャット履歴を削除し、学習データへの利用を停止する設定を行った。RIZAPが運営事業者へ照会したところ、個人を特定できる情報を含むファイルは、会話データの学習利用を許可する設定でも自動的にモデルのトレーニングへ使われず、アップロード後24時間以内に削除されたファイルもトレーニングには使われないとの回答を得たという。

RIZAPは、この回答と24時間以内の削除を根拠に、顧客情報がモデル学習へ利用された可能性はなく、第三者が同サービスで関連する質問をしても、当該情報が回答として出力される可能性はないと判断した。サービス運営事業者以外の第三者に閲覧された可能性もないとしている。いずれも、運営事業者への照会結果を踏まえた会社の判断であり、外部監査の結果として示されたものではない。

一方、学習に使われなかったことは、削除まで誰も閲覧できなかったことを意味しない。RIZAPが確認しているのは、運営事業者の役職員などにファイルを閲覧する権限があり得たかという点だ。実際に閲覧されたとの発表はなく、閲覧できなかったとの最終確認もまだ示されていない。

五つの処理を分けると残存リスクが見える

今回の事案は「生成AIへの入力」だけで一括りにすると、確認済みの事実と未確認事項の境界が曖昧になる。公表内容は、少なくとも五つの処理に分けて整理できる。

  • 入力・送信:顧客情報を含むファイルが、社員個人の外部生成AIサービスへアップロードされたことは確認されている。
  • 保存・削除:ファイルは24時間以内に削除された。削除までの保存場所、複製の有無、バックアップを含む削除範囲などの技術的詳細は公表されていない。
  • モデル学習:運営事業者の回答と削除時期を踏まえ、RIZAPは学習利用の可能性はないと判断している。
  • 運営側の閲覧:運営事業者の役職員などが閲覧可能な状態だったかは確認中で、結論が出ていない。
  • 第三者への出力:学習に使われていないとの判断から、関連する質問への回答として情報が出力される可能性はないとRIZAPはみている。

この整理では、不特定の利用者への再出力と、サービス運営に携わる人による保存データへのアクセスは別の経路になる。前者についてRIZAPは可能性を否定しているが、後者は未確定だ。「削除済み」や「学習なし」だけでは、閲覧権限と実際のアクセスの有無までは確定しない。

行政報告と再発防止策を進める

RIZAPの生成AI誤アップロードを受け、未許可AIの制限と要配慮情報の持ち出し防止を点検する状況

RIZAPは個人情報保護委員会への報告を完了した。対象者への連絡は、データ提供元である各団体・企業と調整したうえで、RIZAPまたは提供元から順次行っている。運営事業者側の閲覧可能性を確認でき次第、対象となる取引先と顧客へ個別に案内する方針も示した。

再発防止策では、社内で許諾していない生成AIサービスの業務利用禁止を全社へ改めて周知し、個人情報保護と生成AIの適切な利用に関する教育を続ける。技術面では、アクセス権限と利用環境を点検・見直し、不正なデータ持ち出しや未許可の外部サービス利用による漏えいを防ぐ管理体制を整備するとしている。情報セキュリティマネジメントシステムに加え、AIマネジメントシステムの導入も検討する。

今回の再発防止策で重要になるのは、禁止ルールの再周知だけでなく、未許可サービスへの接続や要配慮個人情報を含むファイルの送信をどこまで技術的に制限できるかである。許可済みAIの範囲、入力できるデータの区分、利用記録と監査ログの保存方法が具体化されれば、個人利用の外部AIが業務に入り込むシャドーAIへの対策も検証しやすくなる。ただし、これらの詳細な設計や導入時期は今回の発表では示されていない。

残る確認点は閲覧権限とアクセス記録

次に確認が必要なのは、運営事業者のどの役割にアップロード済みファイルへのアクセス権限があり、対象データへの実際のアクセス記録が残っているかだ。権限上は閲覧可能だったのか、監査ログ上で実際の閲覧が確認されたのかは異なる。削除がサービスの表示上だけでなく、保管領域や複製データを含めてどこまで完了したのかも、公開情報からは判断できない。

公表時点で確認されているのは、個人情報と疾患情報を含むファイルが未許可の外部生成AIへ送信され、24時間以内に削除されたこと、そしてRIZAPが学習利用と第三者への出力の可能性を否定していることまでだ。運営事業者の役職員が閲覧可能な状態だったか、実際の閲覧があったか、全委託元を通じた対象人数は確定していない。今後の案内では、この三点の確認結果と対象者ごとの影響範囲が焦点になる。

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