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Qwen3.8-Flash-Next、毎秒73トークン―速いが出力は長め

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます| 3
Qwen3.8-Flash-Next、毎秒73トークン―速いが出力は長め

Qwen Teamは2026年8月26日、オープンウェイトのマルチモーダルMoEモデル「Qwen3.8-Flash-Next」の重みと技術説明を公開した。Qwen Teamの公式発表 は、同モデルを完成済みのQwen4ではなく、同系列で使う新アーキテクチャをコミュニティーへ先行公開するためのモデルと位置付けている。

Alibaba APIを使った第三者測定では、Artificial Analysisの比較データ が出力速度を毎秒73.4トークン、最初のトークンまでの時間を2.99秒としている。一方で評価時の出力は比較対象より長く、高い生成速度がそのまま短い完了時間や低料金を意味するわけではない。

Qwen4向け設計を先行公開、1トークン当たり60億を稼働

Qwen3.8-Flash-Nextが主モデルの一部を稼働させ、N-gram Embeddingを参照して長い文脈を処理する構成

Qwen3.8-Flash-Nextは、1250億パラメータの主モデルに510億パラメータのN-gram Embeddingを組み合わせ、推論時には1トークン当たり60億パラメータを有効化する。総パラメータ数を保ちながら、各トークンの行列計算に使う範囲を絞る構成だ。ただし、60億という値は稼働量を示すもので、モデル全体の保存容量が60億パラメータ相当になるという意味ではない。

AttentionにはGated DeltaNet(GDN)とQwen Sparse Attention(QSA)を併用する。4層のうち3層でGDNが履歴を固定サイズの状態へ圧縮し、残る層ではQSAが長い文脈から重要な部分をマイクロブロック単位で選ぶ。長い入力で増えやすいAttention計算とKVキャッシュへのアクセスを抑えつつ、必要な過去情報を検索する狙いがある。

ほかに、残差ストリームを4分岐へ広げるGated Residual、局所的な語の並びを参照するN-gram Embedding、Muon optimizerを導入した。大規模な埋め込み表はホストメモリーへ置き、モデル計算と並行して先読みできる設計になっている。これは計算効率を高める工夫だが、自己ホスト時には主モデルと埋め込み表を保持できるメモリー構成が別途必要になる。

毎秒73.4トークンでも、最初の応答には2.99秒

Alibaba API上のQwen3.8-Flash-Nextで、2.99秒の初動後に毎秒73.4トークンで生成が進む測定

毎秒トークン数と初回応答時間は、異なる待ち時間を測る指標だ。毎秒73.4トークンはストリーミングの最初の出力を受け取った後の生成速度であり、2.99秒はAPIへ要求を送ってから最初のトークンが届くまでの時間を指す。短い応答では初動の遅延が目立ち、長い応答になるほど、その後の高速な生成が効いてくる。

単純化して100トークンを生成する場合、生成部分は約1.36秒となり、2.99秒の初動を足すと約4.35秒かかる。1000トークンなら生成部分だけで約13.6秒となる。いずれも通信、入力処理、混雑、推論設定などを除いた概算であり、APIの実測値を自己ホスト環境の固定性能として扱うことはできない。

比較ページの73.4トークン毎秒と2.99秒は、測定スナップショットとして読む必要がある。Artificial Analysisのモデル概要ページでは、その後の集計値が74.8トークン毎秒、2.92秒へ更新されており、同じAlibaba APIでも集計時点によって小幅に変動している。選定時には単一の値より、代表的な時間帯における速度と遅延の分布を見る方が実態に近い。

知能指数56、出力量は比較中央値の約1.8倍

Qwen3.8-Flash-Nextの評価出力約2億トークンが比較中央値約1億1000万トークンを上回る結果

Artificial Analysisのモデル評価 では、Qwen3.8-Flash-Nextは同社のIntelligence Indexで56を記録し、同じ比較区分の中央値29を上回った。一方、評価全体で生成した出力は約2億トークンで、比較中央値約1億1000万トークンの約1.8倍だった。同社も速度は平均以上だが、出力は非常に冗長だと要約している。

この出力量は、評価に使われた推論版と同社のタスク構成に対する結果である。非推論設定や異なる推論強度でも同じ比率になるとは限らず、長い出力だけをモデル全般の欠点と断定することはできない。ただし、短い最終回答を大量に返す用途では、余分な推論や説明が完了時間と出力料金の双方を増やす可能性がある。

同ページが表示するAlibaba API価格は、100万入力トークン当たり0.15ドル、100万出力トークン当たり0.47ドルだ。公式発表に記載されたQwenCloudの運用版「Qwen3.8-Flash」は入力0.16ドル、出力0.47ドルで、発表時点ではAPIを近日提供予定としていた。名称、提供面、表示時点が完全には同じではないため、実際の採用時には利用するエンドポイントの料金表を基準にする必要がある。

出力単価を0.47ドルとして単純計算すると、2億出力トークンは94ドル、1億1000万トークンは51.70ドルに相当する。これは評価総額ではなく、確認済みの出力単価だけを当てはめた条件付き計算だ。回答が長くなると、高速なデコードで得た時間上の利点の一部が、生成時間と従量料金として戻ってくる構造が分かる。

標準26万トークン、100万トークンは拡張条件付き

オープンウェイト版のネイティブなコンテキスト長は262,144トークンで、YaRNを使えば100万トークンまで拡張できる。QwenCloudで「Qwen3.8-Flash」として提供される運用版は100万トークンを標準とするが、ローカル配備で同じ設定や性能が自動的に得られるわけではない。ネイティブ対応と位置補間による拡張は分けて評価すべきだ。

長い文書がコンテキスト窓へ収まることも、全域から必要情報を同じ精度で取り出せることを保証しない。QSAは重要と判断した範囲へ計算を集中させるため、実際の文書構造や検索位置によって精度が変わり得る。また、毎秒73.4トークンという第三者測定は出力開始後のデコード速度であり、26万または100万トークンを入力した際の読み込み速度を測った値ではない。

長文用途では、入力を処理するprefill、最初の出力までの待ち時間、必要情報の検索精度、回答生成の完了時間を別々に見る必要がある。大量のコードや資料を一度に扱えるコンテキスト長は強みだが、入力が長くなるほど初回応答とメモリー要件の影響も大きくなる。

長文生成には有力、短い即答は追加測定が必要

確認できた範囲では、Qwen3.8-Flash-Nextは長い文脈を扱い、一定量のコードや文章を生成する処理に適した構成だ。毎秒73.4トークンの測定速度、26万トークンのネイティブコンテキスト、1トークン当たり60億パラメータを稼働させる疎なMoE構成は、大量処理や長時間のエージェント処理で利点になり得る。重みが公開されているため、管理APIと自己ホストの両方を比較できる点も特徴になる。

反対に、入力補完や操作支援など最初の一語を極力早く返す用途では、約3秒の初動を許容できるかが先に問題となる。評価時の出力量が中央値の約1.8倍だったことから、毎秒トークン数だけで総応答時間や料金を見積もると過小評価になる可能性もある。

現時点で確認されたのは、Qwen4向けアーキテクチャの先行モデルが公開され、Alibaba API上で高速な生成と長めの出力が同時に観測されたことだ。Qwen4本体の最終仕様や性能はまだ確定していない。今後は、異なる負荷でのTTFT、自己ホスト環境の速度、簡潔さを指定した場合の品質、最大コンテキスト付近での検索精度を示す追加測定が判断材料になる。

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