
クラウドサインかGMOサインか、月額差より署名方式で選ぶ

立会人型の契約を中心に送る小規模企業なら、基本料と送信料の合計ではGMOサインのライトが有力だ。GMOサインの料金表では、年間契約の基本料は月額8,800円、送信料は立会人型が1件100円、当事者型が1件300円。ライトは両方式と承認ワークフローに対応し、電子証明書は1枚目が無料、2枚目以降は1枚につき年8,000円とされている。
クラウドサインの料金表では、Lightの基本料は月額11,000円、送信料は1件220円で、ユーザー数と送信数に上限はない。契約期間は当初1年間だ。両プランの固定費だけで選ぶと、当事者型署名が必要な契約や、承認を経ない送信を防ぎたい運用を見落とす。まず契約を署名方式と承認の要件で分け、その件数で費用を比べたい。
送信量別の費用を比べる
次の金額は、毎月同じ件数を送ると仮定し、税抜きの基本料と送信料だけを足した試算だ。GMOサインは年間契約の月額料金を使う。電子証明書の追加発行、オプション、取引先側の費用は含めない。月ごとの送信が大きく変動する会社では、繁忙月だけでなく契約期間全体の見込み件数も重要になる。
- 月10件:クラウドサインLightは13,200円。GMOサインのライトは全件立会人型なら9,800円、全件当事者型なら11,800円。
- 月50件:クラウドサインLightは22,000円。GMOサインのライトは全件立会人型なら13,800円、全件当事者型なら23,800円。
- 月100件:クラウドサインLightは33,000円。GMOサインのライトは全件立会人型なら18,800円、全件当事者型なら38,800円。
立会人型で送る限り、この3つの送信量ではGMOサインの合計額が低い。一方、全件を当事者型にしたGMOサインの試算額は、月10件ではクラウドサインLightを下回り、月50件と100件では上回る。ただし、後者は署名者の本人性を示す方法が異なる契約同士の金額比較であり、安い方へ方式を置き換えられるという意味ではない。
方式を混ぜる場合のGMOサインの試算式は「8,800円+総送信件数×100円+当事者型の件数×200円」となる。例えば月50件のうち10件を当事者型にするなら15,800円だ。この例では、全件立会人型の場合との差は2,000円にとどまる。総送信数だけを見て全件当事者型の金額を予算に入れると、実際の使い分けより高い見積もりになる。
固定費の契約条件もそろえて比べる必要がある。上のGMOサインの金額は年間契約を選んだ場合で、単月契約の基本料を使った試算ではない。クラウドサインLightにも当初1年間の契約期間がある。送信が少ない月にも基本料はかかるため、件数が不規則な会社ほど月別の最安額より年間の支出を見る方が実態に近い。
本人性が必要な契約は署名方式から決める
立会人型と当事者型では、署名者の本人性を示す仕組みが違う。GMOサインの当事者型署名の説明では、立会人型はメール認証を用い、当事者型は認証局が本人確認のうえ発行した電子証明書を用いる。自社を当事者型、相手方を立会人型にするハイブリッド署名も用意されている。
契約金額の大小だけで方式を決めるより、誰の署名であることを、どの方法で示す必要があるかを先に整理したい。社内の印章規程や取引条件で代表者名義の電子証明書を使う運用を求める契約なら、送信単価の比較よりその条件が優先する。通常のメール認証で進められる契約まで一律に当事者型へ寄せると、送信料と署名の準備の双方が増える。
電子証明書の費用には表記上の差がある。GMOサインの料金表は初回1枚を無料としている一方、当事者型の機能説明には1枚につき年8,000円と記されている。複数の証明書を使う場合や初回発行の予算を確定する場合は、申込時に適用される条件を確認したい。前節の送信量別試算は、追加の証明書を購入しない条件での金額である。
社内承認を「回せる」か「必須にできる」か
GMOサインのライトには承認ワークフローが含まれる。ただし、承認経路を担当者が変更できないようにするワークフロー固定は、料金表ではビジネスプランの機能だ。確認者を送信順に入れられれば足りる会社と、承認を省いた送信そのものを制限したい会社とでは、必要なプランが変わる。
クラウドサインにも同じ区別がある。クラウドサインの承認機能案内では、承認者を送信フローに含めない限り送れない設定の対象はエンタープライズプランとされる。この制限は一括送信とWeb APIによる送信には適用できず、承認者自身は別の承認者を含めずに送信できる。承認を必須にする運用なら、Light同士の料金比較だけでは予算を決められない。
実務上の分かれ目は、誰が契約書を送るかだ。管理担当者が送信を集約する組織なら、送信前に社内で確認を済ませる運用も考えられる。各部門の担当者へ送信権限を広げるなら、承認経路を設定できるだけでよいのか、経路の変更や承認の省略まで防ぐ必要があるのかを区別したい。
取引先の準備と締結後の保存
相手方にもGMOサインの当事者型署名を求める場合は、相手方による有料プランの契約と電子証明書の取得が必要になる。自社側だけを当事者型にするハイブリッド署名では、相手方は立会人型で署名するため、その準備を求めずに済む。送信元の月額だけでは、双方に当事者型を求めたときの費用や準備の負担は表せない。
締結後の文書管理も、送信機能とは別の判断だ。国税庁の電子取引に関する一問一答は、クラウドサービスで保存する場合も、保存義務者が取引日付・金額・取引先などで検索できる状態を求めている。ダウンロードの求めに応じられる場合などには検索要件の緩和もある。どちらのサービスを使う場合でも、自社が保存する取引データの範囲と、その情報を後から取り出せる運用を決める必要がある。
契約の内訳で選択を分ける
小規模企業での選択は、送信件数だけでなく、契約ごとの本人確認、承認、相手方の準備を並べると明確になる。
- 立会人型が中心で、承認経路を設定できれば足りる場合:送信量別の試算ではGMOサインのライトが費用面で有力だ。
- 自社の一部契約に電子証明書を使いたいが、取引先には取得を求めたくない場合:GMOサインのハイブリッド署名を候補にし、当事者型で送る件数を分けて計算する。
- 承認者を通さない送信をシステムで制限したい場合:両社の小規模向けプランの価格では判断せず、必要な上位プランと送信方法を条件に入れる。
- 相手方にも当事者型署名を求める場合:自社の送信料に加え、相手方の契約と電子証明書の準備を選定条件に含める。
月額差は立会人型を中心に使うときの費用判断には役立つ。一方、当事者型が必要な契約や承認の省略を防ぐ契約では、先に運用条件を満たすプランを絞り、その範囲で総費用を比べるのが妥当だ。
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