源泉所得税の納期特例、10人未満でも申請月には始まらない

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
源泉所得税の納期特例、10人未満でも申請月には始まらない

国税庁の納期特例の説明によると、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者でも、申請月に支払った給与等の税額は通常どおり翌月10日に納め、特例による年2回の納付は原則として申請翌月の支払分から始まる。申請書を出した時点で、申請月分の納期限が変わるわけではない。

国税庁の申請手続案内では、特例対象となる1月から6月の支払分の納期限を7月10日、7月から12月の支払分を翌年1月20日としている。申請の翌月末までに承認または却下の通知がなければ、その翌月末に承認があったものとみなされる。切り替えを考える際は、申請日だけでなく、給与等を実際に支払った月を区切りにする。

人数要件は給与の支給人員で判断する

基準は、給与を受ける人が常時10人未満かどうかだ。外注先や取引先まで足した関係者の総数ではない。給与の支給人員が9人ならこの人数要件を満たすが、給与を受ける人が常時10人以上となれば満たさなくなる。「常時」という条件があるため、申請した日の人数だけを見て、その後の支給体制を考えなくてよいわけではない。

人数要件と、半年ごとの納付に含められる税額の範囲は別に考える。たとえば、税理士への報酬から源泉徴収した税額は特例対象になり得るが、その税理士を給与の支給人員に加えるわけではない。一方、従業員の少ない会社でも、源泉徴収する税額のすべてを半年納付に移せるわけではない。

採用などで給与の支給人員が常時10人以上となり、要件を満たさなくなった場合には、所轄税務署への届出が必要になる。届出をした日の属する特例期間から承認の効力が失われるため、当初の申請時に少人数だったことだけを根拠に、以後も同じ納付日を使い続けることはできない。

半年納付に入る支払い、入らない支払い

納期特例の対象となるのは、給与・退職金から源泉徴収した税額と、税理士、弁護士、司法書士などへの一定の報酬から源泉徴収した税額に限られる。給与と士業報酬では支払先が異なるが、どちらも対象に当たり、適用開始後に支払った分なら、対応する半期の納期限にまとめられる。特例が変えるのは納付の時期であり、支払時に必要な源泉徴収そのものではない。

国税庁の報酬・料金の区分には原稿料や講演料も源泉徴収の対象として挙がるが、源泉徴収の対象であることと、納期特例の対象であることは同じではない。原稿料や講演料から徴収した税額は、給与・退職金・一定の士業報酬に限る特例には含めず、通常の納期限で扱う。

「外注費」という勘定科目だけで源泉徴収の要否は決まらない。支払先が個人か法人か、何の対価かによって判断が変わるため、個人への業務委託費の源泉徴収では、まず徴収が必要な支払いかを分ける。そのうえで、徴収した税額が納期特例の対象に入るかを判断する順序になる。

申請月から最初の特例対象月まで

申請書の提出時期に決まった期限はない。提出先は給与支払事務所等の所在地を所轄する税務署で、e-TaxソフトのWeb版またはソフト版から提出できる。書面で作成した場合は持参または送付する。いずれの方法でも、申請した月にすでに支払った給与等を、さかのぼって半年納付に含める手続にはならない。

時系列の起点は申請月、その次が最初の特例対象となり得る支払月だ。申請月の支払分には通常の月次納付を適用し、原則として翌月に支払った対象所得から特例に移す。承認・却下の通知がない場合のみなし承認は申請翌月末だが、対象となる支払月はその翌月に始まる。この違いを「翌々月の納付分から適用」と言い換えることもできる。翌月に支払った給与の通常の納期限が、さらにその翌月に来るためだ。

条件付きの例として、2月中に申請し、2月にも給与を支払った会社を考える。2月支給分から徴収した税額は3月10日が通常の納期限となる。3月から6月に支払った対象給与の税額は、特例の適用を受ければ7月10日にまとめて納める。最初の特例対象期間は3月から6月までであり、申請日から丸半年を数える仕組みではない。

10月に申請した場合も、支払月を一つずつ進めて考える。10月の給与支払分は通常の翌月納付、11月と12月の対象支払分は、特例が適用されれば翌年1月20日の納付分に入る。申請月が年の後半でも、最初の集計期間を翌年の同じ申請月まで延ばすことはない。

納期限を決めるのは給与の対象期間ではなく支払月

特例の適用後は、1月から6月に実際に支払った対象所得からの徴収税額を7月10日までに、7月から12月に支払った分を翌年1月20日までに納める。給与が「何月分」と呼ばれるかや、報酬の請求書に記された日付ではなく、源泉徴収の対象となる所得をいつ支払ったかで半期を分ける。たとえば12月分の給与を翌年1月に支払うなら、支払月は1月として扱う。

納期限が土曜日、日曜日、祝日などに当たる場合は、休日明けが期限になる。また、半年納付を利用していても、対象外の報酬から源泉徴収した税額には通常の納期限が残る。同じ会社の納付予定に、特例対象分と月次納付分が並ぶことがあるため、支払時にどちらの区分に属する税額かを分けて記録する必要がある。

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