Premiere ProかDaVinci Resolveか、年額と買い切りだけでは決まらない

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます| 3
Premiere ProかDaVinci Resolveか、年額と買い切りだけでは決まらない

対応する素材を使い、個人で編集からカラー・音声の仕上げまで進めるなら、まずDaVinci Resolveの無料版が有力だ。高度なノイズ除去など無料版にない処理が必要ならStudioを検討する。Premiereのプロジェクトを受け渡すチームで働くなら、年間料金を払ってもPremiere Proを選ぶ理由がある。

書き出し速度だけで両者の優劣は決められない。公開された秒数は、素材、効果、ソフトの版、PC、出力設定を組み合わせた結果だからだ。費用を比べる際も、無料版で納品できるか、共同作業で何を渡すかを先に分けると判断しやすい。

日本価格の累積額は、無料版を含めて比べる

Premiere Proの年間料金とDaVinci Resolve Studioの購入価格を1年、2年、3年の累積額で比較

AdobeのPremiere料金案内には、年間プランの一括払いが税込3万4680円と表示されている。Premiereはメンバーシップで利用する製品で、同じ案内はLumetriによるカラー調整と音声の調整・ミキシングも主な機能に挙げる。更新時の料金は変わり得る。

Blackmagic Designの製品案内では、DaVinci Resolve Studio 21を税込5万1980円で販売し、無料版で編集・仕上げられる上限をUltra HD(3840×2160)・60fpsと示している。無料版にもカラーグレーディング、音声リタイム、同じプロジェクトでの共同作業がある。Studioでは高度なノイズ除去、追加のResolve FX、AIを使う音声処理などを利用できる。

次の累積額は、Premiereの年間料金が変わらず、Studioを一度購入するという条件で計算したものだ。クラウドサービス、追加機材、割引、仕事で必要な別製品の費用は含めていない。

  • 1年:Premiere Proは3万4680円、DaVinci Resolve Studioは5万1980円、無料版は0円。
  • 2年:Premiere Proは6万9360円、Studioは5万1980円、無料版は0円。
  • 3年:Premiere Proは10万4040円、Studioは5万1980円、無料版は0円。

この条件なら、有料版同士の累積額は2年目に逆転する。ただし、無料版で作品を完成できる人にとって、Studioへの支払いをPremiereとの損益分岐点だけで正当化する必要はない。反対に、受け取るプロジェクトがPremiere形式で指定されているなら、買い切り価格の安さだけでは移行に伴う作業を評価できない。

無料版で足りるかは、素材と仕上げの処理で決まる

DaVinci Resolveの無料版は、編集、色調整、音声処理を同じプロジェクトで進められる。撮影条件の違うカットの色を合わせ、会話を整えて動画を書き出すような制作なら、まず必要な作業を一通り試せる。一方、暗い映像に強いノイズ除去を継続的に使う、Studio固有のAI音声処理を使う、対応範囲を超える素材を扱う場合は、有料版の機能差が実務上の理由になる。

Premiere Proも、基本的な色と音の仕上げを製品内で行える。短いWeb動画で必要な補正がLumetriと音声機能の範囲に収まるなら、カラー専用ページの有無だけでResolveを選ぶ理由にはならない。色を細かく追い込み、音声担当と工程を分ける制作では、ResolveのカラーとFairlightによる音声の構成が作業の分担に合うかが選択点になる。

無料版の可否にはOSとコーデックも関わる。Puget SystemsのResolve向けベンチマーク仕様は、H.264・H.265のGPUによるエンコードとデコードについて、macOSの無料版とWindowsの無料版を区別している。Windowsでこれらの形式を頻繁に扱うなら、無料版で書き出せることと、Studioと同じ処理経路で速く書き出せることは別の判断だ。カメラが記録する形式と納品形式をセットで考える必要がある。

共同作業ではプロジェクトと素材の受け渡し方を見る

DaVinci Resolveは無料版でも複数人が同じプロジェクトで作業できる。編集、カラー、音声をResolve中心に進めるチームなら、共同作業そのものを理由にStudioを買う必要はない。ただし、全員が元素材へどうアクセスするか、どこに保存するかは、ソフトの購入額とは別に決めることになる。

Premiereには共同作業の形が複数ある。AdobeのTeam ProjectsとProductionsの説明では、前者は共有プロジェクトの変更をクラウドで管理し、後者は大きな案件を複数のプロジェクトに分け、参加者が同じメディアへアクセスする方式とされる。Team ProjectsはAfter Effectsとも連携できるが、プロジェクトファイルを共有することと撮影素材を全員に届けることは同じではない。

共同作業の費用対効果は、相手が何を渡し、何を受け取るかで変わる。チームがPremiereのプロジェクト、After Effectsの作業、既存の共有ストレージを前提にしていれば、編集者だけが別のソフトへ移る際の再構成が負担になり得る。Resolveを中心に担当を分けるチームなら、無料版から同一プロジェクトで作業できることに価値がある。

公開された書き出し時間は、その構成の結果

RTX 4090環境での旧版Premiere ProとDaVinci Resolveの4K書き出し測定値を比較

Frame & Focalの書き出し測定表は、21台のワークステーションを用いたと記し、3分の4K60 ProRes 4444タイムラインをH.264の4K SDRへ書き出したWindows 11・RTX 4090構成について、Premiere Pro 24.5を149秒、DaVinci Resolve 18.6.6を134秒と掲載している。表中の差は15秒だが、個々のCPUやメモリを含む全構成の結果は示されていない。この掲載値を現在の両製品、別の素材、別のPCにそのまま当てはめることはできない。

特に、カメラから取り込むH.264・H.265素材の処理と、ProRes素材からH.264を書き出す処理は同一ではない。ノイズ除去やVFXが加わればGPUへの負荷も変わる。さらに無料版とStudioでは利用できるハードウェア処理に差があるため、Studioで得た結果を無料版の書き出し時間として読むことも避けたい。

公開測定から読み取れるのは、指定された構成と作業内容の組み合わせで生じた差である。書き出しが一日の作業時間を大きく占める制作ほど、納品形式だけでなく、入力素材、使う効果、OS、GPU、ソフトの版まで近い測定が参考になる。書き出し頻度が低ければ、秒単位の差より、素材を問題なく扱い、色と音の修正を終えられるかが選択に効く。

制作環境ごとの選択

  • 個人制作で、無料版が対応する素材を扱い、カラーと音声を含めて仕上げられる場合:DaVinci Resolve無料版が最も費用を抑えやすい。年間契約を始める前に、必要な処理が無料版の範囲に収まるかで判断できる。
  • Resolveで継続して制作し、高度なノイズ除去やStudio固有の機能が必要な場合:Studioの買い切りが候補になる。長期の累積額は有利でも、購入理由は実際に使う機能に置きたい。
  • Premiereのプロジェクトを受け渡す、またはAfter Effectsを含む既存の制作体制に参加する場合:Premiere Proが候補になる。年間料金には、その工程へそのまま参加できる価値も含めて考える。
  • 同じ形式の動画を頻繁に書き出す場合:ソフト名だけの速度順位では選べない。使う素材、効果、PC、無料版かStudioかによって、公開された時間との差が生じる。

この選択では、編集する頻度だけでなく、案件が指定するプロジェクト形式と、実際に必要な仕上げ処理が分かれ目になる。無料版で完結する個人制作、Studio固有の処理を使う制作、Premiereで受け渡す共同制作では、同じ料金表から異なる結論になる。

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