
CopilotかGemini Code Assistか、無料版終了で選択が変わる

個人でコーディング支援AIを選ぶなら、現在はGitHub CopilotとGoogleが移行先に挙げるAntigravityを比べることになる。Googleの個人向け提供終了案内によると、Gemini Code Assistの個人向け、Google AI Pro向け、Google AI Ultra向けIDE拡張とGemini CLIは2026年6月18日にリクエストの処理を終了した。旧無料版をCopilot Freeと並べた比較は、いま利用できる製品の比較にはならない。
企業ではGemini Code Assistの契約状況が分岐点だ。GoogleのStandard/Enterprise契約案内では、2026年10月9日から新規購入はできず、既存契約は契約期間の終了まで利用・サポートが続く。したがって新規導入ではCopilotとAntigravityの法人向け提供を比較し、既存契約者は残る利用期間と移行先を合わせて判断する必要がある。
個人向けの旧無料版を比較から外す
以前のGemini Code Assist無料版は、IDE内で補完やチャットを使える製品として紹介されていた。現在は拡張機能を見つけたり、過去の設定が残っていたりしても、個人アカウントで従来のリクエストを送れるわけではない。古い記事に記された無料補完枠の大きさを、現行プランの利点として数えると選択を誤る。
AntigravityはGoogleが旧個人向け利用者に示す移行先だが、製品名が変わっただけの同一サービスと考えるべきではない。日々の入力を助ける補完、指示に応じて作業を進めるエージェント、CLIからの操作は、利用する入口も制限のかかり方も異なる。旧Gemini Code Assistの使用感を引き継げるかという問いと、現行製品としてどちらが合うかという問いは分けて考えたい。
個人にとってCopilot Freeの利点は、現行の無料プランとしてIDE内の補完を試せることだ。Antigravityにも個人向けの無料プランがあるため、無料で始めるという条件だけでは決着しない。短い候補を頻繁に採用する作業と、まとまった変更を指示する作業では、先に見るべき機能と利用枠が違う。
補完回数とエージェントの利用枠を分ける

GitHubのCopilotプラン表では、Copilot FreeのIDE内補完は月2,000回まで、Copilot Proは月10米ドル、Copilot Businessは利用者ごとに月19米ドルと示されている。有料プランの通常のコード補完と次の編集候補は回数無制限だが、高需要時にはレート制限がかかり得る。チャットやエージェントの利用は別のGitHub AI Creditsで管理されるため、補完の「無制限」を全機能に当てはめることはできない。
Copilotの無料枠だけで足りる人でも、対話やエージェントを中心に使うなら別の上限に先に達する可能性がある。逆にチャットをほとんど使わず、入力中の候補を採用することが主なら、補完回数のほうが実感に近い指標になる。古い比較記事のプレミアムリクエストと現行のAI Creditsは異なる制度なので、数字だけを横に並べても必要な費用は分からない。
Antigravityの料金案内には月額0米ドルの個人向けプランがあり、Tab補完とCommandリクエストを無制限とする一方、基本的な週単位のレート制限を設けている。Google AI ProとUltraでは利用上限が引き上げられ、法人向けにはGoogle Cloud経由の提供がある。Copilotの月間補完回数とAntigravityの「無制限」は同じ作業量を表す指標ではなく、作業が集中する期間と使う機能を合わせて読む必要がある。
企業は既存契約と新規導入を混ぜない

Gemini Code Assist StandardまたはEnterpriseをすでに契約している組織は、契約が続く間、その開発支援を利用できる。ライセンス追加と自動更新には別々の期限が設けられているため、現在の契約期間だけでなく、必要な人数をいつまで維持できるかが移行計画に関わる。導入済みの補完やチャットを評価する際には、機能の良し悪しに加え、契約満了後の開発環境をどうするかも判断材料になる。
新たにチーム用の契約を選ぶ組織に、Gemini Code Assist Standard/Enterpriseの過去の料金をCopilot Businessの現行価格と並べる意味は薄い。前者は新規購入できないからだ。Google側を候補に残すならAntigravityの法人向け条件と対象となるGemini Enterprise契約を確認し、Copilot側では利用者への割り当て、組織の管理機能、AI Creditsの消費を評価する。個人向け無料プランの条件を、そのまま企業の調達条件として使うこともできない。
既存契約者にとっては、移行までの間に現在のIDE拡張を使えること自体に価値がある。一方、新規導入では将来の移行費用まで含めた比較が必要になる。同じ「企業で使う」という場面でも、契約が残っているかどうかで、Gemini Code Assistが現役の選択肢になる期間と、比較すべき相手が変わる。
IDE対応は機能ごとに確かめる
「IDE対応」という表示だけでは、インライン補完、チャット、エージェントが同じ範囲で使えるとは分からない。Copilotのコード補完はVS Code、Visual Studio、JetBrains系IDEなどで利用できるが、次の編集候補やエージェント関連機能の対応状況はIDEと拡張機能の版で変わる。開発者が複数のIDEを使う組織ほど、製品全体の対応一覧より、各環境で必要な機能が使えるかが重要になる。
Antigravityにはアプリ、CLI、IDE拡張という入口があり、IDE拡張はVS CodeとJetBrains系IDEに対応する。既存のGemini Code Assist企業契約で使うIDE拡張と、移行先のAntigravity拡張は別の製品として扱う必要がある。Google製という共通点だけで操作方法や利用枠を同一視すると、移行後の作業手順を見積もりにくい。
日常的に関数や条件式を入力する仕事では、候補が現れる速さ、採用しやすさ、途中の編集を邪魔しないことが効く。既存コードの調査から複数ファイルの変更まで任せる仕事では、エージェントの対象範囲と変更内容を確認する負担が効く。いずれもコード生成を含むが、補完の使い勝手だけでエージェントの価値を判定することはできない。
旧無料版の実測から読める機能差

2026年3月のK-AntennaのVS Code比較は、当時のCopilot FreeとGemini Code Assist無料版を同じPythonファイルで使い、補完、コード生成、デバッグ、リファクタリングの4課題を各製品1回ずつ試した。補完課題ではCopilotが関数全体を提案したのに対し、Gemini Code Assistは初期化の一行を提案した。入力中の候補を一度に採用したい場面では、この試行ではCopilotの出力が大きかった。
チャットで給与データを集計するスクリプトを求めた課題では、Copilotは依頼より広いクラス構成を生成し、Gemini Code Assistは要求されたスクリプトの規模に収めた。デバッグでは両者が用意された不具合を見つけ、Gemini Code Assistは重複値の扱いに関する追加の注意点も示した。リファクタリングでは構造上の改善は近く、Gemini Code Assistの出力には処理の細部で小さな効率上の利点があったという評価だった。
この結果は、同じ課題でも補完と対話型の生成で評価が分かれ得ることを示している。ただし各課題は一度だけの試行で、対象は提供を終えた個人向けGemini Code Assist無料版だ。Antigravityや現在の企業向け契約に、そのまま優劣を移すことはできない。品質を比べるなら、補完の長さだけでなく、生成コードが依頼の範囲に収まるか、不具合の指摘が正確か、修正後にどれだけ確認が必要かを別々に見るのが妥当だ。
利用者別に選択条件を整理する
個人で補完を中心に使う場合、Copilot Freeから始め、月間の補完枠とIDEでの候補の採用しやすさを判断材料にできる。枠が足りず有料化するなら、補完そのものとAI Creditsを使う作業を分けて費用を考える。旧Gemini Code Assistの無料補完枠は、ここで比較できる現行の枠ではない。
個人でエージェント作業を重視する場合、Antigravityの無料プランも候補になる。Tab補完やCommandリクエストの表示上の回数だけでなく、週単位の制限が自分の作業の集中度に合うかが判断点だ。旧Gemini Code Assistの実測で見えたチャットの長所は参考にはなるが、移行先の品質評価ではない。
企業の場合、既存のGemini Code Assist契約があれば、その期間に利用できる機能と移行時期を一緒に考える。新規導入ならCopilot Business/EnterpriseとAntigravityの法人向け提供を並べ、利用するIDE、管理条件、エージェントの利用枠、追加費用を同じ業務に当てはめて比較する。契約可能な製品を先に確定させることが、古い無料版の比較表から選ぶ場合との決定的な違いだ。
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