Photoshopに「光」専用レイヤー、AI編集もマスク外を守る

Adobeは2026年8月28日、日本向けにPhotoshopの新機能を公開した。米国時間8月27日に発表された更新で、非破壊型の「色調補正パネル:ライト」と、マスク外を変更しない生成編集が加わり、「AI アシストエディター」はベータ版として提供が始まった。機能名、提供状態、日米の公開日は アドビ日本法人の発表 で確認できる。
今回の更新は、手動補正を生成AIへ一括置換するものではない。明暗補正は元の画素と分け、局所的な生成処理はマスク内に限定し、プロンプトによる編集結果は生成レイヤーとして保持する。既存のPSDへ組み込む際は、元画像、変更可能な範囲、AIが生成した結果という三つの保護対象を分けて考える必要がある。
6項目の明暗補正を一つのレイヤーに集約

新しい「色調補正パネル:ライト」は、露出、コントラスト、ハイライト、シャドウ、白レベル、黒レベルをスライダーで調整する専用の調整レイヤーだ。補正値は元画像へ直接書き込まれないため、後から変更したり、効果を外して元の状態へ戻したりできる。
Photoshopでは従来もカーブ、レベル、露光量などの調整レイヤーを使って非破壊編集ができた。新機能の意味は、これまで不可能だった処理の解禁ではなく、Camera RawやLightroomで使われる明暗系の操作を通常のレイヤーワークフローへまとめたことにある。Digital Camera Worldの検証記事 も、六つのスライダーと、補正を後から変更できる非破壊構造を確認している。
カーブには任意の階調点やチャンネル別の制御という強みが残る。一方、ライト調整レイヤーは、写真全体の露出やシャドウを短時間で整え、修正指示に応じて数値を戻す工程を簡潔にする。レイヤーマスクを併用すれば、商品と背景、人物と周囲など、同じ画像内でも適用範囲を分けられる。
生成処理の境界をマスクで固定

「生成塗りつぶしマスク選択」はAdobe Firefly Image 5を基盤とし、自然言語の指示を指定したマスク範囲へ適用する。Adobeの説明では、マスクされていない領域には影響を与えない。顔やロゴ、ブランドアセットを変更対象から外したまま、選択した人物に帽子を加えるといった局所編集が可能になる。
ここで保護されるのはマスクの外側であり、マスク内の生成品質まで保証されるわけではない。輪郭の切り方、光や影の連続性、人物や商品の形状、ブランドガイドラインとの整合性は、生成後に確認する必要がある。重要な要素をマスク外へ置き、生成された領域だけを比較できるレイヤー構成なら、承認対象を明確にしやすい。
同時に追加された「マークアップ」では、画像へ矢印や大まかな形を描き、変更位置や追加要素を視覚的に指定できる。テキストだけでは曖昧になりやすい位置関係をモデルへ伝える機能だが、描いた形がそのまま最終成果物になる仕組みではない。
AI アシストエディターはベータ版の別環境

「AI アシストエディター」は、従来のPro エディターに代わる強制的な新画面ではなく、プロンプト中心で操作する専用インターフェイスだ。背景除去、不要オブジェクトの除去、生成拡張、生成塗りつぶし、生成アップスケール、マークアップなどをまとめて扱う。提供状態はベータ版で、通常のレイヤー中心の編集環境も引き続き利用できる。
DPReviewの独立報道 によると、ライト調整などはアプリの更新で提供される一方、AI アシストエディターはベータ版として開始された。同記事は、従来のツールバーやレイヤーパネルを簡略化した画面であること、生成AI機能の一部は契約プランに応じた生成クレジットを使うことも伝えている。
Pro エディターを使い続ける場合は、コンテキストタスクバーの「プロンプトで編集」から自然言語で画像全体を操作できる。Adobeによれば、その出力は非破壊型の生成レイヤーとしてレイヤーパネルへ保存される。AI アシストエディターは操作環境、生成レイヤーは出力の保持方法であり、両者は同じ概念ではない。
既存案件で区別すべき三つの保護範囲
三つの制作フローは、何が元の状態に保たれるかで分類できる。ライト調整レイヤーは元の画素、マスク限定編集は指定範囲の外側、生成レイヤーは生成前のレイヤー構成を保つ。いずれも修正を管理しやすくするが、「非破壊」や「保護」が指す対象は異なる。
- ライト調整レイヤー:補正値を元画像と分離し、後から再調整または無効化できる。
- マスク限定の生成編集:顔、ロゴ、商品形状など変更しない要素をマスク外に置く。
- 生成レイヤー:プロンプト編集の出力を元のレイヤーから分け、表示、非表示、削除を可能にする。
- AI アシストエディター:ベータ版の操作環境として扱い、固定された制作工程や将来仕様とはみなさない。
ブランド素材では、ロゴやパッケージ上の文字を変更不可領域として先に確定し、その外側だけを生成対象にする構成が考えられる。人物写真でも、マスク外の顔が維持されることと、マスク境界付近の合成が自然であることは別の確認項目になる。生成部分を独立して表示できれば、手動修正との混同も避けやすい。
更新で確定したこと、なお変わり得ること
今回確定したのは、六つの明暗項目を扱う専用調整レイヤー、マスク外へ影響を与えない生成編集、マークアップ、生成レイヤーとして残るプロンプト編集がPhotoshopへ加わったことだ。AI アシストエディターについては、正式版ではなくベータ版として提供されている。
一方、ベータ環境の画面や挙動は今後変わる可能性があり、生成結果の品質も素材、指示、マスクの精度に左右される。更新の核心は、手動編集とAI編集の二者択一ではなく、元画像、変更禁止領域、生成結果をPhotoshopの中で別々に管理する選択肢が増えたことにある。
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