Helical Fusionが32.3億円調達、発電計画に産業界が加わる

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます| 7
Helical Fusionが32.3億円調達、発電計画に産業界が加わる

Helical Fusionは2026年10月8日の資金調達発表で、シリーズB第2クローズとして32.3億円を調達し、同ラウンドの累計が59.3億円、補助金・融資を含む累計調達額が130.5億円になったと明らかにした。田口昂哉CEOは産業界の参加を受け、今後の事業に向けた「基盤がさらに強化されつつあります」と述べた。富士電機、フジクラ、東京ガスなどが新たに株主となり、今回の調達には建設会社の安藤・間との資本提携も含まれる。

東京ガスは同日付の出資発表で、Helical Fusionがヘリカル方式、高温超伝導、液体金属ブランケットの開発を進め、2030年代の核融合発電実用化を目指すと説明した。今回完了したのは資金調達と出資であり、実用発電はこれから実証を重ねる計画上の目標だ。参加企業の事業分野を見ると、炉の主要部材から建設、エネルギー事業まで接点が広がっている。

今回の調達額と累計額が示す範囲

32.3億円は進行中のシリーズBラウンドに追加された資金で、59.3億円は同ラウンド全体の累計を指す。一方、130.5億円は会社の設立以降の調達をまとめた額で、株式投資のほか補助金と融資を含む。三つの金額は集計期間と資金の種類が異なり、今回の株式投資額として一括りにはできない。

会社の累計額には、岐阜県産業経済振興センターが運営する「ぎふプライムスタートアップ支援補助金」が算入されている。他方、経済産業省の「フュージョンエネルギー発電実証推進事業補助金」は条件付き採択の段階で、今回の調達額に含まれていない。資金調達が発電計画を前に進める余地を広げても、採択された支援制度の全額が直ちに使える資金になったわけではない。

今回新たに株主となったのは、富士電機、フジクラ、東京ガス、KKT合同会社、ウラタ、ケップルグループだ。これに加え、先に発表された安藤・間との資本提携と、個人投資家向けファンド「イークラウドNEXT」を通じた出資が今回の調達に含まれる。新規株主の一覧だけでは、建設分野からの参加と個人投資家の参加経路を捉えきれない。

出資企業が発電所の供給網と接する場所

最も具体的な設備上の接点を持つのは富士電機だ。同社との資本業務提携の発表によると、富士電機は2025年にHelical Fusionと高温超電導マグネット用電源装置の供給契約を締結しており、今回「ヘリックス計画」の公式パートナーにも加わった。今後は最終実証装置と発電初号機をめぐる技術開発、事業開発の具体的な検討に参加する。

契約済みの電源装置は、高温超電導マグネットに電流を供給するための機器だ。ヘリカル方式では、らせん状のコイルがつくる磁場で高温のプラズマを閉じ込めるため、マグネットとその周辺機器は炉の成立に直結する。既存の供給契約という確定した関係と、将来の発電所に向けた検討という次の段階は分けて見る必要がある。

フジクラの接点は高温超電導線材にある。強い磁場を生むマグネットを構成する材料であり、同社は関連技術と国内外の核融合プロジェクトへの供給経験を持つ。ただし、今回の出資によってHelix HARUKAや発電初号機向けの線材の納入数量、仕様、契約が新たに確定したという発表はない。送電網向けの部材と、炉内でプラズマを閉じ込めるマグネット用の線材も、用途を混同できない。

建設分野では、安藤・間が資本提携を通じて「ヘリックス計画」の公式パートナーとなり、建設・不動産開発を手がけるウラタも出資した。核融合炉を発電所にするには、装置そのものに加えて、設置、運転、保守を支える施設が要る。両社の参加はその領域に産業界の関心が及んだことを示すが、将来の発電所で個々の工事をどちらが請け負うかまで決まったことを意味しない。

東京ガスはエネルギー事業者として出資し、核融合分野の技術開発と産業化に関する知見を得る方針を持つ。現時点の関係を、燃料の供給契約や発電電力の購入契約と読み替えることはできない。KKT合同会社は企業ネットワークや事業開発の知見を通じた支援を掲げ、ケップルグループとイークラウドNEXTは資金面から参加する。出資企業の顔ぶれは多様だが、全社が炉の部品を納める構図ではない。

建設が進む実証装置と、次に必要な成果

資金と産業界の参加が向かう先に、Helical Fusionの「ヘリックス計画」がある。岐阜県土岐市の核融合科学研究所の敷地内では、最終実証装置「Helix HARUKA」に向けた高温超伝導マグネットの製造・建設が進む。国内企業や共同研究先も重要部品の開発に協力しており、今回の出資は、研究成果を装置と施設へ移す過程で企業との接点を増やす。

計画では、高温超伝導マグネットと「ブランケット兼ダイバータ」をそれぞれ実証したうえで、Helix HARUKAによる統合実証へ進む。マグネットはプラズマを閉じ込める磁場をつくる。ブランケットは炉内の熱や中性子を受け止め、エネルギーを取り出すための要素で、液体金属を用いる技術の開発が進められている。個々の機器の性能だけでなく、異なる要素を一つの装置として働かせられるかが次の焦点となる。

その先の発電初号機が「Helix KANATA」だ。Helical Fusionが実用発電の条件に挙げるのは、継続して運転できること、プラントの外へ供給できる正味の電力を得ること、設備を保守できること。核融合反応を起こす実験から、発電所として電気を届ける段階へ進むには、これらを合わせて満たす必要がある。電源装置、線材、建設、エネルギー事業の企業が加わった意味は、この工程ごとに必要な能力を集め始めた点にある。

今後、計画の進み具合を具体的に示すのは、マグネットなどの個別実証とHelix HARUKAでの統合実証の結果だ。設備が設計どおりに組み合わさり、運転と保守に必要な条件を示せるかによって、発電初号機への道筋がより明確になる。

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