固定残業代は金額だけでは不十分、求人票に必要な3項目

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます| 1
固定残業代は金額だけでは不十分、求人票に必要な3項目

固定残業代を含む求人票では、月給の総額と手当額だけを書いても足りない。厚生労働省の募集時の労働条件の説明が求める表示は3項目で、固定残業代を除いた基本給、対象となる時間数と金額等の計算方法、対象時間を超える時間外・休日・深夜労働への割増賃金の追加支給だ。

書く順序は、月給の内訳を基本給と固定残業代に分け、手当が何時間分かを示し、その範囲を超えた場合の支払いを続けると分かりやすい。以下では、月給30万円のうち基本給25万円、固定残業代5万円を月20時間分の時間外手当とする仮の条件で、求人票の各欄を具体化する。

基本給欄には、固定残業代を除いた額を入れる

この仮例で基本給欄に入れる金額は25万円だ。月給総額の30万円を基本給と書き、別の欄に固定残業代5万円を足す形にすると、提示月給が30万円なのか35万円なのか判別しにくい。総額を先に見せる媒体でも、内訳の25万円と5万円が同じ募集情報の中で分かるようにする。

ハローワークの求人情報の入力案内では、基本給(a)、定額的に支払われる手当(b)、固定残業代(c)を分け、固定残業代がある場合の賃金額はa+b+cで表示する。仮例に別の定額手当がなければ、基本給25万円と固定残業代5万円を合わせた30万円が月給総額になる。別の手当があるなら、その額も総額との関係が分かるように区分する。

手当の名称が「職務手当」などでも、その中に残業の対価が入るなら、固定残業代に相当する部分を独立して示す。「職務手当5万円」だけでは、職務への手当なのか、時間外労働への手当なのかを応募者は読み取れない。名称を変えれば内訳の明示が不要になるわけではない。

固定残業代欄は、金額と対象時間を一組にする

仮例なら、固定残業代欄に「5万円(月20時間分の時間外手当)」と書く。金額だけでは何時間分を支払うのか分からず、「20時間分」だけでは賃金に含まれる額が分からない。「時間外労働の有無にかかわらず支給」と添えれば、実際の残業がない月も固定額を支給する条件まで伝わる。

ここでいう20時間は、固定残業代の算定の基礎にした時間数だ。求人票の労働時間欄で示す月平均の残業時間や、残業を命じられる上限を表す数字ではない。賃金の説明に「20時間分」と書いたことを理由に、労働時間欄の記載を省くこともできない。応募者が二つの数字を混同しないよう、賃金欄では手当の対象時間であることを明示する。

この5万円と20時間は記載方法を示すための仮定であり、どの会社にも当てはまる標準額ではない。実際の求人では、所定労働時間と割増賃金の算定に用いる賃金を踏まえて固定額を定め、賃金規程や労働条件通知書にある手当の対象と求人票の表現をそろえる。対象が時間外労働だけなのか、休日や深夜の労働も含むのかを曖昧にしない。

超過分は、追加で支払う対象まで明記する

「月20時間分を含む」という記載の後には、「月20時間を超える時間外労働分の割増賃金は別途支給」と続ける。固定残業代を払うという説明だけで終わると、対象時間を超えた場合の賃金を読み取れない。仮例では固定額の対象を時間外労働に限定するため、法定休日労働と深夜労働の割増賃金も別途支給すると書く。

実際の制度で休日労働や深夜労働も固定額に含めるなら、時間外労働だけを対象とした文面を流用せず、何の労働に対する何時間分をいくらで支払うかを示す。休日と深夜の割増を固定額に含める範囲が違えば、応募者に伝える超過分の基準も変わる。手当名より、対象となる労働と追加支給の条件を優先して記す。

厚生労働省の事業主向けQ&Aは、固定残業代が法定の方法で算定した割増賃金額を下回る場合、差額を支払う必要があると説明する。したがって、20時間分として5万円を記載しただけで、実際の割増賃金の計算が不要になるわけではない。求人票には、固定額の対象範囲と追加支給の条件が分かるように書く。

月給30万円の求人票を欄ごとに直す

次は、上記の仮の条件を一つの求人票に置いた場合の比較だ。悪い例は「月給30万円に固定残業代を含む」としながら、基本給欄にも30万円を入れている。固定残業代欄の5万円を足すべきかどうかが曖昧で、対象時間と超過分の扱いも欠けている。

  • 悪い例・賃金欄:「月給30万円(固定残業代を含む)」
  • 悪い例・基本給欄:「30万円」
  • 悪い例・固定残業代欄:「5万円」
  • 悪い例・固定残業代に関する特記事項欄:記載なし

修正例では、基本給と固定残業代を足すと月給総額になり、固定額の対象時間と対象外の割増賃金まで分かる。月20時間は時間外労働の手当に対応し、法定休日と深夜の割増は別枠とする設定だ。

  • 修正例・賃金欄:「月給30万円」
  • 修正例・基本給欄:「25万円(固定残業代を除く)」
  • 修正例・固定残業代欄:「5万円(月20時間分の時間外手当。時間外労働の有無にかかわらず支給)」
  • 修正例・固定残業代に関する特記事項欄:「月20時間を超える時間外労働分の割増賃金は別途支給。法定休日労働・深夜労働の割増賃金も別途支給」

専用の固定残業代欄がない求人媒体なら、賃金欄に「月給30万円=基本給25万円+固定残業代5万円」と内訳を置き、補足欄に対象時間と追加支給を続ければよい。補足欄の字数が限られる場合も、対象時間や超過分だけを面接時の説明へ先送りせず、募集情報内で読める配置にする。表示欄の名称は媒体によって違っても、応募者に示す賃金条件は同じだ。

月給に幅を設ける求人では、下限と上限のそれぞれで基本給と固定残業代の組み合わせが分かるようにする。片方の金額だけに対応する対象時間を一律の条件として載せると、もう片方の給与水準で内訳が読み取れなくなる。掲載用の短い文面、詳細欄、採用時に渡す労働条件の内容で、金額・対象時間・追加支給の記載をそろえる。

関連記事:

共有:

ニュースレターを購読

Web3、AI、暗号資産の最新ニュースを受信箱にお届けします。

0