求人の44%が管理力を要求、AIツール明記はわずか0.2%

Kickresumeは2026年9月9日、米国と英国の求人票約140万件を調べ、managementが44%、public speakingが40%、problem-solvingが12%に出現した一方、AI toolsの明記は0.2%だったとする 求人票分析の結果 を公表した。対象はLinkedInとIndeedに2026年3月から8月まで掲載された求人で、医療、金融、ビジネス、マーケティング、採用、テクノロジーの6分野にまたがる。
この9月9日発表から読み取れるのは、米英の対象求人では管理、対人説明、問題解決に関する表記が広く使われているということだ。AI toolsの0.2%は特定の分類項目が求人文に現れた割合であり、AI関連技能を求める求人全体が0.2%しかないことや、AI経験が不要であることを意味しない。
44%は管理職の割合ではなく、求人文での出現率

managementの44%は、分析対象となった求人の44%が管理職だったという数字ではない。Kickresumeは職位や採用人数ではなく、求人文を検索し、指定した技能や表現が含まれる求人の比率を集計している。したがって、タイトルの「管理力」は役職ではなく、求人側がmanagementとして記載した要件を指す。
調査内では業種による差も大きい。managementはビジネス求人の76%、金融の72%、マーケティングの56%に現れた。医療ではpublic speakingが50%、採用では43%で各分野の首位となり、テクノロジーではmanagementが54%、public speakingが21%、AI toolsが0.7%だった。
この順位を世界共通の技能ランキングとして扱うことはできない。対象は米英の2市場、6業種、6カ月間に限られ、日本の求人票は含まれていない。また、公表資料は検索語句の完全な辞書、求人の重複除去方法、職位別の内訳を示していないため、44%からmanagementの意味や要求水準まで特定することもできない。
AI toolsの0.2%とAI技能需要の増加は矛盾しない

AIに関する数字が分析によって大きく変わる主因は、母集団と分類方法が異なることだ。Kickresumeの0.2%は米英6業種におけるAI toolsの明示的な記載を捉えた値で、ChatGPT、生成AI、機械学習、自然言語処理などをまとめた広義のAI技能分類ではない。個別の技術名や業務名だけを記した求人は、同じ数に含まれない可能性がある。
米国求人をLightcastの技能分類で追う Bipartisan Policy Centerの2026年9月8日分析 では、prompt engineeringやChatGPTなどのAI技能を含む求人が同年8月までの1年間に165%増えた。これは米国だけを対象とする件数の前年同期比であり、米英求人における特定表現の構成比である0.2%とは、地域、期間、分母、技能の定義が一致しない。
さらに、Lightcastの求人・技能データを使った ICIMSの2026年9月10日レポート は、AI関連求人が採用需要に占める割合を米国で4%、英国で2.7%とした。こちらもAI関連の職種や技能要件を広く分類した値であり、AI toolsという表記だけを数えた結果ではない。
つまり、0.2%が示すのはAI需要の不在ではなく、求人票でAI経験がどのような語に分解されているかを確認する必要性である。一般的な管理・説明能力が多数の求人に横断して現れる一方、より広い分類で見たAI技能需要も増えているという二つの動きは両立する。
日本の応募書類では頻出語を実績に置き換える
日本の転職者がこの結果を利用する際は、managementやproblem-solvingをそのまま職務経歴書へ転記するのではなく、担当した対象、取った行動、確認できる結果へ変換する必要がある。「マネジメント能力」「説明力」「問題解決力」だけでは、経験の規模や責任範囲を採用側が判断できない。
AI経験も製品名だけを独立して並べるより、どの工程で使い、誰が出力を検証し、どの成果につながったかを同じ実績の中に置く方が具体的になる。以下は実在の成果ではなく、応募者が自分で確認できる事実と数値に置き換えるための記載例である。
- 管理・プロジェクト職:「部門横断の[人数]人チームで進行と課題の優先順位を管理。生成AIで作成した議事録案を担当者が確認する工程を整え、決定事項の共有時間を[時間・割合]短縮した」
- 営業・顧客対応職:「顧客データと問い合わせを整理し、[対象者]への提案説明を担当。AIで作成した想定質問を製品資料と照合し、[更新率・受注額など]の改善につなげた」
- IT・業務改善職:「[業務・システム]の障害を分類して原因調査と再発防止を主導。AI支援によるログ要約を担当者が検証する手順を設け、平均対応時間を[数値]改善した」
この書き方なら、managementは肩書ではなく管理した範囲と判断として、public speakingは抽象的な話術ではなく説明相手と目的として示せる。problem-solvingも問題、対処、結果のつながりになり、AI活用は「使える」という自己評価ではなく、業務上の役割と人による確認を含む実績になる。
米英の順位を応募先の要件へどう対応させるか

同じmanagementでも、求人によって対象は人員、予算、納期、顧客関係、プロジェクト、業務プロセスなどに変わる。応募書類では求人票の前後にある目的語と動詞を確認し、自分の経験から最も近い対象を選ぶ。管理職の肩書がなくても、何を、どの範囲で、どの期間管理したかを裏付けられれば、要件との対応を示せる。
説明力については、発表回数よりも、誰に何を説明し、どの判断や行動を支えたかが重要になる。経営層への報告、顧客への提案、現場への手順説明では目的が異なるため、応募職種に近い相手と成果を選ぶ必要がある。問題解決力も、発生した問題、原因の切り分け、実施した変更、確認できた結果まで書けば、単なる自己評価を避けられる。
現時点で確認できるのは、Kickresumeの限定された米英求人分析でmanagementの表記が44%、AI toolsが0.2%だったことと、別の定義によるAI関連求人は増えていることまでだ。日本市場での出現率、職位別の意味、各表記と採用結果の関係は示されていない。今後、検索辞書や重複処理を含む詳しい方法、職種・職位別の内訳、日本の求人を同じ条件で調べたデータが公開されなければ、数値を直接比較することはできない。
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