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BepiColomboが水星到着段階へ、観測開始は2027年4月

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます| 4
BepiColomboが水星到着段階へ、観測開始は2027年4月

欧州宇宙機関(ESA)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の共同計画BepiColomboは2026年9月3日、約8年の航行を支えたMercury Transfer Module(MTM)を分離し、水星到着段階へ入った。ESAの9月3日の運用速報 では、スペインとアルゼンチンの深宇宙アンテナによる信号受信で分離成功が確認され、残った機体のシステムとMPOの太陽電池パネルも正常とされている。

ただし、BepiColomboはまだ水星を周回していない。ESAのMercury Planetary Orbiter(MPO)とJAXAのMercury Magnetospheric Orbiter「みお」は結合したまま接近中で、水星周回軌道への投入は2026年11月21日、2機の分離は12月9〜10日、科学観測段階への移行は2027年4月に予定されている。9月3日に完了したのは、巡航の終了ではなく、数カ月に及ぶ到着運用の最初の工程だ。

現在地は「到着開始」、水星周回はまだ

MTMは、太陽電気推進と電力供給によって2機の科学探査機を内太陽系へ運んできた巡航用モジュールである。分離後はMPOが結合体に電力を供給し、「みお」を搭載した状態で水星周回軌道への投入に向かう。

水星へ近づく探査機は太陽の重力で加速するため、目的地へ直進するだけでは周回軌道に捕捉されにくい。BepiColomboは地球で1回、金星で2回、水星で6回、計9回のフライバイを重ね、軌道エネルギーを落としながら接近した。MTMの分離は長い惑星間巡航に区切りを付ける一方、軌道投入や機体分離を連続して行う新たな運用の始まりでもある。

分離は9月3日14時(中央ヨーロッパ夏時間)、日本時間では同日21時ごろに実施された。成功確認は日本時間22時52分ごろで、地球から2億キロ以上離れていたため、地上からリアルタイムで操作を修正することはできなかった。事前に送信した手順を機体が実行し、地上局はその後に届いた信号とテレメトリーで結果を確かめた。

2027年4月までに残る4段階

結合したまま水星周回軌道へ投入されるMPOと「みお」

今後は「到着段階」「軌道投入」「2機の分離」「科学観測開始」を区別する必要がある。Space.comが報じた到着運用の日程 では、11月21日の軌道投入後に16回のマヌーバで軌道を整え、「みお」を分離した後、MPOは2027年3月10日に目標の極軌道へ到達し、科学運用は4月6日に始まる予定だ。

  1. MTM分離 — 2026年9月3日21時ごろに実施され、22時52分ごろに成功を確認した。時刻はいずれも日本時間で、この工程は完了している。
  2. 水星周回軌道への投入 — 2026年11月21日の予定。これが成功して初めて、結合体は水星を回る探査機となる。日本時間での実施時刻は公表されていない。
  3. MPOと「みお」の分離 — ESAの予定は2026年12月9〜10日。「みお」を放出した後、12月16日にはMPOが「みお」を太陽光から保護してきたMOSIFも切り離し、自身の低い観測軌道へ降下していく。正確な日本時間は未公表だ。
  4. 科学観測開始 — 2027年4月6日の予定。軌道調整と機器の立ち上げを終えた2機が、それぞれの軌道から本格観測へ移る。

日付だけを見ると9月に「到着」したように受け取れるが、現段階は到着運用の開始に当たる。軌道捕捉も2機の独立飛行も未完了であり、11月以降の日程は今後の機体状態と各操作の成功を前提とした予定である。

MTM分離で機体の役割が切り替わった

MTMは長距離巡航に不可欠だったが、水星周回後の科学観測には使われない。分離によって、機体はMPO、「みお」、両者をつなぎ「みお」を太陽光から保護するMagnetospheric Orbiter Sunshield and Interface Structure(MOSIF)からなる到着時の構成へ移った。

ここからは、一度の大きな減速で最終観測軌道へ入るのではなく、数カ月かけて軌道の高度と形を変える。11月21日の軌道投入後、まず「みお」を放出できる軌道を作り、分離後はMPOがより低い極軌道へ降下する。したがってMTM分離は単なる部品の投棄ではなく、巡航用の推進構成から2機の周回探査を成立させる構成への切り替えを意味する。

各工程は前の操作が正常に終わることを前提としている。現時点で確認済みなのはMTMの分離と残存機体の健全性までで、11月の軌道投入、12月の分離、2027年の軌道到達と観測開始は未実施だ。

「みお」とMPOは異なる高度から水星を調べる

水星近傍でMPOから分離し、異なる極軌道へ移る「みお」

「みお」は水星の磁場、磁気圏、プラズマ、薄い大気、周辺のダストを調べるJAXAの探査機で、分離後は高い遠水点を持つ楕円極軌道へ入る。一方のMPOは、より低い極軌道から水星の地形、表面組成、地質、重力場や内部構造を詳しく調べる。

2機を別々の高度で同時運用することには、表面や内部の状態と、水星周辺で変化する磁気圏・太陽風環境を結び付けて調べられる利点がある。AP通信の9月3日の報道 も、結合した2機が11月に周回軌道へ入り、12月に分離して異なる高度から水星を調査する計画であることを確認している。

もっとも、「みお」はまだ単独飛行を始めていない。12月の分離まではMPOと結合した状態で移動し、放出後には軌道調整と機器の確認が必要になる。2027年4月の観測開始という日程は、11月の軌道投入をもって科学ミッションが直ちに始まるわけではないことを示している。

次の関門は11月21日の軌道投入

9月3日の成功で、BepiColomboは水星到着運用の最初の工程を通過した。次に成否が注目されるのは11月21日の軌道投入であり、この操作が完了するまで「水星周回を始めた」とはいえない。

その後も「みお」とMOSIFの分離、MPOの段階的な軌道降下、両機の点検が続く。現在確認できる状態は、MTMを切り離したMPOと「みお」が結合したまま水星へ向かっているというものだ。2機による本格観測は、これらの工程を経た2027年4月に始まる予定である。

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