伊藤忠とSORAMICHIが資本提携、DX支援を構想から運用まで

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます| 6
伊藤忠とSORAMICHIが資本提携、DX支援を構想から運用まで

伊藤忠商事は、東京都港区に本社を置くSORAMICHIと資本業務提携契約を締結することで合意したと2026年10月15日に発表した。伊藤忠グループの顧客基盤にSORAMICHIのマーケティング・営業領域のコンサルティングを組み合わせ、事業の構想・企画からシステムの実装・運用まで支援する体制を拡充する方針だ。

SORAMICHIも同日の提携発表で契約締結への合意を明らかにし、伊藤忠グループの顧客へのサービス提供とグループ各社との連携を今後の取り組みに挙げた。川本広二社長は同発表で「人材とケイパビリティの拡充を進めてまいります」と述べている。マールオンラインのM&A速報も同日、マーケティング・営業領域のDXコンサルティングを軸とする提携案件として取り上げた。

SORAMICHIが厚くする事業部門向けのコンサルティング

今回の狙いは、顧客企業の事業部門が抱える課題を、実行する施策と必要なシステムに結びつける力を強めることにある。マーケティングや営業の仕事では、顧客との接点をどう変えるかという構想だけでなく、どのデータを使い、どの業務を見直し、施策をどう運用するかまで決める必要がある。伊藤忠商事が提携先に選んだSORAMICHIの守備範囲は、その一連の工程にまたがる。

SORAMICHIが手がけるのは、戦略と具体的な施策の立案、データ・AI基盤の構築、データ分析、CRMやマーケティングツールの導入・運用、システム開発だ。事業部門の目標を整理する人材が開発側の条件も理解し、施策を実装できる形に落とし込む点が特徴となる。提案を終えてから実装を別の主体に委ねるだけの関係ではなく、同社自身が導入と運用にも関わる。

例えば営業の顧客接点を見直す場合、接点ごとの課題を定める工程と、顧客情報を使える形に整え、CRMで施策を動かす工程はつながっている。どの情報を集めるかが曖昧なままでは、後からツールを導入しても当初の施策と結びつきにくい。SORAMICHIの事業部門向けの知見を加えることで、構想段階からデータ、システム、日々の運用を見通すことが提携の目的だ。

同社は金融・保険、不動産、サービス業などの大手企業を支援対象として挙げている。これらは今回の協業先として個別企業が公表されたという意味ではなく、SORAMICHIが持つ支援経験の範囲を示すものだ。伊藤忠グループの顧客基盤を通じ、その専門性をどの案件に届けるかが今後の具体化の焦点となる。

CTC、ベルシステム24、AKQA UKAとの役割

伊藤忠商事には、提携以前からDX案件の実装や運用を支える事業群がある。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)はITシステムの設計・構築・運用、ベルシステム24はカスタマーサポートやマーケティング支援を含むBPO、AKQA UKAは顧客体験の設計を担う。伊藤忠商事は顧客企業との接点を持ち、これらの機能を組み合わせて支援を展開している。

工程に沿って並べると、SORAMICHIが加わる位置が見えやすい。顧客企業が何を改善したいのかを事業部門の言葉で整理し、施策やデータ活用の方針に落とし込む領域が同社の中心だ。顧客体験の設計にはAKQA UKA、システムの大規模な構築・運用にはCTC、顧客対応や業務運用にはベルシステム24の機能がある。伊藤忠商事は、その組み合わせを顧客基盤に届ける立場にある。

ただし、各社の仕事が工程ごとに完全に分かれるわけではない。SORAMICHI自身もデータ基盤やシステムの開発、ツールの運用を手がけ、CTCなど既存各社も構想に関わり得る。今回加わる能力は、グループに欠けていた工程を単純に埋めるものではなく、特にマーケティング・営業部門に近いところから構想と実行をつなぐ専門性を厚くするものといえる。

この重なりには意味がある。事業部門が望む顧客体験と、IT側が実装できる仕組み、現場が続けられる運用は、別々に設計すると調整が必要になる。SORAMICHIが構想の時点で実装と運用の条件を扱えるなら、案件に応じて既存の事業群の機能につなぎやすくなる。ただし、個別案件における担当範囲や成果は、今回の発表だけで決まったものではない。

強化されるのは施策の実行と改善まで

提携の重点は、基幹システムの刷新一般ではなく、マーケティング・営業を中心とする事業部門のDXに置かれている。顧客接点や業務プロセスを見直し、データを使った施策を実行・改善する需要に応えるという方向だ。システムを作ること自体よりも、事業部門が決めた施策を日々の業務で動かせるようにすることが、支援範囲の広がりを示している。

データ・AI基盤は、その施策を支える要素の一つとなる。分析の結果を顧客接点や営業活動に反映するには、必要なデータの整備に加え、ツールの導入後も施策を運用し、改善に使う工程が要る。SORAMICHIの戦略、データ、開発にまたがる支援と、伊藤忠グループの顧客対応・運用機能を結びつける構想は、この連続性に沿っている。

両社が示した今後の取り組みには、伊藤忠グループの顧客へのSORAMICHIのコンサルティング提供、CTCなどとの連携、新たなサービスの創出がある。契約締結への合意が公表された段階であり、出資額や出資比率、個別の共同案件は明らかにされていない。次に提携の実質を示すのは、顧客企業のどの課題に対し、各社の機能をどう組み合わせたサービスや案件が生まれるかだ。

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