
WealthNaviかTHEOか、同じ1.1%でもNISAと運用設計で差がつく

WealthNaviとTHEOは、課税口座の基本料率だけなら同水準だ。WealthNaviのおまかせNISAの料金案内では通常口座が税込年1.1%、NISAのつみたて投資枠が手数料ゼロ、成長投資枠がリスク許容度に応じて税込年0.77~1.1%とされる。THEOの料金案内では運用報酬が最大で税込年1.10%で、利用状況や預かり資産に応じた割引があり、為替交換とETF売買の手数料は原則として利用者にかからない。
NISA内の資産まで一つの投資一任サービスで運用したいならWealthNavi、NISAで投信を保有しながら課税口座の運用を連携させたいならTHEOが比較の出発点になる。THEOのNISA調整機能は、対応する証券会社のNISA口座で購入したTHEOグロース・AIファンドを課税口座のTHEOに連携し、主にTHEO側の保有資産を調整する仕組みだ。両者の費用や実績を比べる際は、NISAに置く商品と課税口座に残る金額を区別する必要がある。
基本料率とNISA部分の費用を分ける

WealthNaviの通常口座とTHEOの基本料率を比べれば、いずれも税込年1.1%だ。ただし、WealthNaviの新NISA口座では、つみたて投資枠の残高にサービス手数料がかからず、成長投資枠の料率もリスク許容度で変わる。全資産に一律の料率を掛けると、実際にNISAを利用する場合の費用を見誤る。
THEOの割引は利用状況と預かり資産に応じて適用されるため、基本料率は全利用者の実効料率を意味しない。一方、NISA口座で保有するTHEO投信には、課税口座のTHEOの運用報酬をそのまま当てはめられない。投資一任サービスへの報酬と投資信託の費用は、発生する場所も計算方法も異なるからだ。
両サービスとも、基本料率だけで運用の総費用が確定するわけではない。WealthNaviでは投資先のETFに内包される費用、THEOのNISA投信では信託報酬に加えて組入ETFなどの費用も考慮する。課税口座の費用とNISA内の商品費用を混ぜずに見ると、どの選択によって負担が変わるかが明確になる。
NISA口座と課税口座はどうつながるか
WealthNaviの「おまかせNISA」は、つみたて投資枠、成長投資枠、通常の課税口座を資産全体の配分に沿って使い分ける。つみたて投資枠では米国株に投資し、成長投資枠と通常口座では株式のほか債券、金、不動産なども運用対象となる。利用者が買付先の口座や非課税枠を個別に指定する仕組みではない。
入金方法も費用に関わる。WealthNaviでは自動積立の一部がつみたて投資枠での購入に回る一方、クイック入金や振込入金では成長投資枠で購入する。リスク許容度によってつみたて投資枠に回る割合が変わり、非課税枠を使い切れず課税口座で購入する場合もある。「NISAを利用する」という条件だけでは、手数料ゼロの残高は決まらない。
THEOでは課税口座の運用とNISA口座の投信保有が分かれる。NISA調整機能は、連携した投信を含めた資産全体の配分を見て、THEO側で必要な調整を行う。対応する証券会社でNISA口座を開設する必要があり、THEOの利用状態によっては機能を使えない。すでに別の金融機関でNISAを利用している人には、この口座の置き場所が選択を左右する。
資産配分の違いは、NISAに入る商品にも表れる

WealthNaviはリスク許容度に応じて複数の資産クラスを組み合わせ、値動きで配分が崩れれば全体を調整する。NISAの各枠だけを独立した運用商品として選ぶのではなく、課税口座も含めた保有資産のバランスを保つ設計だ。つみたて投資枠に置ける資産が米国株に限られる分、ほかの資産は成長投資枠や通常口座が担う。
THEOの運用は、株式中心のグロース、債券中心のインカム、実物資産などを含むインフレヘッジという目的の異なる部分を組み合わせる。NISAで購入できるTHEOグロース・AIファンドは、このうち株式中心のグロース部分を投資信託として提供し、信託報酬は税込年0.495%だ。組入ETFの運用管理費用などは別途かかる。
このため、THEO投信だけの保有と、課税口座のTHEOも組み合わせた保有とでは、資産全体の中身が異なる。前者は株式中心の投信への投資であり、後者では課税口座側の配分を通じて債券なども組み合わせる。WealthNaviの複数資産への配分と比べるなら、同じ投資額に加え、株式比率や想定する値動きの大きさもそろえる必要がある。
100万円を保有する単純試算
まず両サービスの課税口座にそれぞれ100万円を置き、評価額と税込年1.1%の料率が変わらないと仮定する。サービス手数料はそれぞれ年1万1000円、10年間の単純合計は11万円となり、この条件では差がない。これは複利計算や将来の残高予測ではなく、入出金、割引、税金、投資先に内包される費用を除いた料率の比較だ。
次にWealthNaviで、同じ100万円のうち30万円がつみたて投資枠、70万円が税込年1.1%の成長投資枠にあると仮定する。この配分が続き評価額も一定なら、サービス手数料は年7700円、10年間で7万7000円。全額を基本料率の課税口座に置く試算との差は3万3000円になる。配分は計算のための仮定であり、利用者が枠ごとの購入額を指定できるという意味ではない。
THEOグロース・AIファンドを100万円保有する別の仮定では、税込年0.495%の信託報酬だけを計算すると年4950円、評価額が一定なら10年間で4万9500円だ。組入ETFなどの費用は含まず、課税口座でTHEOも運用すれば、その残高には別途運用報酬がかかる。この投信とWealthNaviの複数資産を組み合わせた保有例はリスクが同じではないため、金額の小さい方を運用全体の安い選択肢と即断はできない。
公開実績は「低リスク」の表示だけで順位を決めない
EXIDEAの運用実績の集計では、最小リスクと表示した区分の一括投資について、2026年3~8月はWealthNaviがプラス1.73%、THEOがプラス1.00%だった一方、2023年の年間実績はWealthNaviがプラス13.17%、THEOがプラス15.42%だった。期間を変えると順位は入れ替わる。
この集計の「THEO」はTHEO+ docomoの実績を指す。また、掲載されたコース対応表ではTHEO側の最大・最小リスク区分に割り当てた年率リスクの大小が逆転しているため、表の区分名だけで両社が同じリスク水準だったとは判断しにくい。示された数値は、それぞれの公表データを同じ期間で集計した参考値として読むのが適切だ。
さらに、課税口座での投資一任運用の実績を、NISAで購入するTHEOグロース・AIファンドそのものの実績に置き換えることはできない。一括投資と積立投資、対象期間、資産配分、費用控除の条件が違えば、見かけの収益率の差にも別の要因が入る。過去の順位は各設計の値動きを知る材料にはなるが、将来の収益差を予測する数字ではない。
選択を分けるのは非課税資産の持ち方
NISA内のETFと課税口座を一つの方針で自動運用し、つみたて投資枠のサービス手数料ゼロも利用したいなら、WealthNaviの仕組みが合う。ただし、その枠に実際にいくら置かれるかはリスク許容度や入金方法で変わる。基本料率が同じでも、保有残高全体に掛かる実効的な費用は一律ではない。
NISAでは株式中心のTHEO投信を持ち、課税口座のTHEOと連携させて全体の配分を調整したいなら、THEOの方式が候補になる。その場合は、対応する証券会社にNISA口座を置けるか、課税口座にどの程度の資産を残すかが重要だ。同じ投資額で比べるときも、NISA資産の中身と全体のリスク水準まで合わせて初めて、費用と実績の差に意味が生まれる。
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