DeNAのDAAQ提供開始、テスト作成工数を最大90%削減

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます| 2
DeNAのDAAQ提供開始、テスト作成工数を最大90%削減

DeNAは2026年10月23日、AIと品質保証(QA)の専門家を組み合わせた「DAAQ」の外部向け正式提供を開始し、テスト作成工数を社内で最大90%削減したと発表した。仕様書からのテスト項目作成に加え、画面操作を伴うテストの自動実行、コンテンツの倫理審査、アプリのストア審査を扱う。

DeNAは提供開始に合わせてデジタルハーツと提携した。提携先も同日、DAAQを使うテスト設計・実行支援サービスの提供開始を発表している。AIが作った成果物を専門スタッフが調整し、実際のテストも担当する形だ。

仕様書から公開前審査まで、DAAQが扱う工程

DAAQは、DeNAの品質管理部が自社サービスで使ってきた検証ノウハウと内製のAIテストツールを、外部企業向けのサービスにまとめたものだ。知見の基になった事業にはゲーム、ライブストリーミング、スポーツがある。検証の対象はソフトウェアが仕様どおりに動くかという確認だけでなく、公開する表現やアプリの審査リスクにも及ぶ。

それぞれの機能は入力と成果物が異なる。テスト項目を生成する工程の削減率を、テストの実行や公開前審査にそのまま当てはめることはできない。

  • テスト作成:AIが仕様書などを読み、確認すべきテスト項目を生成する。仕様に対して項目が足りているか、生成された内容をどう使うかは人が判断する。公表された最大の工数削減値が対象とするのは、この作成工程だ。
  • テスト自動化:自然言語の指示を受け、AIが画面を操作してテストを実行する。項目を考えて書き起こす作業とは別に、操作と実行を支援する機能である。実行結果も人によるレビューの対象になる。
  • 倫理審査:テキスト、画像、動画に含まれる不適切な表現や炎上リスクを、AIと専門家が検知・審査する。ここで扱うのは画面操作の成否ではなく、利用者に見せる内容に伴うリスクだ。
  • ストア審査:アプリのプラットフォームによる本審査で指摘されるリスクを、AIと専門家が事前に検知・審査する。公開前の確認を助ける機能であり、プラットフォーム自身の審査結果を決めるものではない。

テスト作成と自動実行は、仕様を検証項目に変え、その項目に沿った操作へ進む工程に関わる。一方、倫理審査とストア審査は公開前に表現や掲載条件を確かめる工程だ。DAAQという名称の下にまとめられていても、投入する資料、AIの出力、専門家が確認する観点は同じではない。

工数削減の最大値と平均値は何を示すか

DeNAの提供開始時の数値は、社内でのテスト作成工数について得られた最大値である。対象となるソフトウェアや仕様書の内容によって削減率は変わるという条件が付く。外部企業のあらゆる案件で同じ削減率が得られることや、検証業務全体の所要時間が同じ割合で短くなることを示した数値ではない。

これに対し、DeNAの技術ブログが示す平均約50%は、社内への展開を進めたテスト設計工数の平均である。最大値と平均値は集計上の意味が異なり、「テスト作成」と「テスト設計」という工程の呼び方も同一とは明示されていない。両者を一つの案件の前後比較として並べたり、差を性能の変化と解釈したりする根拠はない。

技術ブログによると、テスト設計の処理は、仕様情報の抽出、テスト観点の洗い出し、テストケースの作成といった段階に分けられている。前段の成果物を次の処理に渡す構成のため、AIが最初から完成したテスト設計を一度に出すという説明ではない。仕様に何が書かれ、どの観点を拾えるかが成果物に関わることは、仕様書の内容で削減率が変わるという注記とも整合する。

工数には、生成された項目を確かめ、必要なら直す人の作業も関わる。仕様が明瞭な案件と、条件が複数の資料に分散した案件では、生成後の確認に要する作業が同じとは限らない。最大値はDAAQの適用可能性を示す社内実績だが、外部導入時の作業量を見積もるには、対象工程と人による調整範囲を合わせて捉える必要がある。

QA専門家はどこで確認し、入力情報はどう扱われるか

DeNAの提供形態では、QA専門スタッフがAIへの入力と出力を支援し、各工程の成果物を人がレビューする。利用企業がAIツールだけを受け取って操作を習得する形ではなく、指示を出し、結果を確認する運用を想定している。AIが反復的な処理を担い、仕様への適合や公開に関わる判断を人が確認するという役割分担だ。

テスト項目では、生成された項目が仕様の条件を拾えているか、重要な利用場面を落としていないかが確認の対象になる。倫理審査では、表現が置かれる文脈を踏まえた判断が要る。ストア審査でも、指摘される可能性を事前に洗い出すことと、実際の本審査を通過することは別の段階だ。人のレビューを各工程に置く理由は、出力の種類によって異なる。

入力情報についてDeNAは、利用企業から預かった情報をAIの学習には使わないとしている。運用上の枠組みには、ツールの安全性、入力の保護、出力の担保を挙げた。仕様書や公開前のコンテンツを扱う以上、学習への利用を避ける方針はサービスの重要な条件となる。公表された説明には、保管期間や案件ごとのアクセス権限の詳細までは示されていない。

デジタルハーツとの提携で分かれる設計と実行

提携先が提供するサービスでは、DAAQが生成したテスト設計書を、デジタルハーツの専門スタッフが対象サービスの特性や想定利用場面に合わせて調整する。その後のテスト実行も同社のスタッフが担う。DeNAのAIによる設計支援と、デジタルハーツによる調整・実行をつなぐ提供形態である。

この分担は、DAAQ自体に画面操作テストの自動化機能があることと両立する。DeNAが外部向けに提供する機能の範囲と、提携先が自社の専門スタッフを組み合わせて提供するサービスの作業範囲が異なるためだ。デジタルハーツは、検証現場で得た知見や改善提案をDAAQの改良に返す方針も示している。

外部提供が始まったことで、社内で培った仕組みは異なる仕様書や開発現場でも使われることになる。今後、外部案件でのテスト作成時間に加え、生成後の調整と実行に要した作業が示されれば、利用企業は自社の検証工程に近い条件で効果を見極められる。

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