ASURACOREは最短1カ月、ただし販売開始は2027年4月

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
ASURACOREは最短1カ月、ただし販売開始は2027年4月

ラクスの2026年10月14日の発表によると、「ASURACORE」は企業ごとの専用業務システムを作るサービスで、構築期間は最短1カ月、販売開始は2027年4月以降の予定だ。構築費60万円から、月額利用料5万円からという金額は、いずれも検討中の価格として示された。

発注企業の業務をラクスの専門ディレクターが聞き取り、AIと連携して要件整理から設計・構築、検証・調整まで進めて納品する。発表時点で一般向けの販売は始まっていない。短い構築期間は、企業がAIに指示して自力で開発を終えるまでの時間ではなく、この提供体制で個別のシステムを作る場合の最短値を指す。

作るのは企業ごとの業務システム

ASURACOREが対象とするのは、発注企業の業務フローや課題に合わせた専用システムだ。企業が要望を伝え、ディレクターが必要な機能や情報を整理して、構築したシステムを納品する。利用企業自身が設定画面を操作してシステムを組み立てることは、発表された提供方法では求められていない。

出発点になるのは、普段の業務がどのように進み、どこに手間がかかっているかという企業側の説明だ。専門用語を使った仕様書を先に完成させる必要はないが、現状の手順や望む運用を伝える人は必要になる。業務の事情を知る担当者から情報を得られなければ、ディレクターも必要な機能を具体化しにくい。

この違いは、発注側の負担を考えるうえで重要だ。要件をシステムの仕様へ翻訳する作業はディレクターが担う一方、どの業務上の問題を解きたいか、出来上がったものが日常の仕事に合うかは企業側の確認を要する。構築作業を任せられることと、業務についての判断まで不要になることは同じではない。

発注企業、ディレクター、AIはどこで関わるか

最初の聞き取りでは、ASURACOREディレクターが企業の悩みや要望を整理し、システムに必要な機能と情報を要件に落とし込む。AIは設計・構築に必要な確認事項を洗い出し、整理された要件をもとにシステムを形にする。確認事項が明確になれば、ディレクターは発注企業に尋ねる内容を絞れる、というのがラクスの説明する進め方だ。

完成後はディレクターと発注企業がシステムを実際に操作し、使い勝手や必要な機能を確認して調整する。企業側の関与は最初の聞き取りで終わらず、納品前にも業務に適しているかを確かめる。利用開始後に新たな要望が生じた場合、システムを継続的に変えていくことも提供構想に含まれる。

発表会を取材したクラウド Watchの報道で、ラクス取締役兼CAIOの本松慎一郎氏は「AIだけではなく、人間×AI」と説明した。同氏は、AIの汎用的な知識だけで各社の業務システムを作ることは難しく、ラクスが蓄積した業務知識やシステム開発の知識をAIに与えているとも述べている。

この仕組みでは、既存サービスの開発で得た知見を整理し、画面の構成などに使う部品も活用する。AIが設計・構築を進めても、企業固有の業務を聞き取る工程と、完成品を使って確かめる工程には人が残る。「AIネイティブ」という位置付けを、発注企業とAIだけで開発が完結するという意味に読み替えることはできない。

最短期間と販売までの時間は別

最短1カ月という数字が表すのは、個別システムの構築にかかる期間の下限だ。販売開始までの待ち時間を含む数字ではなく、どの範囲の案件でも同じ期間で納品できるという保証でもない。発表では、標準的な構築期間や、最短期間が成立する案件の条件は示されていない。

構築の前半には業務の聞き取りと要件整理があり、後半には発注企業とディレクターによる操作確認と調整がある。必要な機能や確認すべき業務の範囲が広がれば、それぞれの工程で扱う内容も増える。個別案件の納期は、最短値だけでは決まらない。

販売までの予定には、限定的な早期段階もある。週刊BCN+の発表会取材によると、2027年1月に顧客への提案を始め、一部顧客の先行利用を経て、同年4月に正式販売とパートナー展開を始める計画だ。先行利用の予定と一般向けの販売開始予定は、利用できる対象が異なる。

当初は楽楽クラウドシリーズの導入を検討する中小企業などを想定し、後に中堅企業などへ対象を広げる計画も示されている。また、ディレクターの担い手はラクス社内に限らず、パートナー企業にも広げる方針だ。したがって、発表された構築期間を自社の導入予定に当てはめるには、販売段階と案件ごとの構築範囲を分けて考える必要がある。

暫定価格から分かる費用の範囲

公表された料金は、一度支払う構築費と、利用を続ける間の月額料金に分かれる。どちらにも「から」が付くうえ、発表時点では金額自体が検討中で、変更の可能性がある。示された下限だけで、個別案件の支払額が確定したわけではない。

料金体系の詳細も固まっていない。発表会では、月額料金について利用者数を軸に、使う部品やデータベースの数による加算などを検討していると説明された。どの条件が正式な価格に採用されるか、追加の要望が当初の構築費にどう反映されるかは、販売時の案内を待つ必要がある。

公表済みの内容を、発注企業が関わる工程と合わせて整理すると次のようになる。

  • 作るもの:企業ごとの業務フローや課題に合わせた専用業務システム。発注企業が現状と要望を伝える。
  • 要件整理:ディレクターが業務を聞き取り、必要な機能と情報を明確にする。企業側は業務上の確認事項に答える。
  • 設計・構築:AIが確認事項を洗い出し、要件をもとにシステムを構築する。ディレクターが顧客との間をつなぐ。
  • 検証・調整:ディレクターと発注企業が実際に使い、業務への適合や使い勝手を確認する。
  • 期間と提供時期:構築期間は最短1カ月。販売開始は2027年4月以降の予定で、一部顧客には先行利用の計画がある。
  • 費用:構築費60万円から、月額利用料5万円から。いずれも検討中の下限額である。

仮に構築費と月額料金の両方が公表された下限額となり、12カ月利用する場合、単純合計は120万円になる。ただし、これは下限額を足した条件付きの計算で、個別の見積額ではない。正式な料金と構築範囲が示されて初めて、企業は自社の業務に必要なシステムの費用を判断できる。

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