Backblaze B2かWasabiか、90日未満の削除で請求が逆転

|著者: QUASA編集チーム|2 分で読めます
Backblaze B2かWasabiか、90日未満の削除で請求が逆転

バックアップを短期間で入れ替えるなら、Backblaze B2のほうが今回の条件付き試算では安い。Wasabi Pay as You Goには1TBの最低月額と90日の最低保存期間があり、早く削除したオブジェクトにも残りの日数分の料金がかかる。日次ローテーションを続けると、削除済み容量の課金が、現在保存している容量の課金を上回る場合がある。

Backblaze B2は1TB・30日当たり6.95ドルの料金で、最初の10GBは無料。最低保存期間はなく、通常の下り転送は月間平均保存量の3倍まで無料だ。両社とも保存中のデータを一度だけ全量復元する条件では転送費用を抑えられるが、ほかのダウンロードも重なる月には適用条件を分けて考える必要がある。

試算の前提をそろえる

以下は請求書の実測値ではなく、公表料金に同じバックアップ運用を当てはめた概算だ。保存量は500GB、1TB、10TBの三つとし、比較上の1TBは1,000GBとして扱う。Wasabiの料金計算には、同社が示す7.99ドルを1,024GBと30日で割る日額を使う。B2は月間平均保存量から無料の10GBを除き、残りに保存料金を掛ける。

静的保管は同じ容量を30日間置き、削除も復元も行わない。日次ローテーションは容量を一定に保ち、全体を30等分したオブジェクトを毎日一組ずつ入れ替え、各組をアップロードから30日後に削除する条件とした。大規模復元は静的保管中に保存量と同量を一度ダウンロードし、その月にはほかの下り転送がない条件だ。

金額は米ドル建ての従量料金を小数第2位に丸めたもの。契約割引、税、為替、バックアップソフト、追加サポートの料金は含めない。日本円の予算に直す場合は、ドル建ての使用料金と、実際に適用される為替レート・税を別々に扱う必要がある。小さなオブジェクトを大量に保存する場合や特定のAPI操作を多用する場合にも、ここで置いた容量中心の条件から請求額がずれる。

静的保管:少量でもWasabiは最低月額

500GBの静的バックアップに対し、Wasabiでは1TBの最低月額が適用され、Backblaze B2は無料枠を除く使用量で計算される。

500GBを動かさずに保管する条件では、B2が月約3.41ドル、Wasabiが7.99ドルとなる。B2では無料枠を除く490GBを計算し、Wasabiでは保存量が下限に届かないため1TB分の月額が適用される。実際の使用量が半分だからWasabiの請求も半額になる、という計算にはならない。

1TBではB2が約6.88ドル、Wasabiが7.99ドル。10TBではB2が約69.43ドル、Wasabiが約78.03ドルとなる。ここでは削除がないため、Wasabiの削除済み容量への課金は発生しない。差を作るのは公表単価、B2の無料枠、Wasabiの最低月額だ。

1TBを1,000GBと表記する一方、Wasabiの日額換算は1TB当たり1,024GBを基にしている。このため、10TBのWasabi側を単純に7.99ドルの10倍としていない。容量の単位をそろえないまま見積もりを並べると、保存期間の影響を見る前に金額が食い違う。

日次ローテーション:削除した容量が請求に残る

30日後に削除したバックアップオブジェクトは、Wasabiでは残る60日間も課金対象となり、B2では削除時点で保存課金が止まる。

Wasabiでは、削除した時点でそのオブジェクトの課金が止まるわけではない。最低保存期間の説明には、90日条件のオブジェクトを15日保存して削除した場合、保存中の15日と削除後の75日が請求対象になる例がある。削除済みデータを引き続き復元できるという意味ではなく、残期間の保存料金が続く仕組みだ。

この試算では各組を30日後に削除するため、Wasabiではさらに60日分が削除済み容量として課金に残る。同じ入れ替えを続けて定常状態になると、現在保存中の容量に加え、その約2倍の削除済み容量が料金計算に載る。B2には最低保存期間がないので、同じ入れ替え方なら削除後の残期間は生じない。

500GBを維持する条件では、Wasabiは最低月額7.99ドルに削除済み容量分の約7.80ドルが加わり、月約15.79ドル。B2は約3.41ドルだ。1TBではWasabiが約23.60ドル、B2が約6.88ドル。10TBではWasabiが約234.08ドル、B2が約69.43ドルとなる。10TBのWasabi側では、保存中の容量分が約78.03ドル、削除済み容量分が約156.05ドルで、後者が請求の大半を占める。

これらは初月の額ではなく、毎日同じ量を入れ替え、削除済み容量が定常的に存在する月の概算である。毎日バックアップを実行するだけで同額が加算されるわけでもない。費用を左右するのは、実際に置き換えるオブジェクトの容量と、アップロードから削除までの日数だ。増分バックアップで消す量が少なければ、削除済み容量分もこの例より小さくなる。

上書きと世代管理でもオブジェクトの寿命は変わる

Wasabiで同じ名前のファイルを上書きし、バージョン管理を使わない場合、古いオブジェクトは削除済み容量に移る。新しいファイルが一つ見える状態でも、古いオブジェクトの最低保存期間が終わるまでは、その残期間が請求に関わる。日次のフルバックアップで同じキーを繰り返し使う運用では、画面上のファイル数だけから保存費用を推測しにくい。

バージョン管理を有効にすると、古い版が残る間はその容量が保存中のデータに加わる。古い版を後で削除するなら、その版を何日保存したかによって残期間の課金が決まる。したがって、古い版を30日で消す試算を、長期にわたり版を残す設定へそのまま当てはめることはできない。

バックアップソフトの「保持30日」という設定も、クラウド上の全オブジェクトが必ず同じ年齢で消えることまでは示さない。重複排除や増分バックアップ、世代管理によって、毎月新たに置く量と削除する量は変わる。現在の保存容量とあわせて、この二つの量と削除時点のオブジェクト年齢を分けると、ローテーション費用を見積もれる。

全量復元:月内の合計転送量で条件が変わる

ほかの下り転送がない月に保存量と同量を一度復元するなら、この試算の保存料金は増えない。B2ではダウンロード量が月間平均保存量の3倍の無料枠内に収まる。Wasabiでも、その月の下り転送量が保存中の容量以下なら、同社が示す無料転送の利用目安に収まる。500GB、1TB、10TBのいずれも、この条件での概算額は静的保管と同じだ。

復元テストや通常の読み出しが重なると、月間の合計量が重要になる。B2には無料枠を超えた通常の下り転送について1GB当たり0.01ドルの公表料金がある。Wasabiは保存中の容量を超える月間転送を無料転送に適した利用の目安から外し、継続的に超える場合にはサービスの制限または停止の可能性を示している。超過分に一律の公開単価があるわけではない。

第三者の10TB試算では、両社の総額を計算できる転送量の範囲でB2が月8.60ドル安い。一方、通常のダウンロードに10TBの全量復元を重ねた月はWasabi側の総額を確定していない。この条件は、ほかの下り転送がない月に一度だけ全量を復元する前段の試算とは異なる。

選択の分かれ目は、保存量と削除までの日数

今回の静的保管と30日ローテーションでは、三つの保存量すべてでB2の概算額が低い。少量保存ではWasabiの最低月額、短期の入れ替えでは削除後の残期間が差を広げる。Wasabiで各オブジェクトを90日以上保持するなら、そのオブジェクトに短期削除の追加分は生じず、保存量と復元月の転送条件が比較の中心になる。

バックアップ先を選ぶ際には、現在の保存容量に加え、毎月削除する容量と削除時の経過日数が必要だ。復元を見込む月については通常の読み出しも合算する。そうすれば、保存料金の差なのか、最低月額や削除済み容量の課金なのか、下り転送の条件なのかを分けて判断できる。

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